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かみさまなんてことを  作者: あんぜ
第二部

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第5話 名でも書いておいてくださいまし

 また別の日、俺たちはミシカとヨウカの冒険者登録のために、アリア、キリカと共にギルドを訪れていた。彼女らの年齢は俺の4つ下。成人したキリカ達の2つ下になる。


 なお、リーメは俺の3つ下で実は成人していない。俺は最初、成人年齢が厳密なものではないのかと思っていたが、孤児院でいちばん上になるのが嫌で、しれっとキリカ達と一緒に独り立ちしただけなのだ。こいつほんま……。


 ミシカとヨウカは兵士として雇ってもらうという手もあったのだが、キリカを慕って冒険者を希望した。一応だが、キリカは兵士の方が安定するし、自分たちは仕方なく冒険者になったということは伝えたのだが、現状が現状なので説得力に欠けた。



 そう、現状《陽光の泉(ひだまり)》は極めて高難度の討伐依頼を果たせる唯一のパーティとなっていた。もちろん、安全を期するために綿密な調査の上で受諾しているが、それでも右に並ぶものは無く、若い冒険者などからは羨望のまなざしを受けていた。


 ただまあ何というか、ノエルグとの腕相撲を知っているごく一部の連中以外からは、俺は女性パーティ《陽光の泉(ひだまり)》のヒモくらいにしか思われない節もあった。あまり間違ってはいないな! ぜひ俺の代わりにとアリアに提言する、他所から来た命知らずは後を絶たない。理由もなくアリアの機嫌が悪いときはだいたいそれ。


 というわけで俺がたまに独りのときはオマケ扱いがわりと酷いわけだが、否定もしないし、むしろ肯定気味に自嘲するので、あまり争いにはならなかった。



 ◇◇◇◇◇



 さて、テーブルでアリアがニコニコとれいの砂時計を出してお茶を入れていると、受付の方が少し騒がしくなった。


「勇者様か」

「勇者が帰ってくるんだって」


 へぇ、勇者なんていたんだ。アリアたちに聞くと、七年くらい前に招かれた召喚者だそうだ。アリアもキリカもあまり詳しくない。隣のテーブルの連中に聞くと、何か月か前から、騎士団の選抜部隊と共に王国内の怪物の討伐や、魔王領下の町の奪還のための遠征に出ていたという話だ。


 七年もこの国のために働いてくれてるのか。同じ召喚者なのに、恋人見つけてのんびり暮らしてる俺とは大違いだな。ありがたいことだ。ただ、魔王なんてものが居るとなると、呑気に暮らしてるわけにもいかないのだろうか。


 ミシカとヨウカは勇者様に興味津々のようだ。俺がお隣さんに聞いてると、一緒になっていろいろ話を聞いてくる。勇者の名前はアオとかハルとか言うらしい。どっちだよって聞くと、勇者は男と女の二人なのだそうだ。何故か耳に馴染む――というか、召喚者なんだからそりゃそうか。


 キリカとアリアは全く興味がないのか、お茶を楽しんでいた。



 ◇◇◇◇◇



 その翌日、孤児院に王城からの召喚状が届いた。《陽光の泉》の聖騎士・剣聖・聖女に対するもので、アリアたちは不安げに届いた羊皮紙を見ていた。


 こういう時のための礼服もドレスもまだ採寸を終えたばかりで仕上がっては居ないのだけど、どうしようかと話していたら、アリアは冒険者として呼びつけられたんだから、時間もないし、普段通りでいいよと言った。それよりも――と。


「どう思う?」


「何か面倒事があるわよね」


「ユーキ様の名前がないのが気に入りません!」


「いや、俺は呼ばないでしょ」


 三人に睨まれる。何故。


「来ないつもり?」


「私たちを守るつもりがないのかしら?」


「や、俺どちらかというと守られる側だよね」


 ――というわけで、俺の参加も決まった。リーメはスルー。気楽でいいよなあ。



 ◇◇◇◇◇



 さて、王城へ向かうと門で出迎えてくれたのはシーアさんと大賢者様のところの使用人さんが馬車で。一応、後ろ盾としては今回の件についても動いてくれているみたいで安心する。


 城では大臣様のところへ通された。通されたはずなのだが俺だけ止められる。そりゃそうだよな。――小姓の入室は罷りならぬ――なんて言っちゃうもんだから、三人から怒鳴りつけられる。――なんですって!?――みたいな感じで。


 刃傷沙汰に発展する前にシーアさんが、アリアの婚約者だと説明して事なきを得る。いやはや血の気が多くてほんとすんません。


「ユーキも腰低くしてないで堂々としてよ!」


 とばっちりがこっちに向かう。



 ◇◇◇◇◇



 さて、応接間だろうか。20人からが入れるような広い部屋に通される。


「お嬢様がた、お待たせしてすまない」


 ほんとお待たせだよ。茶菓子くらい出せよ。やってきたのは大臣らしき人物と先日の竜を買ってくれた貴族――称号持ちだが公爵様ってとこだろうか――なのだが、結構待たされた。護衛が多いが気のせいだろうか。


「おや、そちらは?」


 いやー自分、小姓なんすよ――なんて言う前に、公爵様が耳打ちしてくれた模様。


「なんと其方は陽光の泉のリーダーであったか。てっきり聖騎士様かと思っておりましたわ」


 アリアに向かって微笑みをたたえて言う。あーこれまたアリアが機嫌悪くするぞ。

 アリアは返事をせず、俺に視線を送るので、さっさと話しを進めよう。


「それで、我々《陽光の泉(ひだまり)》になんの御用でしょう」


「いや、用というのは他でもない、聖騎士様、剣聖様、聖女様へということだったのだが」


 公爵様は再び耳打ちをする。


「そうだな。まずはその話を。実は先日、其方らが打倒した黒峡谷の竜であるが、大儀であったと言えよう」


 言えよう?


「ああいや、実はだな。我が国の騎士団団長より苦言が参っておってな」


「現在の騎士団長は勇者殿と行動を共にしております」


 公爵様が補足してくるが、目はアリアを向いている。うわぁ、アリアの顔見たくねえ。でも見ちゃう。あ、怒ってたかわいい。


「何か問題でもありましたでしょうか?」


「実は勇者殿に率いられた騎士団で討伐に向かう予定だったのだ」


 ああ、これは騎士団長の面子を潰したとかそういう面倒くさい奴だ。関わりたくねえ。


「知らなかったとは言え、失礼しました。ですが、放置するわけにも……」

「名でも書いておいてくださいまし」


「「は?」」


 俺の言葉に被せてきたのはルシャ。


「名でも書いておいてくださいまし――と申しました。ご自分の獲物を主張されるのであれば」


「こ、これは聖女様。はっ、確かにその通りでございます」


 まあ、こっちは長期間滞在してたのにもかかわらず、先触れさえなくこれじゃあな。


「それだけのご用でしたらお暇させていただきますが、よろしいでしょうか?」


 うわーつえー。聖女つえー。あのルシャとは思えない。けんりょくとはまことおそろしいな!


「あ、ええ。あ、いや、実はもうひとつ……」

 

「ええ、お三方に勇者パーティへのご参加をいただけないかと」


 勇者パーティ――あれだよね。勇者を交えての宴とか言って高いチケット代取るやつだよね――なんて混乱するくらいには突然だったし、勇者パーティなんてパワーワードを公爵様から聞くとは思わなかった。








続けるとアオハルになるのは執筆中に初めて知った


【ご注意】作者が自分で読みたいので書いてます。なので、感想欄に設定予想・展開予想を書く場合は必ず作者が読み飛ばせるよう、閲覧注意の文字を書くように何卒お願いいたしします。

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