いまさら私が魔法少女ですか!?
「二ポと契約して魔法少女になってくれなせんか? きらーん♪」
「⋯⋯はあ?」
私、小鳥遊里香29歳。
その誕生日にそれはやってきた。
私は田舎から大学時代に上京してきた。
そしてド田舎の実家に帰るのが嫌だったので、その後もこうして東京にしがみついている女である。
正直暮らしは楽ではない。
東京は家賃も高いし家計はいつもカツカツだった。
「あ⋯⋯そういえば私、今日誕生日だったわ」
もはや誰にも祝われなくなった私の誕生日。
私自身もここ数年は気がつくと過ぎていた⋯⋯という感じだったのだが、今年に限ってなぜか当日に思い出してしまったのだった。
「まあ今日くらいはいいか。 ⋯⋯20代最後の誕生日だし」
そして仕事先のスーパーでいつもよりグレードの高いビールとつまみを選び、ついでに小さいケーキも買ったのだった。
「ハッピバスディ~私♪ ハッピバスディ~私♪」
そう歌いながらケーキにロウソクの火を灯したその時だった。
「うわぁ!?」
眩い輝きがこのワンルームマンションを包んだ!
最近のケーキのロウソクってこんななの!?
⋯⋯しかし!
「ニポ~! 二ポ参上です、ニポ!」
そして目の前にはこのフワフワでモコモコの謎生物がいたのだった。
⋯⋯きゃわ♪
⋯⋯⋯⋯じゃなくてっ!
「なにあんた! 何者!?」
「ニポは魔法の世界からやってきたエージェントでニポ! 今日は君に魔法少女になってほしくてやってきたニポ!」
「⋯⋯魔法少女? 私が?」
なんの冗談だろうか?
この29歳、行き遅れのおばさんに向かって?
「ささ⋯⋯この契約書にサインを」
「ちょいまち。 ⋯⋯まああんたが魔法のマスコットなのは見ればわかる。 でも私が魔法少女はないでしょう!?」
言ってて自分で悲しくなる。
「どうしてニポ?」
「ほら魔法少女ってもっとこう若い⋯⋯小学生とかがやる女の子の憧れのお仕事というか」
「あー昔はそうだったニポ。 でも最近は少子化で魔法少女の適性のある少女が居ないニポ。 それで徐々に魔法少女の年齢制限が上がっていって、もう魔法適性があるなら歳はどうでもいいんじゃないか? という法改正になりました⋯⋯ニポ」
「なに? 今の魔法世界ってそうなってるの? 世知辛いわねどこも」
「そうなのです⋯⋯ニポ」
まあ魔法世界も苦しいのはわかったけどそれと私が魔法少女になるのはまた別問題だ。
「そもそも私がなんで選ばれたの?」
「里香は圧倒的ポテンシャルだったニポ! とてつもない魔力を持ってて、いまだに素敵な王子様の夢を捨てきれない乙女だニポ!」
「やかましいわ!」
殴りたいコイツ。
「というわけでサインを」
私はこのマスコットからうさん臭さしか感じなかった。
なぜならサインを要求する時だけ「ニポ♪」を付けないからである。
なんかキャラを作っている感が見え隠れしている。
「それって私にメリットあるの?」
魔法少女とか子供の夢である。
しかし現実には危険なお仕事だ。
私が子供の頃にいた魔法少女とかよくボロボロになるまで戦っていた。
それでも健気に笑っている魔法少女は私の憧れである。
しかし! そんな夢ではもう魔法少女になれない年齢である私は!
「⋯⋯っち。 まったくババアはこれだから」
「本性あらわすのはえーな!」
「黙ってサインすりゃ俺が報酬をピンハネできたんだが⋯⋯まあしかたない」
あんがいシブい声であるこのマスコットは。
見た目はファンシーな毛玉のくせに。
「じゃあ説明するぞ。 この魔法少女契約書にサインすると、この世界に現れる化け物を倒す仕事をしてもらう。 報酬は1回の出撃で20万円」
「20万!? そんなにもらえるの!」
「あわてるな。 その全額がもらえるわけじゃねえよ」
「なに? あんたがピンハネするから?」
やっぱ信用ならないなコイツは。
「魔法少女が戦った後の後始末⋯⋯あれこっちの魔法世界の管轄なんだけど、けっこう金がかかるのよ」
「そうなの?」
そういえば考えたことも無かった。
昔見た魔法少女もいろいろ器物破損やらかしてたっけ⋯⋯。
「で⋯⋯その経費をこの手当から値引く」
「はあ!? ふざけんな! こちとら命がけで戦ってやるんだぞ!」
「まあ落ち着け。 そういうのは嫌だろ? だから魔法少女損害保険というのに加入してもらうんだ」
「⋯⋯保険って」
「それに衣装のレンタル料やクリーニング代、支給する武装の弾薬の経費もろもろ差し引くと⋯⋯」
「いくら残るのよ?」
「まあ5万くらい?」
「安!」
とはいえ1回の出撃だけで5万の臨時収入と考えると、わりと良い副業かもしれない。
「これって何回くらい出撃があるのよ?」
「まあ多くても週に1回だな」
「てことは1月で20万⋯⋯おいしい」
私の気持ちはかなり傾いていた。
「というわけで、この契約書にサインするニポ~!」
「いまさらかわいっこぶりっこするなよ⋯⋯」
「まあ様式美だ⋯⋯こっちも仕事なんでな」
「なんか大変そうねあんたも」
「ああ⋯⋯養う妻子のために単身赴任さ俺は」
「結婚してるんだあんた」
「去年子供が生まれたんだ。 この子のためにも世界を平和にしなきゃと思うとこの仕事も悪くないさ」
くそー卑怯な。
こういうのに私は弱いんだ。
でもしっかりと契約書を読む。
⋯⋯おかしな表記はないなどこにも?
私は縦読みとかも気をつけて契約書を熟読した。
「よし契約しましょう!」
「マジか! ⋯⋯ほんとうニポ~!」
⋯⋯まったく現金なやつだな、まあ私もだけど。
そして契約書にサインした私は。
「よっしゃー! これで私も魔法少女じゃ! じゃんじゃんかかってきなさい悪の組織! 私の報酬のために!」
「⋯⋯今のは聞かなかったことにするニポ」
こうして私、小鳥遊里香 (29歳)は魔法少女になったのだった。
⋯⋯だけどその後1週間くらいお仕事は無かった。
あれからニポは魔法の国に戻った。
怪物が現れたら来るらしいけど。
こうして私には再びつまらない平穏な日々が戻ってきたのである。
そんな私は朝からスーパーのレジ打ちのバイトである。
マンションから出かけようと思ったら。
「あらお隣の阿久戸くんじゃない!」
「おはようございます、小鳥遊さん」
この阿久戸くんはこのマンションに最近引っ越してきた若い男である。
ちょっといい男なので私は正直狙っている。
「あら阿久戸くん⋯⋯ネクタイが」
そう特におかしくもなかったネクタイを直してあげる。
「あ⋯⋯ありがとうございます小鳥遊さん」
ふふ⋯⋯こうしてオトナの色気で徐々に篭絡していくわよ。
とまあこんなことは宝くじを買うくらいあてにはしていなかった。
⋯⋯ほんとだよ?
でもちょっとくらいは夢を見ているのに酔わなきゃ29歳はやってられないのだ。
「いつもありがとうございます」
「いいのよこのくらい。 それじゃお仕事頑張ってね」
「はい!」
⋯⋯ちょろい!
私は微かだけどこのイケメンボーイに可能性を感じていたのだった。
まあ彼がどんな仕事をしているのとか全然知らんけど。
私の男を見る目は確かなのだ! たんに選ばれないだけで⋯⋯クソッタレ!
そして私も仕事のスーパーのレジ打ちに行くのだった。
私は仕事中は心を無にして働いている。
あーこいつら隣のセルフレジに並びなさいよ。 空いてるでしょそっちの方が!
なのに私の方にばっかり並びやがって愚民共め。
そしてもうすぐ仕事が終わる⋯⋯時だった。
「事件だニポ~!」
「うわびっくりした!」
急にニポが湧いて出てきた。
「あら小鳥遊さんそれは?」
「あはははは! さっきの子供が忘れていったヌイグルミのようで⋯⋯失礼。 お先に!」
そういって17時ジャストで私はタイムカードを押してスーパーを出るのだった。
「あ! 小鳥遊さん! この後もう2時間残ってくれませんか? ボーナス付けるので」
「すみません店長! 今日は急いでるので!」
この後のかき入れ時の残業は時給が20%アップするが⋯⋯こっちは1時間で5万円のお仕事なんじゃ、すまんな店長! 恨むなら悪の組織を恨んでくれ!
こうして私はニポと一緒に現場へと向かうのだった⋯⋯タクシーで!
くそっ! 微妙に遠い所に出やがってタクシー代が!
「⋯⋯タクシー代は経費で落としておくニポ。 現着が遅れて被害が拡大するよりマシだニポ」
「あんがとニポ!」
そしてタクシーの中で簡単にニポから魔法少女のレクチャーを受ける私。
それを腫物のように見つめるタクシードライバー⋯⋯。
「⋯⋯これ腹話術なんです。 こんど子供会の出し物の練習で」
「まあこっちも仕事だからね。 もっと変な客も多いから気にしなさんな」
くそ⋯⋯なんかこの優しさが目に染みるぜ。
そして私が現場に到着した!
「さあ変身だニポ! 魔法少女にマジカルチェンジだニポ!」
「よっしゃあ! ラブリーマジカルパワー! セットア~プ!」
謎の光線とヒラヒラのリボンが私の全身を包んだ!
そしてわずか0.03秒の早業で私は魔法少女になっていたのだった。
「⋯⋯これが私!?」
その姿は私がもっとも可愛く輝いていた9歳くらいの姿だった。
「魔法少女の変身はその人のもっとも魔力を発揮する姿になるニポ」
「つまり若い頃?」
「というか⋯⋯キラキラの夢にもっとも満ちている時期だニポ」
「うわあああ! 恥ずかしい!」
しかしこの体は⋯⋯チェックしないと!
「せーの! ロリコン逮捕! ロリコン天誅! 1・2・3・4・踊りましょ♪
⋯⋯できる! この軽快なステップが私に! 確かに若返った!」
「なんだそのキレキレのダンスは⋯⋯」
「ネットで今大流行りの歌だけど」
ちょっと真似して踊ってみたら膝が悲鳴を上げて無理だったのにショックを受けたあのダンスである。
「いける! この体なら戦えるわ私!」
そして現場へと駆け付けるのだった。
そこでは黒い戦闘員が多数その辺の店の物品を奪う世紀末な場面だった。
「そこまでです! やめなさいアンタたち!」
「誰だ! なに奴!?」
そして私はこの1週間ずっと練習していたポーズと名乗りをあげた!
「この街の平和を乱すあなた達を私は許さない! 魔法少女マジカル・リリカ! 参上です! ⋯⋯きら~ん♪」
そして私の背後でピンク色の煙幕が爆発した⋯⋯ナイスニポ!
無言でサムズアップするマスコット、あんたの手どうなってんの?
「魔法少女だと!? まさかこの地にはもう居ない絶滅したはずでは!」
絶滅したのか魔法少女は⋯⋯そりゃ私なんかが採用されるわけだ。
「悪がはびこる限り魔法少女は不滅です! このマジカル・リリカが成敗します! ⋯⋯きら~ん♪」
「なにがきら~ん♪ だ! かかれ! お前たち!」
そうボスらしき指揮官が戦闘員をけしかけてきた!
よし戦闘開始だ!
「さあマジカル・リリカ! このマジカル機関銃を!」
「そんなものはいらん!」
「ニポッ!?」
あんな60秒で5万円も弾薬を使うような兵器使えるか!
私にはこの拳がある!
「マジカル正拳突き! マジカル回し蹴り!」
子供の頃の私は空手の道場に通っていた。
今やできなくなった空中回し蹴りもこの体ではご覧のとおりよ!
「うぎゃあ!?」
「ふぎゃあ!?」
「ああ! 戦闘員A君! B君が! おのれ!」
そしてボスが私に向かってきた。
「くらえ! サイクロンソードスラッシュ!」
その上段からの剣を私は!
「マジカル回し受け!」
鮮やかに防いだ!
「マ・ワ・シ・ウ・ケ⋯⋯見事な」
ニポも驚くくらいうまくできた。
「ばかな⋯⋯この高周波振動ソードを素手で防ぐとは!?」
「覚悟だ⋯⋯いいな?」
私の目が真っ赤に燃える!
その燃える炎のオーラが拳に宿る!
「マジカル・リリカ! 必殺! バーニング・ラブリーパーンチ!」
「ぐはあ!?」
そしてそのボスは吹っ飛んだ。
「よし勝った! ⋯⋯あ」
しまった! 勝ってしまった!?
このまま悪が根絶されては私の臨時収入が!
その時だった!
近くにいた園児がトラックに轢かれそうになったのは!
「あぶない!」
私はとっさに体が動きその園児を救った。
「大丈夫? 怪我はない?」
「うん、ありがとうマジカル・リリカ!」
いいなあ子供の純粋な瞳は⋯⋯じゃなくて!
「今日のところはここまでにしよう! 勝負はまたいずれ! サラバだ!」
「あ! まてコラぁ!」
私の腕の中の園児は怯えていた。
きっと今頃になってトラックに轢かれそうになった恐怖を思い出したのだろう。
気がつくと戦闘員たちも姿がなかった⋯⋯逃がしたか。
「気にしなくていいニポ。 とどめを刺せなかったのは仕方ないけど子供を守るためだったニポ」
「⋯⋯そうね」
どうやらバレてないようである、しめしめ。
「それにこんなに早く戦いにケリがつくと俺っちまた地方に飛ばされるからな⋯⋯」
「⋯⋯あんたとはうまくやっていけそうな気がするわ」
こうして魔法少女マジカル・リリカの初陣は見事な勝利に終わったのだった。
そしていやむしろここからが本題である!
「えー今回の戦闘収支報告です⋯⋯ニポ」
「わーい楽しみ♪」
私は現金だった。
「今回の被害はきわめて軽微、人的損害は皆無。 という事ですべて保険の適用範囲でニポ」
「ふむふむ」
「そしてコスチュームにも損傷はなくクリーニングのみ。 そして重火器の使用もなかったので」
「ほうほう!」
「⋯⋯だいたい9万円くらいが里香の口座に振り込まれるニポ!」
「9万! やったあ!」
ナイス臨時収入である! たった1時間に満たない戦闘でこれは美味すぎる!
あーまた来ないかな悪の組織♪
「里香⋯⋯やっぱり君は魔法少女の資質があるニポ。 これからもニポとやっていってほしいニポ」
「こちらこそよろしくニポ」
そして私はこの毛玉と握手する」
「頼んだぜ相棒!」
「そっちこそ毛玉のオヤジ!」
私はコイツとはうまくやっていけそうだと思った。
「さあ今日は祝杯だ! 飲むぞー!」
こうして私は職場のスーパーに戻って買い物しようとしたら店長に泣きつかれて、その後2時間残業することになったのである。
⋯⋯まあいいか、気分はいいし。
そして店長が帰りに高い酒をプレゼントしてくれたから許す! わーい♪
こうしていつもよりも遅い帰宅になった私だったが⋯⋯。
「あら阿久戸くん? 今帰りなの?」
「あ、小鳥遊さん! ええちょっと仕事の事後処理で遅くなって」
⋯⋯これはチャンスかもしれない。
「阿久戸くん⋯⋯夕飯まだかしら? もしよかったらウチで食べていく?」
「いいんですか小鳥遊さん! じゃあお言葉に甘えて」
もしかしたら本当に脈があるのかもしれないこの男は!
こうして私は自慢の肉じゃがを彼に食べさせるのだった。
「美味しかったです小鳥遊さん、ありがとうご馳走様」
「いいのよこのくらい」
くくく⋯⋯今も昔も独身男は女の作った肉じゃがにはあらがえんのよ。
実家の母の受け売りだけど。
「ところで阿久戸くんってどんな仕事を?」
さりげなくこの男の収入その他もろもろの情報を聞き出す抜かりない私。
「実は俺の親は大手の不動産関係の会社をやっているんですけど」
「そうなの?」
なにこの勝ち組! ぐへへ、私の目に曇りはなかった。
「でもそのまま家業を継いでも親の七光りで部下には認められないと思ったので学生時代の仲間とベンチャー企業を立ち上げて、その社長というか⋯⋯ははは、まだまだ全然利益の出てないただの道楽なんですけどね」
「いいじゃない、その経験はきっとあなたの財産になるわ」
「そうですか! 嬉しいな小鳥遊さんにそう言ってもらえて勇気が出てきました! 頑張ってみようと思います今の仕事を!」
「くじけるな。 若い頃の失敗の一時や二度くらい」
「⋯⋯そうですよね。 今日も俺ちょっと仕事をしくじったけど、まだやり直せますから頑張りますよ俺は!」
「あなたになら絶対に出来るわ阿久戸くん」
「小鳥遊さん⋯⋯」
こうして今夜はここでお開きになった。
ここから先はまだまだ私に依存させてから⋯⋯じっくりとね♪
ムフフ⋯⋯♡
☆= ☆= ☆=
阿久戸は里香の部屋から自室に戻るとスマホをチェックした。
「⋯⋯父さんから着信が。 しかたない」
そしてスマホで父に電話する。
『鷹史か』
「⋯⋯お疲れ様です会長」
『 ⋯⋯べつにパパと呼んでくれてもいいのだぞ?』
「いえ⋯⋯仕事の話ですから」
『うむ⋯⋯そうか。 では報告を聞こうか』
阿久戸鷹史は緊張しながら今日の業務報告をする。
「本日17:20ごろに魔法少女と交戦しました」
『ほう⋯⋯』
「残念ながら敗北しました。 もうしわけありません」
『そうか』
「会長の顔に泥を塗るこの始末まことに──」
『いいか鷹史よく聞け。 その星に魔法少女が派遣されているという事はわれらの狙いであるドリームストーンがある可能性が極めて高い』
「ドリームストーン! あの伝説の魔法石が!」
『くくく、息子の道楽ベンチャーごっこだと見守るつもりだったが一大事業になったな。 どれ⋯⋯私が──』
「お待ちください会長! ⋯⋯この仕事を私に任せてもらえないでしょうか?」
『なぜだ?』
「これは俺が始めた仕事だからです! その最初の仕事を父に譲りたくありません!」
しばらく無言だった。
鷹史は緊張する⋯⋯。
『変わったな鷹史。 いいだろう、お前に任せよう』
「本当ですか!」
『ああ。 だが期限は1年! それで結果を出さなければ私が仕切る! いいなそれで?』
「はい! お任せください父さん!」
『くくく、息子の成長は嬉しいものだな。 まあがんばれ、母さんも会いたがっているたまには帰ってこい。 じゃあな』
「はい⋯⋯父さん」
こうして通話を切った鷹史だった。
「よしやるぞ! この地球を我が物にして必ずやドリームストーンを探し出して小鳥遊さんに⋯⋯えへへ」
阿久戸鷹史24歳。
まだまだ新人の地球侵略者であった。
そして淡い初恋をする若者でもある。
☆= ☆= ☆=
それはさておき、お隣の小鳥遊里香の部屋では!
「さあ! 初陣の勝利を祝ってカンパーイ!」
「いいのか? 俺も飲んでも?」
「いいのいいの! 飲めニポ!」
「おう! グビビビ⋯⋯ぷはあぁ! うめえ! まったく魔法少女と祝杯をあげる時代が来るとはよお」
「今日は無礼講だー! 飲め! 飲め!」
「おう! 父さんは頑張っているぞニコ! ニノ!」
ニポは家族の写真を見ていた。
「それがあんたの家族? 全員毛玉で見分けつかねー!」
「まったくこれだから地球人はよ。 この娘っ子の可愛さをよく見ろよな!」
「わははは! カワイイカワイイ!」
魔法少女マジカル・リリカの戦いはまだ始まったばかりである。
戦えリリカ! 負けるなリリカ!
悪が滅びるその時まで!
「高収入の臨時バイトに御曹子のイケメン坊やとの結婚の可能性まで見えてきた! これが私の人生のシャイニングロードだ!」
「まったく結婚を人生のゴールだと思ってるようじゃ里香もまだまだ夢見るお嬢ちゃんだぜ!」
「やかましー! 私はまだ20代だぞ! 若いんだ! 夢見て何が悪い!」
小鳥遊里香 (29歳)の最後の戦いはまだ始まったばかりである!
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