……それは、どこの物語の主人公だ?
誤字直しました。ありがとうございました。
「やだっ、なんか想像以上にハードな話だったっ!?」
「……普通、乳児の頃に家を追い出されたら生きてないんじゃないか?」
頭を抱えるテッドに、冷静なツッコミを入れるリール。
「ああ、その辺りは詳しく言うと、生まれて二、三ヶ月で育児放棄されたわたしが可哀想だからって、お祖父様の家で大事に育てられたから大丈夫」
当時は、お祖父様とおばあ様に次男を取り上げられたって、余所に話していたみたいだけど。
「それ全然大丈夫じゃないやつ! どうしようっ、ダチになった奴の人生がハードモードだっ!?」
「あはは、そんなハードじゃないって。生まれてすぐに暗殺され掛かって、それを守る為に従者が何名も命を落としたとか、そんなレベルの話じゃないから」
「……それは、どこの物語の主人公だ?」
リールが訝しげに眉を寄せる。
「物語じゃなくて、実話だね。わたしとレザンの同級生の、辛うじて王位継承権を持ってる性格の悪い王族の話。ちなみに、この国の王族じゃなくて他国の王族ね。卒業式以来会ってないけど・・・まぁ、元気にやってるといいよね」
俺が死んでも誰も悲しまない、と笑っていた人騒がせな彼は――――
是非とも、わたし達に関わらない遠いところで元気にしていてほしい。彼の近くにいると、色々と厄介な目に遭うし。知人が殺されたなんて、寝覚めが悪いからね。
「うむ。今は、自国に戻らず世界一周をするのだと、あちこちに足を伸ばしているらしいぞ」
この国には、暫く来ないでほしいものだ。
「なんというか、顔が広いのですね……ネイサン様とレザン君は」
「まぁ、そういう知り合いがいるから。わたしが特段不幸なワケじゃないよ」
「他国の王族云々とかなんかそれ、聞いちゃいけない系の話だったりしねぇっ!?」
顔を青くするテッド。
「ああ、大丈夫大丈夫。彼曰く、自分の国嫌いだし、評判を落とすのと身を守る為に一石二鳥だから、むしろガンガン言い触らせって笑ってたから」
暗殺されそうになっていることを公言して、もしものことがあったときには、仮令本物の事故や純然たる病死だったとしても、彼の身を狙っている者達に疑いの目が向いたり、厳しい目で見られることになるので、迂闊には手を出し難くなったり、意趣返しになるのだとかで・・・
他国の、結構警備が厳重な騎士学校にいても暗殺されかけるとか、滅茶苦茶殺伐としているよなぁ。
彼に比べると、わたしがよくわからない理由で絡まれるのなんて全然可愛いものだ。
「うむ。なんでも彼は、国王よりも優秀だと噂されていた王妹が、周囲の大反対を押し切って奴隷身分の護衛と無理矢理結婚して産んだ子だそうでな」
「やめろっ、そんな明らかにヤバそうな話をするんじゃねぇっ!?」
彼の話をし出したレザンを遮るテッド。
「だよねぇ。聞いててあんまり気分のいい話じゃないもんね。まぁ、わたし達同級生は、彼に何度も聞かされたけど」
「……本気で物語のような話だな」
ちなみに、彼のご両親はもう既に亡くなっているそうですが・・・
「危なくないのかっ!?」
「ぁ~、怪しい事件は何度か起こった、かな?」
「うむ。どう調べても疑わしい、明確に不審な事故は何度かあったな」
「うん。彼は無事だったけど」
「やめろ~っ!?」
「ま、そんな彼に比べると、わたしなんて全然大したことないから大丈夫だよ」
なにせ彼は、不幸自慢をしている連中の輪に飛び込みで入っていって、ドン引きするような重た~い話を明るく笑いながら語って優勝を掻っ攫い、見知らぬ生徒達からも賞品として食べ物を巻き上げるような人だったからなぁ。
そんな感じで、色々と逞しい……というか、神経の図太い人だった。お祭り騒ぎが大好きな、クソ迷惑な野郎でもあったけど。
そんな話をしていると、
「……一体、セディック様になんと報告すればいいのでしょうか……」
心底困ったというような小さな呟きが落ちた。
「? まぁ、わたしは元気にやっている、とかでいいんじゃないですか?」
うん、わたしは元気だ。あの程度で参るような繊細さは、とっくに無い。
「・・・ネイサン様」
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読んでくださり、ありがとうございました。




