第3話 えっ、キモっ
俺には幼馴染が居た。兄妹のように育ったお隣の女の子。ラブコメのように仲が良かったが、妹のようにしか思っていなかった。もちろん妹が居たとしてもここまで仲が良かったかはわからない。
中学に入ると彼女はひと足先に思春期を迎え、オシャレになり、背も伸びて見違えるように美しくなった――というのは周りの男友達の話。俺はと言えば変わってしまった幼馴染を冷めた目で見ていて、置いて行かれたような気分と共に疎遠になった。
高校に入るころ、遅れてやってきた思春期と共に彼女を想うようになるが、疎遠になっていたころの弊害もあって俺は立派な処女厨にも育っていた。しかし、しかしだ。中学でやっていた部活をやめた彼女とは再び毎日の登校時間を共有するようになる。すぐに距離は縮まり、ひと月も経つ頃には彼女に告白していた。今でも泣いて喜ぶ彼女の顔は忘れられない。こんな顔を見せられては処女厨なんて言ってられない。いいじゃないか、彼女は特別だ。
男女の関係になったのはそれから3か月ほどあと。彼女から迫られた。こちらもその気が無かったわけじゃない。ただ俺は立派な処女厨だったので結婚する相手とだけシたいんだと告げる。えっ、キモっ――胸をえぐるような言葉を返されたが、彼女はすぐに――自分は気にしない。けど他の人の前ではぜったい言わないで――。その後、彼女は将来を誓い合ってくれた。彼女は未経験だった。
付き合って一年経とうかというころ、真剣なまなざしの彼女に告げられる――他に好きな人ができた――。明日にでも告白するそうだ。いいじゃないか、寝取られとか不義理を働いたわけじゃないんだ。結婚しているわけでもない、自由恋愛だ。ただごめん。幼馴染に俺は謝りたい。謝りたかった。
おまえの処女を守れなかった――と。
ぜんぜん立派じゃないですね。
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