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花嫁は白亜城の生贄  作者: 久世 真緒
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あからさまな態度

 初めての乗馬では、結局、私とミッシェルが乗馬を行っただけで終わったが、その日から、明らかにギャレット伯爵の態度が変化した。

 まず、ブリジットがいつものようにギャレット伯爵の腕にしがみつこうとすると、その手を払いのける。ブリジットが不満をもらしても、当たり障りのない態度のままだ。

 見事に暴れ馬をいなしたミッシェルに対しては友好的ではあるけれど、あくまで友人としてのような扱いだ。

 そして、特に私に対しての態度が明らかに違う。


「アン。君に似合うと思ってこのドレスを仕立てさせたんだ。きれいだろう?」


 にこにこと微笑みながらギャレット伯爵は、赤を基調とした装飾の多めな派手なドレスを見せた。私は顔がひきつりそうになるのを必死にこらえた。

 ここのところ、連日のようにギャレット伯爵からのアピールが続いている。


「伯爵、お気持ちはありがたいのですが受け取れません」


「だが、ダンスパーティーも近いだろう?このドレスが似合うと思っているのだが」


「えっとその…ブリジットがよく赤のドレスを着ていますから似てしまいますし、私はダンスパーティー用に既に用意したものがありますので…」


 ブリジットの刺すような視線が痛い。今まではブリジットが伯爵のすぐ近くに居たのに、もう伯爵は見向きもしない。完全に敵視しているようだ。

 伯爵は私の言葉にめげず、私の髪を一房すくい、キスをした。とっさのことに身動きがとれず、戸惑うばかりだった。


「では、今回は君へのプレゼントは諦めよう。ダンスパーティーで着飾った君を見れることを、楽しみにしているよ」


 射抜くような視線に、私はかよわい草食動物のように身をすくめることしかできなかった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしよろしければ、励みになりますので感想やブックマークをお願いします。

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