北で見つけたもの
と言うことで、しばらく北に向かって移動することしばらく。移動中は雑魚ばかりでトラブルは……いや、強いて言えば熊爪が2匹出てきたね。
「せいやっ!」
「GaaA?!」
「まだまだぁ! 《先駆の一撃》……!」
「Grra?!」
ちょっとMPは使ったけど、熊爪同士も片方が放った三連撃に巻き込まれないように同時には来ないから、そこまで苦戦はしなかった。肩肉落としてくれてありがとう。
さて、そんなこんなで強敵やコウモリみたいな敵が出ず、何もないのかと心配したその時、木々が薙ぎ倒された跡を見つける。
「2匹目かな? 来たら叩き潰すけど……」
周りを見ると、薙ぎ倒された跡がやけに多い。この辺りはよく移動していたようだ。警戒しつつ奥まで進むと、また変わった景色の場所が見える。
そこは円状になった平たい岩の上に、大量の葉っぱとか木が置かれていてまるで何かの巣のようだ。だけどそこにはここから見る感じは何も居ない。
少し待って様子を伺ってみると、か細い鳴き声が僅かに聞こえる。何かと近付いてみたら葉っぱに埋もれる形で、私が戦った普通の狼よりも少し小さいサイズの狼が倒れていたのだ。
私でも弱ってるのは分かる。流石に敵対して来ない相手を潰すのはちょっとね。
「wau……」
「お腹空いてるのかな……? ここが巣なら育ての親が近くに居るはずだけど……」
私が倒したのはフォレストキングウルフ、つまりはオスだ。なら所謂クイーンウルフとなり得る存在が居ないとおかしい。
この子の父は私が倒してしまったことになるけど、私だって抵抗しなければ死んでいた。弱肉強食に則るなら、私がそう考え込む必要はない。
立ち上がって周りを少し探索すると、直ぐに少し膨らんでいる場所があることに気付く。恐る恐る葉っぱとかをどかしてみると……。
「っ……」
それなりの大きさの狼の、白骨化遺体があった。地面には血の跡が残っている。ゲームだけど、そのリアルさに少し驚いた。
そうしていると、後ろから子供狼がフラフラと私の後を付いてきていた。
「wau……」
「……もしかしてこれ、お母さん?」
「Kuun……」
その場で座って、くんくんと鼻を近づけて寂しそうに鳴いた。詳細は分からないけど、確かに1つ言えるのはフォレストキングウルフはこの事を分かった上で、隠して放置したのだろう。この子も碌にご飯を食べられてなさそうだし。
仕方ないけど……熊の肩肉を子供狼の前に置いた。このまま何もせず立ち去るのは気が引けるし。そうすると、少し待った後にガブっと噛みついた。
「wahu……!」
「喉に詰まらさないでね?」
どんどん肉はなくなり、1分後には少し元気になったのかしっかりと立っていた。それを確認した私は立ち去ろうとしたけど……。
『フォレストミドルウルフのテイム条件を満たしました、パーティに加えることが可能です。特定の施設を開放していないため、テイムした存在が死亡した場合は復活はせず、プレイヤーがログアウト中も空腹度が減り続けます。』
「wahu!」
「テイム……?」
Tipsに追加されたのを見ると、一部の存在は条件を満たすと仲間になってくれるみたい。今回は私が餌やりしたから、こうなったみたいだね。
戦力が増えるのは良いことだけど、死亡したら復活出来ないのは困った。何か開放すれば復活出来るみたいな言い方だけど、この島に居る限りは無理だろう。
だけど、現実では諦めてたペットを飼えるチャンスだし……小型犬みたいでもふもふしてるし可愛いから癒しになるはず。しばらくは浜辺に待機だけどね。
「…… ちゃんと付いてくるんだよ?」
「wau!」
「ん、いい子だね」
手元に来ていた確認画面のYESを押して、正式にパーティに加入したと言う通知が来る。ステータスも見れるみたいだから、とりあえずこれ以上行くのは危険と判断してこの子と浜辺に戻るのだった。
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