初戦闘(2回目)
木の枝と小石はそこら辺に落ちてるからすぐ集まるとして、問題は森の方に行かなきゃいけない素材だ。明らかに敵を倒す必要があるのは分かる。
わざわざチュートリアルクエストって書いてあるなら、そこまで理不尽なのは来ない……はず。島自体はそこまで大きくないのか、森は直ぐそこだ。
「気をつけないと戦鎚が引っかかっちゃう」
木が密集してるわけじゃないけど、考えなしに振り回したらうっかりぶつけそう。念の為背中から外して警戒しつつ探索する。
こんな場所じゃなかったら遠足気分で眺めながら歩けたんだけどね。これもこれで未知の体験だろう。あの超巨大白鯨はしばらく勘弁だけど。
浅い部分ってヒントには書いてあったけど……あ、蔦ってこれかな?
「《鑑定》……ん、これだ」
種別:素材
名称:頑丈な蔦
説明:森ならどこでも取れる植物の蔦。簡易的な拠点の材料や道具等の素材に出来る。
それなりに長い蔦だ。あとこれを2つ集めなきゃいけない。さっさと次に行こうとしたとき、後ろから小さな足音と唸り声を拾った。
「来たね、《鑑定》」
「Grrrrr!」
「Gau!」
2匹の狼が今にも私に襲いかからんとしている。鑑定結果はこう。
状態:アクティブ
名称:フォレストウルフLV???
所持スキル:《牙LV???》《???》
『鑑定LVが上がりました』
レベルアップしたけどそれは後、ジリジリ近寄ってくるけど下手に動くともう片方の対処が間に合わない可能性が出てくるかも。
「ほら、おいで?」
「「Grrrrr!!」」
言葉を理解してるのかは分からないけど、ちょっと挑発したら同時に襲って来てくれた。これならやりやすい。タイミング調整のために半歩後ろに下がって、それから全力で!
「《強撃》!」
「Gwah?!」
1匹はクリーンヒットしてゴロゴロと転がって行く。まだ倒せてないけどそれで充分。
「Gau!!」
「遅いね、っと!」
「Guu……!」
私の後隙を狙ったようだけど、重心制御で威力が乗るようにして蹴りを顔面に当てる。こういう時は一対一を連続で、これ対複数戦闘の基本ね。
後は流れ作業。2匹とも距離は離れてるから強撃で弱った方にトドメを刺し、後ろから引っ掻こうとしてきた狼に向かって遠心力が乗るように振ってぶつける。
「Gwah……?!」
「見てないと思った? 残念、油断してるのはそっち」
手にしっかりとした感触を残しつつ、軽く吹っ飛んで近くの木にぶつかって動かなくなっても、ギリギリ生きてる狼の身体を潰して処理した。
『種族LV、職業LVが上がりました』
「ふぅ、友達に今の見られたら引かれそう……私ってそんな緩いキャラじゃないのに」
声がふわふわした幼気寄りなせいで、こう言う荒事の時とかのギャップで驚かれやすい。どうせその友達もやってるから、会った時のためにアバターの声も変えたかったのに……。
「仕方ないよね……あ、そうだ。素材拾わないと」
休憩中にざっと見たTips機能には、一度鑑定をかけた物は、もう一度かけなくてもその時判定した情報はいつでも分かるとはいえ、少ないMPが減るのは辛い。
レベルも上がったからステータスを割り振ろうとしようとして、とても嫌な予感が背筋を走る。そのままその場を飛び移るようにステップを踏んで振り向く。
「ほ、保護者の方かな?」
「……Grrrrrrrr!!」
『名もなき島のボス、深林のフォレストキングウルフに突発遭遇しました』
「や、やってやりゃー!!」
前から10mは超えるフォレストウルフの強化版みたいなのが木を薙ぎ倒しながら来る。悉くこう言うトラブルにしか縁がない。こうなったらもうヤケクソだよね!
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