表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過去の人、今の僕  作者: 稚早
1.最後の1年、その始まり
5/28

5.龍太郎の記憶①

龍太郎と志津子は、あまり仲の良い兄妹ではなかった。


年が近かったせいで、何かと比べられたせいもあるだろう。顔を合わせれば、子供らしいケンカをした。


それでも、たまには笑い合ったし一緒に遊ぶことくらいある。


(お宝)も、そんな思い出の一つだ。


その日、龍太郎は今日学校で聞いたことを一刻も早く妹に教えてやりたくて


古びたお菓子の缶を持って、志津子を呼んだ。


——聞いてくれよ志津!この間学校を卒業した奴ら、学校に全員の大切なものと手紙を埋めたんだって!——


——手紙?——


——なんでも、20年後に開けるから、その時の自分に対して書くんだと——


妹は今一つピンとこない様子ながら、興味を持ったように身を乗り出した。


——だから、今から俺とお前の(お宝)を埋めに行こう。で、大人になったら掘り返しに行く。どうだ?——


——いくっ!——


——よしっ、じゃぁ志津はこれに1つだけ宝物を入れるんだぞ?あとで、俺のと一緒に埋めるからな——


いつもは生意気な志津子が、素直に頷く。龍太郎は頷き返すと、自身の(お宝)を準備するために自室へと向かった。


両親に買って貰った、お気に入りの本。そこに、1枚の写真を挟んだ。


大切に、缶に詰める。あとは、もう1回り大きい缶に2人の(お宝)を入れて完成だ。


意気揚々と、志津子の元へと向かった。


街に出て、あぁでもない、こうでもないと言い合いながら、埋める場所を決めた。


よく両親に連れてこられた銭湯の横を抜け、山を少し上ったところにある、開けた場所。


珍しく二人で協力しながら時間をかけて穴を掘り、時間をかけて蓋をした。


大切なものに、大切な思い出をのせて。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ