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漢詩を詠む  作者: 三河
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峨眉山月歌

・峨眉山月歌

峨眉山月半輪秋:峨眉(がび)山月半輪の秋

影入平羌江水流:影は平羌江(へいきょうこう)の水に入りて流る

夜発清渓向三峡:夜、清渓(せいけい)を発し、三峡(さんきょうへ向かう

思君不見下渝州:君思えども見えず、渝州ゆしゅうに下る


・訳

峨眉山に懸かる月が半輪となる秋の頃

平羌江の水の流れには月影が映えている

私は夜半に清渓を出発し、三峡へと向かう

君を思うも見る事は叶わず、渝州に下る


・解釈

詩仙とも称される詩人、李白の詩である。

李白が故郷を出て旅に出る時に詠んだと言われている。


七言絶句の短い中に、峨眉山・平羌江・清渓・三峡・渝州と5箇所も地名が出て来るのが特徴で、故郷を離れる旅立ちを強く意識させる。

また、夜・月というのも旅立ちの寂寥感を感じさせる。


最後の『君』が何を指すのか?

これは見解が分かれるところで

・月

『月を供にした旅路で、その月が見えなくなってしまった』という解釈で、月と酒を好んだ李白らしいとも言える。

・郷里に残した思い人(恋人か?)

『旅立ちに当たり故郷に残した思い人が居り、その人を思った』というのも無理ない解釈である。


どちらを取るかは読み手の解釈次第ではあるが、個人的にこの詩には女性を感じさせる。

例えば、詩にある峨眉山の峨眉と似た言葉に蛾眉(がび)という言葉があるが、これは美しい眉を意味し、転じて美人を意味する。

また、月・夜・清など女性をイメージさせる言葉が使われている。


どちらであっても感慨深く、何と捉えるかを読み手に考えさせるという意味でも名詩であると言えよう。


叶わぬ思いのある方は、一人夜空を見上げてどうぞ

『君思えども見えず、渝州に下る』


・用語説明

峨眉山:四川省にある名山

平羌江:今は青衣江と呼ばれ、長江の支流の支流のそのまた支流くらいの河

清渓:今の四川省漢源県だと言われる

三峡:長江の四川省から湖北省にかけての大渓谷、有名な三峡ダムの上流域

渝州:今の重慶

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