01 日課
『リヴァイス 62 若仙人とワヤ過ぎる顛末』の続きで、
『若仙人』サイリのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
こんにちは、イシン サイリ所長です。
『ルロリーサよろず相談所』所長として、
今日も元気にお仕事お仕事。
「いかがですか、サイリ所長」
うむ、大変に美味ですよ、ルシェリさん。
一見、春巻きっぽい揚げ菓子の中からは、
甘さ控えめ生クリームと鮮烈な酸味の各種果実がこんにちは。
お口の中で全てのお味がお互いを引き立てあう絶妙なハーモニー。
こりゃたまらん、やめられないとまらない。
「こちらはどうです、サイリ所長」
うむ、こちらも大変に美味ですよ、ロミエスカさん。
一口サイズの透き通ったゼリー状の丸いツブが、
お口の中でじんわりとろけて、
可愛らしい丸みの舌触りと、優しい桃の香りと、絶品の風味に、
お目々もお鼻もお口もノックアウト。
こりゃたまらん、やめられないとまらない。
「それではこちらも、サイリ所長、どうぞ」
うむ、こう来ましたか、リーサリアさん。
素朴なクッキー状の焼き菓子の中には、
濃厚な紅茶のジュレがたっぷりと。
サクサクとろりの食感と、
紅茶の贅沢な風味を楽しめる大人の味わい。
まさにおこちゃまお断りのアダルトスイーツ。
こりゃたまらん、やめられないとまらない。
「……」×3
えーと、判定、ですか。
……それでは。
『良き仕事は正当な対価で報われるべき』
あのシュマルセさんのお言葉です。
つまり、これらの素晴らしいスイーツに甲乙付けるなんて、
心ある判定人なら絶対にヤッてはいけない禁断のジャッジ。
というわけで、今回もドローで。
それでは僕は、いつものように王都内巡回任務に。
行ってきまーす。




