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⑷『地獄の宿』

⑷『地獄の宿』



自由有りきの、地獄の宿だが、だがしかし、閻魔にだけは、様々な特権があると聞いた。寧ろ、この地獄が現世なら、閻魔こそ神の位置に座っているだろう。何れにしても、地獄とは安心だけではない、物騒なところでもある。



閻魔は俺のことを、お前、と呼びそうだ。しかし、そんなことは、関係のないことなのである。閻魔が怒り狂っても、俺は地獄の宿を出ないよ。しかし本当に、現世では、盗みや殺しが行われているようで、正直怖いね。



事実上、俺は少なくともあと半年くらいは、この地獄の宿に居る予定だ。匿って貰えている感覚もある。団子だのそうめんなど、美味しいものは出てくるし、宿民同士で、喧嘩になることもないしね。安住の地なんだよ、本当に。

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