【7イニング制】高校球児を守る改革(案)【タイブレーク】
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は暑さ対策のための「7イニング制度検討」と僕個人が考案した独自の甲子園暑さ対策について意見を述べていこうと思います。
◇7イニング制度は「野球に似た何か」
質問者:
7イニング制度の前に今回の甲子園から1日3試合の日は朝と夕方の「2部制」になるみたいですね。
筆者:
これも今回の「7イニング制度」と関連しています。
7イニングにすることによって1日に朝夕での4試合開催が可能になるのです。
現在の9イニングではクーリングタイムを含めると3時間近くになってしまうので、昼に試合をやらないと4試合行うことは不可能ですからね。
質問者:
それは良いことなのでは無いですか?
筆者:
ただ、僕はこの案には反対です。
なぜなら野球は「9回が伝統」だからです。7イニングになればそれはもう「野球に似た何か」であると僕は考えます。
野球は9回だからこそ面白い! という旧態依然とした理論だけでは、
7回でも7回にドラマがあるだろぉ!? とか反論があり、納得していただけないと思うので歴史的な理由とプロも見据えた合理的な理由でもって説明したいと思います。
質問者:
野球が9イニングになったのはいつからなんですか?
筆者:
1845年に定めた「ニッカーボッカー・ルール」が現代野球の土台としてあります。
当初は7イニングが提案されていたようですが、「少しでも打席に立ちたい」と言う要望が多く、
1857年時の統一ルールから9イニング制度が確立しました。
高校野球においては1915年の第1回大会から9イニングで始まっており、
アメリカから考えれば160年以上、日本で考えて見ても100年以上ものの間「9イニング」で決まっているのです。
※去年のU18の世界大会では7イニングでの大会でしたがそもそも大会自体があまり注目されていませんでした。
質問者:
それだけ長い歴史があれば「野球=9イニング」で定着してもおかしくは無いですね……。
筆者:
また、僕はどちらかというとプロ野球に進んだ場合も含めて総合して考えているタイプなんですね。
その点7イニング制で現在の複数投手制度が定着している状況ですと「中継ぎタイプの投手」ばかりが増える可能性があると思っています。
これはプロ野球にとってマイナスだと考えています。
これはプロ野球のイニング数が短縮されるわけではないので長いイニングを投げる意識というものが無くなっていくからですね。
現在において分業制度が定着しているとはいえ、「9回完投」という事は中継ぎの負担の軽減にも繋がるためにそう言った投手が存在していることはチーム全体やプロ野球全体にとってプラスになります。
そのプラス要素の可能性を「7イニング制度」によって高校時代から目を摘んでしまうというのはどうなのだろうか? と言うのが僕の感想です。
もちろん7イニング制度からプロに入ってイニングを伸ばすというのもありだとは思いますけど、なかなか対応は難しいんじゃないかと言うのが僕の感覚としてはあります。
◇2部制+「3回戦まで他球場並立制」+球数制限週200球がベスト
質問者:
「2部制+7イニング制」は反対という事をお聞きしたのですが、
では具体的にはどのような方法で選手を守る方法を考えているのですか?
筆者:
そもそも甲子園で全試合を行おうとすること自体が古いのではないか? と言うのが僕の感覚としてはあります。
甲子園に全員参加が出来るのは開会式のみで準々決勝から甲子園での試合と言った方式を取ることが望ましいのではないかと僕は考えます。
登板間隔を均一に空けることで選手の回復を助けるのです。
具体的にはこんな感じにします。
7日 開会式のみ(夕方開催)
8日 1回戦(甲子園以外での複数球場での2部制開催)
12日 2回戦(甲子園以外での複数球場での2部制開催)
16日 3回戦(甲子園以外での複数球場での2部制開催)
20日 準々決勝 甲子園で4試合
24日 準決勝 甲子園で2試合(朝から1試合、夕方から1試合)
28日 決勝 甲子園で開催(夕方から実施)
このような感じにします。
質問者:
えっ……甲子園を目指したのに甲子園で試合が出来ないなんて気の毒のような気も……。
筆者:
ただ、年末年始に開催されている全国サッカー選手権大会でも国立で戦えるチームが4強以上の準決勝からの試合に限られていますからね。
(夏の高校総体の4強以上はJヴィレッジスタジアム)
むしろ甲子園で試合をやることの「格式」や「希少性」は上がると僕は思うんですよ。
質問者:
うーん、なるほど……。
現在は球数制限が1週間で500球と言う制限があるようなんですけど、
それで選手は守られるんでしょうか?
筆者:
全く守られないと思います。
現在1週間で500球と言う球数制限は無いに等しいです。甲子園100年の歴史で見ても歴代でも1週間で500球は20人ぐらいしかいないんじゃないかと思います。
そもそもプロ野球で1週間で500球も投げる投手がいたなら大炎上すること間違いないです。
球数制限は週200球(つまり中3日空けるために2試合で200球が限度)ぐらいが選手生命を総合的に考えて限界じゃないかと思います。
質問者:
投手が少ないチームは大丈夫なんでしょうか……。
筆者:
今年の地方大会では、一人の投手が全試合を投げぬいたチームは存在しないようなので、複数投手制は定着したと言えると思います。
中3日でも選手生命にとって危ない可能性はありますけど、
甲子園のシーズン中の提供や、学校の休みの期間の考慮、雨で順延なども総合的に考えると、このラインが限界なのかなと思います。
質問者:
意外と現実的な案なんですね……。
筆者:
僕としてはバランスをとって判断しているつもりですが、完全にあっているとは思っていません。
ただ、何かを得るため(選手を守るため)には何かを棄てなくてはいけないことは間違いないと思います。
僕は全試合を甲子園で行う事を棄てる選択を取ったほうが良いように思いますが、指導者の方や球児の皆さんがどう思われるかは分かりませんね。
◇タイブレークについて
質問者:
2018年からタイブレークの制度(無死1・2塁から始まる)が導入されてこれについても賛否が分かれているんですけどそれについてはどう思われますか?
筆者:
僕は上にも述べていますが「野球は9回」だと思っているので、
9回で決まらないのならもうタイブレークでの決着も仕方のないことだと思います。
バントや守備、戦術など多様な見どころはありますし、ある程度決着の終着点が見えることから選手起用の逆算も効きますから体力の計算もできるでしょう。
質問者:
意外にもそこは賛成なんですね……。
筆者:
アメリカのメジャーリーグでは2020年からタイブレークは試験導入(ただし無死2塁から開始と高校野球とは異なる)され、23年からは恒久的な制度になっています。
将来メジャーを目指すにしてもタイブレークに慣れておくことはむしろ大事なことだと思います。
※タイブレークについては今年からプロ野球でも検討を開始
質問者:
今年から金属バットの規格が飛距離が伸びなくなってしまったという話もありますから決着がつきやすくなることは大事かもしれませんね……。
筆者:
そうですね。
金属バット低反発バットに改定はプロ野球で活躍できない人が減ることが期待されるために僕は賛成の立場なのでタイブレークは選手を守るためにも必要だと思います。
◇結局のところ「選手の気持ち」が一番大事
質問者:
7イニング制VS他球場並立制のお話に戻りますけど、
結局のところどうしたらいいんでしょうか……。
筆者:
僕は草野球レベルのプレイヤーで、正直高校球児だったことが無いので、「甲子園でプレーすることの重み」という事が分かりません。
更にはほとんど家で涼みながらの観戦・応援ですからね。それで熱中症になるんですから笑えますけど(笑)。
ただ7イニングに減らすこともアピールの機会や最後の夏が減ってしまう事というのは同じぐらい「重いこと」だと思うので、
これらの大きな決断をする際には「全国的な選手の意見を聞くこと」が絶対条件だと思います。
質問者:
確かに当事者の声を聞かないで勝手に大人が進めていたら一番酷い結末になりそうですよね……。
筆者:
大人だけの都合や気分で重大な決定を下すのは完全に「エゴ」であると僕は考えますからね。
かと言って現状のままでは猛暑から選手は守れないので「改革しようとする高野連の姿勢」というのは大きく評価できると思うので、
今後も選手の意見を聞きつつ改革して欲しいなと思いますね。(現状も高野連はたまに選手に対してアンケートを取っているようなので)
ということで、ここまでご覧いただきありがとうございました。
普段は政治・経済の話ばかりですがたまには野球の話もしますのでどうぞご覧ください。
甲子園大会を夏以外に開催する案もネットなどではありますが、秋の大会をいつ日程にすればいいのか分からなくなるために(3年生大会と1・2年生大会で分けると多くの学校が参加できなくなる可能性がある)、あまりよくない案だと感じています。