表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

13 捜査


 こういう犯人探しって、


 モルガナさんみたいな読心術使いがいれば一発解決なんだけどな。


 などと思いつつ、現場検証に向かう、僕。



 ちなみに、肝心のモルガナさんは、現在、いつものごとく行く先不明。


 あの人、あまり『Gふなずし』を持ち歩かないから、連絡取りたい時に取れなくて、ちょっと困っちんぐ。



 本来のこの件の担当者、巡回司法官御用達の読心術使いミスキさんは、


 この現場の件で連絡に行った巡回司法官の記憶、


 つまり現場での被害者のヴィジョンをモロに見ちゃったらしくて、


 卒倒して、現在自宅療養中。


 いや、たぶん僕も、焼死体なんて直接見ちゃってたら、卒倒してたと思う……



 えーとつまりは、名探偵サイリの出番ってなわけなのです。


 僕の『鑑定』を使えば、すぐに犯人も分かっちゃうだろって思われるかもしれませんが、


 出来ればそれは、最後の手段にしたいのですよ。


 人のステータスの見てはいけないところまで見えちゃうってのは、


 結構しんどいものなのです。


 犯人以外の人の人生まで覗き見ちゃうのは……



 ……



 密室、ですね。


 事件当時、施錠されていたドアは、元軍事施設だけあってやたらと頑丈。


 当然、対物理・対魔法対策もハンパ無し。



 合鍵となるマスターキーの所有者は、


 所長のホルムセジオと警備員のクレストベリのみ。


 まあおふたりとも、絶対に疑われると分かっていて、


 わざわざ密室にするようなおマヌケさんには見えません。



 動機は、あるっちゃあるかも。


 被害者とほかの研究員たちとは、研究内容でしょっちゅう衝突していたそうですし、


 革新的な発見とやらの内容次第では、所長を含めた研究員全員が怪しい。


 自己中仕事バカで、生真面目警備員ともなにかと揉めていたみたいだし。



 でもさすがに、料理の味付けにケチを付けられまくっていた家政婦さんが犯人っていう筋書きだったら、


 そんな推理小説はゴミ箱にポイでしょ。




 で、現場検証。


 むう、ドアを閉めると本当に密室っぽいですね。


 明かりだけじゃなく、


 空調さえも魔導具で管理、ですか。



 この空調魔導具、ちらっと『鑑定』してみましたが、結構なシロモノでしたよ。


 外気循環での空調では無く、室内の空気の組成そのものを、魔法で快適な状態に調整するのです。


 つまり、扉を閉めれば、マジ密室。



 実は、僕の魔導スーツ『クロッカス』にも、同様の空気清浄魔導具が装備されております。


『ハマグリ』こと『汎用型魔導転換群性気体リサイクルシステム』


 あの室内用の大型魔導具をスーツに装備出来るサイズにまで小型化したアリシエラさんがスゴいのか、


 はたまた、アリシエラさんレベルの魔導具を量産していた軍がスゴいのか。



 あー、そうか、軍事施設だったよね、ここ。


 もしかしたら、牢獄とかの技術が応用されているのかも。


 理想的な完全密室だったら、中の人の管理が楽でしょ。


 囚人だろうが、言うこと聞かない研究員だろうが、部屋の外からがっつり管理、と。



 で、今回の状況ですが、


 これが窒息死とか毒殺なら、空調魔導具に細工してどうこうなんでしょうけど、


 残念ながら焼死、です。



 うえっ、ちょっと思い出しちゃいましたよ。


"人体自然発火現象"でしたっけ。


 ……オカルトは勘弁なんですがね。



「レマリィさんからの報告です」

「死体には、可燃性の燃料や薬品、魔導具などの痕跡は無し、だそうです」

「呪術関係は詳細調査中、現時点では呪術の痕跡無し、とのことです」


 魔法の痕跡って、後からは調べられないのですか、ルシェリさん。



「巡回司法官の鑑識で、現在調査中だそうです」

「ただ、残留魔素の解析から分かるのは、大雑把な属性くらいなのです」

「使用された魔法が判明するかどうかは運次第、としか」

「そもそも、こちらで研究されているような複合魔法とかですと、司法官の鑑識ではお手上げかと」

「むしろ、この研究所の職員の方が詳しいでしょうね」


 例えば、火属性魔法の研究の大家、とか……



「……」


 ルシェリさんは、なにかお気付きの点は?



「残念ですが、今は何も……」

「サイリ所長はいかがですか」


 僕も特には……


 って、それなんですが、出来れば所長呼びはやめてほしいかな、なんて。



「実は私も、以前のようにサイリさんとお呼びしたいのです……」


 えーと、僕も前々から気になってたので、帰ってからみんなで相談ってことで。



「……」




 ……捜査に集中したまえ、名探偵サイリ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ