本当は怖い 童謡『森のくまさん』~その歌詞の真実~
あるひ もりのなか くまさんに であった
はなさく もりのみち くまさんに であった
くまさんの いうことにゃ おじょうさん おにげなさい…
「あ…」
「やあお嬢さん。森の中には危険が多い。早くお逃げなさい。」
「それは大変だベアー…というのはともかく。
病気の父の為に、この森にある薬が必要なんです」
「なんと健気な…。くっ!?う…あ………ぐぅっ…ぐ…あ………!」
「熊さん!どうされました!?大丈夫ですか!?」
「ア…ア…!いけない…このままではオレがオレでなくなってしまう…!
逃げろお嬢さん!一刻も早くオレから逃げるんだ…!!」
「そんな…」
「人間のニオイを嗅ぐとスイッチが入ってしまうらしい…!
ぐぅ…ところで、こ、この貝殻のイヤリングはキミのだろう?
こんな辺鄙な森に入ってくる人間など滅多にいないから…これを持って早く逃げろ…ッ…!!」
「あなたを置いて逃げたりはできません!!」
「本当は人間を襲いたくなんて…なかっ…た………」
「ああっ…!?」
「クックック…。表に出てくるのは久しぶりだぁ」
「!?」
「オレは”表の人格”が普段理性で抑え込んでる”裏の人格”!」
「熊元来の性質から言えば、”裏の人格”こそが本体と言えるだろう。
”表”の忠告通りさっさと逃げていればよかったものを。さあ、では愉しませてもらおうか…くっく」
「きゃあっ!」
「ガアァッ!!」
『メリッ』
「!!?」
「あまりヒトを嘗めないでもらいたいわね」
お嬢さんの拳は、熊さんの鳩尾に深々と突き刺さっていた。
「カハッ…人間のガキごときが…なんて威力の拳打…!」
「父に少しばかり護身術を教わっててね。抵抗しなければ楽に逝かせてあげるけど?」
「ぬかせ小娘!!」
『ゴキィッ』
「ごぼ…っ…」
「今のでアバラ2、3本イッたわね。どうする?まだ戦る?」
「すまん、負けを認める。だから見逃してくれ…!」
「さっき言ったわよね。薬が必要だって」
「えっ それ薬草とかある種のキノコの話だよなっ…?」
「知らないの?熊の胆のうは薬になるの」
「ヒッ」
「悪く思わないでね」
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
静かな森の中に、断末魔が響き渡った。
「熊さんありがとう。お陰できっと父は良くなるわ。
お礼に歌を唄いましょう。鎮魂歌を…ね」
(完)
(2025.07.17追記)
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三話目はいまかんがえちゅう