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かみさまなんてことを  作者: あんぜ
第三部

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第24話 ただいま

「さて、物騒な話ですがもう一件、懸念されることがあります。実は我々の国との重要な交易路、北への街道なのですが、こちらでも襲撃事件がありました」


 俺たちが出ていく前からヘナスがぎょっとしていたが、俺たちの姿を見ると目を向いて口を開けている。


「お、おま、おま、おまえ、なぜここに」


 いや、おまえはないだろ、兄貴だろ。


「こちらの方々は、我々と道中を共にしておりましたが、襲撃の際、身を挺して毒矢から我々を守ってくださったのです」


 おお――貴族たちからどよめく声が。まあ、一応元騎士団長だしな。


「最終的には《陽光の泉》の聖騎士様に助けられ、事なきを得ました」


 胸をなでおろす貴族たち。まあぶらっと現れたのに国賓扱いされるような相手に怪我なんてされたらたまったものではないだろう。


「さて、その一味。物取りにしては組織的な上に手練れでしたものでわたくし、つい――」



「――興味本位で鑑定の力など使いましたところ――」


 思わせ振りに間を持たせてそう言うと、従者さんが羊皮紙を開き、七人の名前を読み上げる。徐々に顔を青ざめさせていく者が数名。


「――こちらの方々が首謀者でしたようで、どなたかお心当たり、ございませんでしょう」


 ひっ――と声を上げるドバル家公子。足は震え従者に寄りかかるも、その従者も震えていた。


「こ、拘束せよ」


 我に返った大臣が声を上げる。ドバル家の者、それから別の一団が拘束される。拘束と言っても貴族相手だ。縛り付けられるでもなく、武器を構えた衛士に囲まれるだけだが。


「事情がおありでしょう。手荒なことは慎んでいただけましょう」


 ハルカは大臣に微笑みかける。大臣も頷き返している。



 ◇◇◇◇◇



「これで王国との交易の懸念がひとつふたつ消えそうですね」


 ふたつもあるのかよ、どういうことだよ。ハルカの考えが読めない。


「さてあとひとつ。皆様に集まっていただいた目的があります」


 ハルカは大臣ににこりと微笑むと、こちらへと彼を促す。自身も立ち上がり、俺たちの方に歩み出てくる。


「剣聖様、彼を縛っていただけますか? 暴れられると困りますので」


 段取りを聞かされていたのか、キリカが出てくるとエイリュースを怪物を縛る紐で縛る。


「わたくしの鑑定には、実のところこの二人、ユウキ様とエイリュース様、それぞれの魂が入れ替わっているように見受けられるのです。そしてそれは魔法の道具の影響」


 謁見の間全体からどよめきがあがる。いや、嘘ではないが、せいぜい祝福が入れ替わってるくらいの根拠だろそれ……。


「やめろ、やめろ……」


 魔法が解けたエイリュースが呟いている。キリカに紐を抑えられて跪かせられているが、キリカは袖の下から彼の目の前に聖剣の切っ先を見せている。


「《砦》を」


 ハルカの言葉に、従者さんが衝撃音と共に《砦》を構築する。ルイビーズの紋が周囲を覆う。


「《霊の送還(ターンスピリッツ)》を行います。これは本来、あるべき場所にない魂、憑いた死霊、彷徨う亡者の霊を祓うものです」 


 ハルカが祈りを捧げる――眩暈がする――そして浮遊感――そうだ、これと同じことが前に――大臣だ――会議の前に大臣に呼ばれた――お茶をいただいたな――何か変わったお菓子を貰って食べた――その後――そのあと――その――。



 ◇◇◇◇◇



 目が覚めた。ふわりと香る香草の香り。天蓋のあるベッド――またここか。でも今回は悪い目ざめじゃない気がする。


「目覚められましたね」


 シーアさんだろう。たぶん。最初はいつも彼女だ。


「ユーキ! ユーキ!」


 赤い髪の少女が飛びついてくる。


「アリア……よかった」

「よかった。よかったぁ」


 アリアが頬を擦り付けてきてくすぐったい。

 周りを見るとルシャもキリカも居た。二人に微笑みかける。


「ルシャもキリカもありがとう。ただいま」


「おかえりなさいませ!」

「面倒かけすぎよ」


 確認しないでもわかる。アリアが喜んでるんだ。俺は元の体に戻った。



 あの後、倒れた俺からは亡霊のようなものが体から抜け出し、彷徨ったかと思うと元の体に戻っていったそうだ。こわ。


 そしてその入れ替わりが終わったあと、なんと大臣が己の罪をハルカに告白したという。身に着けていたアミュレットを差し出し、入れ替わりの魔法の道具だと言ったそうだ。後から聞いた話だが、魔法の道具は人の魔力に触れていないと効果が持続しないのだと。なので彼が身に着けていたらしい。


 彼はまた、溺愛していたエイリュースがいよいよ身内に殺されそうになったため、この謀を実行したと白状した。しかしそれも、ヘナス達が罪に問われたためこれ以上の心配は無用と考え、告白したらしい。


「それに、聖女様にあらせられましては、すべてご存じのご様子」


 そう言ったそうだ。ほんとかよハルカ。


 ハルカはまた、大臣が傍へと促された時点で魔法の道具を解除していたと言っていたそうだ。送還が早くに終えられたと。そのため、大臣への幾許かの慈悲をと国王陛下に提言したらしい。ただこれは大賢者様によると、行政の重要な部分を大臣が担っているうえ、現在重要な派閥の取りまとめにも大臣は欠かせない存在であったため、国王を案じての言葉ではないかということだ。



「ほらほら、客間のベッドを汚す前に帰れ! リア充どもが!」


 大賢者様が怒鳴り込んでくる。まあ、元気だからいいんだが。

 あれでも今、リア充って言わなかった師匠?


感想たいへんありがたいです。

完結したので設定予想・展開予想は自由に書いてくださって構いません。

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