敵=肉
ただ移動するだけだと勿体ない、と言うか空腹度が本当に不味いから狩りをしながら向かう。
「おにく゛!」
皮とかどうでも良いから肉が欲しい。夜になると敵が来やすいのか、さっきから何匹も襲いかかって来てくれる。とにかく私の血肉になって欲しい。
暗いからちょっと見辛いけど、何となく覚えてる道を辿っていくと焚き火が見えた。近付くと、ローガさんが小屋から出てくる。
「ワタメの嬢ちゃんか、必死そうに見えるがどうかしたのか?」
「あの、火ってどうやって付けてるの?」
「……あぁ、もしやと思ったが火を起こす道具がないのか。儂も1つしかないんじゃが……向こうの岩場まで行けばゴブリン共が群れておるが火打石の材料が落ちとる」
「本当? 行ってくる!」
「夜のゴブリン共は凶暴だから気を付けるんじゃぞ!」
「はーい!」
良い情報を聞いた。そうと決まれば指差してた方向に行って火打石を作るしかない。走って移動していると、茂みが揺れる音が聞こえる。
「っ、森の中で熊ね?」
「Uuuuuu……!」
立派に伸びた爪が特徴の、身長が私の2倍はある熊が出た。ボス狼ほどじゃないにしても、無視していける存在感ではない。
新しいアーツの試運転にも丁度良いから、熊肉も確保してしまおう。睨み合いながら鑑定をかける。
状態:アクティブ
名称:クロウベアLV???
所持スキル:《剛爪LV???》《???》《???》
『《鑑定》LVが上がりました』
「Gaoooooo!」
「《先駆の一撃》」
先に仕掛けたのは私だ。いつもよりも速度が増した攻撃を振り下ろすも、熊は腕で受け止めてそのまま弾き返した。結構力あるね……ダメージは通ってると良いけど。
一旦距離を取って、その防御を突発する為に攻撃の手は緩めずに再度私の間合いまで接近。爪を突きだしてくるけど、そこはすれ違うように躱す。
「《闘気》《強撃》ぃ!」
「Uuuu!!」
闘気の効果で私に淡く赤色のオーラが纏わり、強化された強撃を熊はその胴体に受けた。特に怯みはしないけど、手応えがあるとはなんとなく分かる。
次の手を繰り出そうとすると今度は熊の爪も赤いオーラを纏う。さて、どう来るかな? 私が警戒すると熊の腕がブレて見えた。これ早っ?!
常人には速すぎて見えない爪の三連撃。一瞬対応が遅れて直撃は免れたけど、少し肩を斬られてしまった。けど、ただでやられる私じゃない。
「っぅう!? 中々のモノだけど、そっちも無事じゃないでしょ!」
「Gaooo?!」
3発目の爪は捉えたから、戦鎚を攻撃が来る場所に僅かに動かして相手の速度を利用した。その結果、熊の爪の一部が欠けたのだ。
「また砕いてあげるっ!」
「Uuuu……GaooooooO!」
相当お怒りなのか、腹に響くような鳴き声を出して私を挽肉にしようと両手を構えてズンズンと走る。だけど生憎なのは、私はカウンターの方が得意だということだ。
「ふっ甘いね! 《先駆の一撃》」
「Gaaa! Uuu!!」
欠けてる右腕の爪の横薙ぎは屈みながら避けて、追撃が来る前に左肩に向かって先駆の一撃で突くように攻撃する。
こうすると私に向かうはずだった爪は軌道がズレて空を裂いた。しかも運が良いのか、クリティカルが出たのか熊が仰け反る。
「蜂蜜要らないから肉落として?」
「GaaaoooOO!!」
油断はしたけど、現実の私とこの世界の私の感覚の差異が段々埋められてる。HPを削り切るために、三連撃を警戒しながら再度カウンター狙いに意識を集中させた。
読んで頂きありがとうございます。VR日間ランキングに乗ることが出来ました、皆様ありがとうございます。




