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花嫁は白亜城の生贄  作者: 久世 真緒
13/17

城の真相へ

今回の話から、軽度ですが、残酷な表現があります。ご了承の程、よろしくお願いします。

 パーティーから帰ってきた私は、深い眠りについていた。だけど、急にメアリ姉様の声がしたような気がした。


「アン、お願い…早く起きて。手遅れになる前に」


 意識が朦朧とする中、真夜中に目が覚めた。いなくなったブリジットのことを考えた。使用人のだれも見ていない、と言っていたのに、伯爵だけが知っているのはおかしくないだろうか?ブリジットがお酒に酔っていたのなら、だれかしらその様子を知っているはずなのに、そんな話はなかった。

 何かおかしいかもしれない。意識を何とかはっきりさせながら、私は探索に出かけることにした。ジュリオと探索していたから、城の仕掛けはある程度はわかる。ジュリオがいなくて不安だけど、危険が迫っている気がして、いてもたってもいたれなかった。




 怪しいと思った場所は、ギャレット伯爵がよく立ち寄るジュリエッタの肖像画のある部屋だ。いつもよく立ち寄っているし、昔の妻の肖像画ということもあって、花嫁候補たちはあまり立ち寄らない。

 もしかして、絵画の裏に隠し通路があったりして…と、自分でも飛躍しすぎた考えだと思ったが、肖像画をどけてみた。

 すると、隠し部屋につながる廊下があった。思わず声を上げそうになった。

 部屋に入ったら、引き返せなくなる。恐怖で足がすくみそうになったが、少しずつ足を進めた。




 蝋燭が灯った薄暗い部屋で、不気味だった。でも、よく見ると六角形の箱が10個並んでいる。

 棺桶だ。こんな所に、こんなにたくさんの棺桶が…。

 部屋には10個もの棺桶があり、奥から数えて8個目の棺桶は少し開いていた。まさか、と思いそっと中をのぞく。


「ひえっ…」


 私は思わず小さく悲鳴を上げた。そこには胸を刺されたブリジットの遺体が入っていた。そして、その横の棺桶には、眠るように横たわったミッシェルの遺体が。

 親しかったミッシェルまでこんなことになっていて、目から大粒の涙が溢れた。ブリジットだって、仲良くはなれなかったけど、こんな殺され方なんて、あんまりだ。他の棺桶の中は既に白骨化していたものが多く、身元が不明だった。

 しかし、奥から数えて7番目の棺桶は、見覚えのあるペンダントをしていた。金色のバラのペンダントをしている。


「ああ、まさか…そんな…メアリ姉様だというの…?」


 その遺体が身につけていたのは、メアリ姉様が嫁入りする前に交換したペンダントだ。

 やはりメアリ姉様は逃げてなんかいなかった。いや、こうなっては逃げていてくれた方がよかった。

 殺されたのだ。今まで花嫁だった女性は全員、逃げ出したのではなく、殺されていたのだ。

 では、だれに?城の構造に一番詳しい人と言ったら、決まっているではないか。


「もう起きてきたのか、アン。想定より早いな」


 やけに優しい声色だった。恐る恐る振り向くと、にこやかなギャレット伯爵が、いつの間にか背後に立っていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしよろしければ、励みになりますので感想やブックマークをお願いします。

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