心中ネットワーク
病みますよ。ご注意ください。
今日もPCの前にいる。
元モデル。そして現在。ニートです。
そしてネット依存。
ライブチャット中毒である。
今の私を一言でいうと、ひどい。
でも、元モデルというから
顔も体系もそのままだった。
大きな瞳。小顔。綺麗な唇。白い肌。
スラッとした足。
画面の向こう側の男達は
見たことのない美女には
いうことなしだった。
私は、松若 凛。
ネットで使う名前は、RIN。
めんどくさいから本名でいった。
隠す必要なんてもうない。
中傷されることもなく、褒められるだけのネット生活。
嫌な気分ではなかったが退屈だった。
そんな時、暇つぶしにチャット巡りをしていた。
適当な部屋に入ると、一人の男がいた。
こいつを釣ろう。おもしろい。
RIN:こんばんわあっ☆))
その男は、KEIという名前だった。
KEI:こん
うあ・・・そっけないなあ
RIN:KEIくんでいい?個人チャットある?
KEI:おk。ある。
RIN:XXXだから。送ってきて!
なんか、つめたいな。
それから個人チャットにうつった。
KEI:んで、何?
RIN:話そう!
KEI:おう。話せよ。
なにこいつ・・もういいや。釣りはナシ。
RIN:はぁ?あんたが話しなさいよ
KEI:ッチ。釣り女か。うぜえ
RIN:偉そうじゃない?あんた。
KEI:俺はこんなんだよ。
RIN:きも。わけわかんない。
KEI:いきなりそれかよ。笑えるな。
RIN:頭おかしいでしょ 笑
KEI:まあまあだな
そうやって話してるうちに何時間もたっていた。
そしていつの間にか、暴言もなくなり、なんとなく仲良くなった。
KEI:お前今何してる?
RIN:あんたは?
KEI:自殺マニュアルみてる
RIN:あんた自殺すんの?
KEI:さあな
RIN:けいってどこすみ?
KEI:埼玉
RIN:うあ、まじで?
KEI:なんで?
RIN:あたしも埼玉
KEI:しね
RIN:あんたがしんだら考える
KEI:あほだな
RIN:お互い様ね
別に楽しいという感覚はまだなかった。
ただの暇つぶし。その程度だった。
RIN:ねえ、暇なんだけどなんか楽しいことない?
KEI:さあな
RIN:考えなさいよ
KEI:何様だ
RIN:凛様
KEI:何お前凛っていうの
RIN:そ。本名そのままよ。
KEI:俺もだがな。お前俺と付き合うか?楽しいぞ
RIN:いいけどあんたびっくりするわよ。あたしが可愛いから。
KEI:しんどけ
RIN:まだはやいわね
KEI:お前明日XX駅こい
RIN:まじで?
KEI:おん
RIN:おk
─────────────・・・
メアドを交換して、次の日
あたしは、釣りだと言い聞かせ
だまされたと思って会いに行った。
そしたら、いた。
「ねえ。」
「あ、お前?」
「あたしじゃなかったらどうしてたの」
「殺してた」
「ずいぶん元気だこと」
「お前いつもそんなツンツンしてるの?」
「まさか。あたしだってデレますデレます」
「なら、デレろよ。彼氏だぞ」
「ばっかじゃないの。何?デレてほしいの?」
「おん」
「・・・」
そんなにかっこいいわけでもない。
でも、かっこわるくもない。
クールって感じ。チャットそのままだ。
それに、ドキドキした。
あたしなにやってんだろう。
恋なんて、もうしないって決めたのに。
「黙るなようぜえ」
「あ、ごめんっ」
「・・・・」
「な、なによ」
「別に」
「なんだそれ」
「お前そのリストバンド何、外せよ」
「や・・いや!!!!!!!!!!!!」
───────────2年前──
彼氏がいた。
大好きな人だった。
愛されていた。
「お願いだ、凛。もうこんなことやめてくれ。」
「どうして?どうして?あたしのせいっていったのそっちじゃん!」
「だからって自分を傷つけるな!」
「知らない。あたしのせいならあたしを傷つけなきゃ。佑がかわいそう」
「俺のことはいいからやめろって!まじやめろ!」
「い・・やだ。やめないッ・・たッ。」
スッ
赤色が流れる。
それをたくさん。たくさん繰り返した。
そして、彼に別れを告げられた。
あたしはそれ以上に病んで、仕事もやめた。
────────────・・・
「バカだなお前」
「あんたに関係ない」
そういって私はリストバンドをつけた
「いくとこねえな」
「そうね」
「俺ん家いこう。見せたいものがある」
「いいけど。誘ってんの?」
「さあな」
否定しなよ・・・
そう思いながらKEIの家に向かった。
「入れ」
「おじゃまします」
「一人だから気つかうな」
「ああ、うん」
一人なんだ・・・すごいな
「そこ座れ」
「ありがと」
「お前なんかデレてきたよな」
「は?何いってんの」
「そうでもないか」
「そうでもないです」
「これ、みて」
そういった途端、KEIは脱ぎだした。
「え、ちょ、何!何!」
あたしは焦った。
いきなりヤる人?!とか思って・・・
だけど、違った。
「バカか」
「あ・・・」
そこにあったのは
胸いっぱいに掻きつけられた傷だった。
「どうしたの・・これ?」
「俺がやった」
「自分で?」
「おん」
「理由は?」
「俺が嫌いで、殺したいから」
「・・・はあ?」
「別に俺のこと誰もどうも思ってないからいつ死のうかなって
考えてたとこだ」
「あたしは、どうなんのよ」
「は?」
「あんたのこと思ってるあたしはどうしたらいいかって聞いてんのよ」
本当はまだそこまで思ってたわけじゃなかった
でもいきなりにそんなことをいわれたから、口が勝手に動いていた
「お前俺のことすきなわけ?」
「わりと」
「ハッくだらん」
「超!・・すき、かも。」
「無理すんな、すぐには死なない」
「そ、そう」
「ま、俺の思い出作りにお前を利用したいわけですけど」
「思い出作り?」
「そ。利用されたい?」
「はあ?・・・・・・うん、わりと」
「わりとってなんだ、まいっか・・じゃあきまりな」
「何するの?」
「何したい?」
「なんであたしにきくのよ」
「なあ、何したい?」
そういってベッドに押し倒された
「な、何したいって・・」
「何?」
「じゃあ、あたしも。」
「あ?」
「あたしも死にたい」
「まじ言ってんの?」
「うん。あたしも死ぬわ」
「俺は止めないぜ。悪いけど。」
「わかってる。とめなくていい。」
「ばかだなお前」
────────────────・・・
どうして死にたいなんていったのか、わからなかった。
でも、この人といると嫌なことも嫌ではなくなった。
そう、安心というものをもてた気がした。
だから、この人とならどんな道でも歩いていいと思った。
そして私は死を選択した。
それがあたしの幸せなのだと心に刻んで。
「ねえけい。けいの名前って漢字どんなの?」
「手紙書くときに、拝啓ってかくじゃん。あれのけい。」
「啓かあ。おっけー!」
「なんで?」
「いや別に」
「ねえ、啓」
「あ?」
「一人は、寂しいよね」
「お前は別に一人じゃないだろ」
「ううん。まだ一人だよ。啓も一人。」
「そうか、まあ俺は一人だけどな。」
「なら、一つになろうよ」
「お前完全にデレたな。ヤンデレ女。」
「うるさい・・」
──────────────────ッ
そうやって私達は肌を重ね合った。
愛なんて、ないのかもしれない。
絆なんて、もろいかもしれない。
命なんて、儚いものだ。
だけど、だから、恋しがる悲しい生き物なんだろう。
何万、何千、何億、この世界にはあふれるほどの人間がいる。
愛情に囲まれ幸福に浸るものもいれば孤独や病に蝕まれ滅んでいくものもいる。
そんな中で、自ら命を投げるものをきっとみんな哀れな目でみるのだろう。
だがそれを望むものもまた、少なくはない。
何者かにそれを阻止され、生き続け成功するものもいれば
同じような道をのろのろと進むだけの人もいる。
そんな自由なようで縛られた人間に生まれたことを少し、ほんの少しだけ後悔する。
この世界に生まれたことはありがたいと思う。
今の景色をみられていることも、ここまで生きてきたことも、
決して無駄ではなかっただろう。
でも、これからの自分に少しの期待も抱いてない私はすでに廃人のようだ。
もう、逝ってもいいかな。
なんて。思ってしまったんだ。
──────────────────────────ッ
ピーンポーン...
「はー・・・、い」
「久しぶりだね、佑」
「凛・・・・・」
「元気だった?」
「お前こそ、元気か」
「まあまあかな」
「そうか。で、今日はどうした?こんな急に。」
「あのね、私ね」
「・・・?」
「えへっ・・死ぬの」
「は?お前・・!またそんなこ・・」
「あたし!今、すごく幸せっていえる環境にいるかもしれないの。彼氏もいる」
「ならどうして死ぬんだ・・?!」
「幸せに近づくためだよ、ねえ佑?あなたも幸せにね」
「ちょ、まてよなあ!」
「・・・あの時はごめん。さよなら。」
「・・・・・・・・・」
「また会おうね!・・・・・・・・・・・・・あの世で。」
────────────────────────ッ
「ただいま」
「おお、お前どこいってたの?」
「ちょっとねー!啓は何してたの?」
「荷物まとめたりとか。」
「そう、あたしはもう実家には戻らないし、うんおっけ」
「凛、かえんなくていいのか?」
「いいの。もう、いいんだ。」
「そうか。俺はそろそろいくけど?」
「あ、ほんとに?じゃあ、あたしもいこっかな」
「おっけ」
手をつないで、盗んだ車で、山まできた。
綺麗な綺麗な、小花がたくさん咲いたところだった。
まるで天国にいるかのような、見晴らしのいい場所。
私は右手に、啓は左手に。
光る銀色の羽をとりだして。
私の左手と啓の右手が繋がれた。
みつめあう。啓の目をこんなにも
じっとみつめたのは初めてかもしれない。
啓もたぶん、あたしをこんなに見るのは初めてだろう。
目をそらして、もう一度みつめた。
そして2人は笑顔で口を開いた。
「凛、愛してる」
「啓、愛してる」
両手の羽が互いの左胸に突き刺さる。
真っ赤な花が咲いた。
「綺麗」
──────────────────────────何もかもオワリ──
.
どうでしたか。
こんなお話もありだと僕は思います。
でも、決して自殺や、死ぬということが
いいとは思っていません。生きていれば何度でも
やり直しはできます。でも死んだら何もかも
全て終わってしまいます。
僕も実際死にたいと思ったことは何度もありますが
まわりのみんなをみてください。
あなたを愛する全ての人のために。あなたのために。
その命を守ってください。
最後まで読んでくれてありがとうでした。