表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

19 その後


 その後も、いろいろあったりなかったり。



 事件の方は、残留魔素やら物理的な痕跡やらで、火属性魔法の極至近距離での暴発と確定されました。


 深層自白剤による皆さんの潔白証明も済んでおりますので、これにて一件落着。



 ただ、研究所の皆さんは、あの後全員辞めちゃったそうです。


 あんな事件のあった場所ですし、しょうがないかなと思っていたのですが、


 全員そろって民間の研究施設に移籍して、睡眠時の魔法暴発対策の研究を始めたのだそうです。



『あのような痛ましい事故を防止することこそが、我々魔法研究者の責務である』


 ホルムセジオさんが先頭に立って、皆さん一丸となって取り組んでいるとか。


 お会いした時の感じでは、もっと個人主義な方々の集まりだと思えたのですが。



 魔法が好きだから、なのか。


 スクラハンさんを悼む気持ち、なのか。


 モルガナさんなら、この展開を"予見"出来たのかな。




 ライブレンさんは、あの後ご実家と大げんか、だそうです。


 今後も周囲に迷惑を掛けるような介入をするようならすっぱり縁を切る、と、啖呵を切ったそうで。


 本当に真っ直ぐに育ったのです、あのイケメンさん。



 で、時々、僕に会いに来るように。


 家族友人の乙女一同全員一致の推薦で、速攻『コニタン』持ちですよ。


 さすがはライブレンさん、納得のイケメンパワー。



 なのですが、当の本人は、乙女嵐もどこ吹く風ってな感じのマイペースっぷり。


 どうやら本当に、僕に会いに来るのが目的のようです。


 ハンモックに揺られてお昼寝している姿は、


 サイリ病が伝染したなどと言われる始末。


 いや、それって僕にじゃなくて、そこで寝ている本人に直接言ってくださいよ、イリーシャさん。



「……」


 うわっ、このタイミングで照れられても困るんですけどっ。


 って、引っ張らないでくださいよぅ。



「……騒がしくして起こしてはいけない」(小声)


 イケメンパワー、本当に恐るべし……



 ……



「こんにちは、サイリさん」

「今日は残念なお知らせが……」


 うわっ、テンション低いですね、アリシエラさん。


 ナニゴトですか?



「実は、『エゾリス』の任務解任のお知らせなのです」


 えーと、『エゾリス』の任務といいますと、ヘッドドレス型ゾディの『ロージー』↔︎『ゾディアック』間の乗せ替えサポート、ですよね。



「その通りなのですが、『エゾリス』を危険な任務に晒すのはいかがなものかという非難の声が、各方面から殺到しまして……」


 なるほど、納得。


 あの姿、可愛い方面にがんばりすぎちゃったみたいですね。



「というわけで、ゾディサポート任務から解任された『エゾリス』ですが」

「これからは『エリス』という名で、サイリ家の花壇・家庭菜園並びにみかんの苗木の、管理サポートに従事することになりました」


 あーなるほど、名称からゾディが抜けたので、略称が『エリス』に。


 じゃあこれからは、エリスさん、ですね。



 うん、適材適所、ですよね。


 それに、その職務内容でしたら、今まで通りチュースさんのおうちに同居するかたちでよろしいですし。



「むしろ、その同居生活推進のための各方面からのプレッシャーだったようなのです……」


 お疲れさまでした……


 えーとそれでは、これからはゾディの乗せ替えは、以前のように僕が手動で行うのですね。



「むふっ、実は秘策があるのですよ」


 ほう。



「ヘッドドレス型のままで手足を生やす、というのは大変に不評でしたが」

「リス型のように、動いている姿に違和感さえなければよろしかろうと」


 つまり?



『私の姿がその答えです、マスターサイリ』



 ゾディは更なる変貌を遂げました。


 つまりは、フィグミさんと瓜二つな、ドールボディ。



「『ハラショー』搭乗時は、フィグミさん用のコクピットをそのまま利用出来ますが」

「『ロージー』や『ゾディアック』搭乗時は、新たに増設したクレイドルにドールボディを固定しての操縦となりますっ」

「もちろん、各状態には、自立歩行による移動にて移行いたしますよっ」


 なるほど、素晴らしい解決策、


 なのですが、ゾディが着用しているドール衣装が……



『アリシエラ博士にお願いして、マスターサイリの『クロッカス』を参考にした衣装とさせていただきましたっ』


 うん、見たら一目瞭然。


 なにせピッチピチスーツで身体のラインが丸見え……



「うん、そのままだと、ちょっとあれだよねえ」

「僕のマント、良かったら使って」

「羽根のところが開いちゃてるんで、背中がスースーするけどさ」


 ありがとうございます、フィナさん。



「ちっちゃいお仲間が増えて、嬉しいよ」

「今度いっしょにお昼寝しようね」


『ありがとうございます、フィナ先輩』

『これからよろしくでありますっ』



 うん、ちっちゃい組同士の友情パワーって感じが素敵なのです。


 マント姿、カッコ良いよ、ゾディ。



『マスターサイリも、これからもよろしくお願いするであります!』


 はい、よろしくね。


 アリシエラさんも、ありがとうございました。



「なんのこれしき、ですよっ」

「これからはドールサイズ魔導具も、ジャンジャンバリバリ開発しちゃいますよっ」

「乞うご期待!」


 めっちゃ、楽しみです。



『めっちゃ楽しみでありますっ』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ