07 担当
巡回司法官、これまで僕たちの担当だったルシェリさんが抜けた穴に、
アレがすぽんと収まっちゃったのです。
いつの間にやら見習いじゃなくなってるし。
「エルサニア王都巡回司法官本部勤務」
「準1級司法官レマリィです」
「皆さんの担当を務めさせていただくこと、改めてご挨拶に伺いました」
「これからよろしくお願いします」
……はい、よろしくね。
「……ルシェリ先輩はどちらに」
えーと、たまたま通りがかった大通り商店街でひったくりに遭遇したとかで、
犯人を確保して、衛兵に引き渡して、被害者のお婆さんを家まで送ってきます、だったかな。
「さすがは先輩……」
はいはい、準1級さんもがんばってね。
「……頑張ります」
とりあえず、そうやって睨むのをやめてほしいんだけど。
「……無理です」
女の子から睨まれてうれしがる性癖は持ってないんだけど。
つねり
いてぇ!
なんですか、モルガナさんっ。
セクハラ暴行の現行犯でしょっぴいてもらいますよっ。
ほら、ちょうど目の前に司法官さんもいることですし。
「生真面目女子を言葉でイジメる不埒者こそしょっぴかれるがよい」
「レマリィさんも遠慮無くやっちゃってよろしい」
「もちろん、絶対に遠慮なんかしません!」
むう、周り全部が敵だらけ。
ってか、巡回司法官って、どんだけ人手不足なんだか。
おっと、ルシェリさんを引き抜いたのは、僕たちでした。
つねりっ
イッテェ!
なんだよ、もう。
そろそろこの流れもマンネリもいいとこでしょ。
たまには"ぽかり"とか"つねり"じゃないのをやってみなっての。
「あまり調子に乗ってると、リノアさんやミスキさんたちに応援ハグを要請するなり」
……ごめんなさい。




