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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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わたしがあの連中を突き出した当事者です。

 翌朝。


 筋肉痛の重怠さと、若干の睡眠不足を感じつつ、眠さを堪えて起きる。


 ぼへ~っとしながら身支度を整え、食堂へ向かうと・・・


 なにやらざわついている気がした。


 ぼんやりしながら朝食を食べていると、


「やあ、おはようハウウェル!」


 朝も昼も、深夜や早朝でも変わらぬテンションの挨拶。ちょっとウザいと思いつつ、


「……おはよう」


 低い声で返す。と、


「ふっ、相変わらず朝が弱いなハウウェルは。そんなだと、朝に奇襲を掛けられたらあっさりやられてしまうぞ?」


 なんか言っているが、聞き流して黙って朝食に取り掛かる。


 わたしは別に、奇襲を掛けられるような殺伐とした暮らしをするつもりはさらさら無い。だから、朝がちょっとくらい得意じゃなくても大して構わない。


 でも・・・レザンが現れた途端、なんだか食堂のざわつきが大きくなったような?


「うん? どうかしたか? ハウウェル」

「・・・君、なんかした?」

「? ああ、まだ寝惚(ねぼ)けているのか。大方、昨日の先輩方のことだろう」

「きのう、昨日、先輩……ああ、思い出した。なに? もう噂回ってるの?」


 昨日は確か、こっちに戻って来て、夕食を食べているときに面倒な輩に絡まれて、カツアゲを返り討ちにして、学園の職員に引き渡したんだったな。


 取り調べが面倒だった。そして、もう既に彼らの顔も覚えていない気がする。


「うむ。どうやら、彼らの悪さはそこそこ有名だったようだな」

「そう」


 ああ、そうだ。今日も事情聴取があったんだったな。ぁ~、めんどい。


「そして、彼らの部屋が、昨夜のうちにガサ入れされたらしい」

「成る程」


 それでこの騒ぎですか。頷いていると、


「大丈夫でしたか? ハウウェル君」


 心配そうな声が掛けられた。


「おお、ライアン先輩ではないですか。おはようございます」

「あ、ああ。おはようございます。そんなことより、君達は大丈夫でしたか? 下位貴族や平民を狙って金品をせびった上、学生証まで奪い取る輩がいたみたいです。噂には聞いていましたが、まさかこの寮の生徒だったとは・・・」


 沈痛な面持ちでわたしとレザンを見詰めるライアンさんに、


「うむ。問題ありません。後で事情聴取に協力しますが、適切に処理してくれることでしょう」


 レザンが応える。


「あ、ああ。そうですね」

「ええ。大丈夫です」

「よかった……もしネイサン様になにかあれば、セディック様に顔向けできないところでした」


 深い安堵の溜め息を吐いているところへ、少し申し訳ない気持ちになりますが・・・


 わたしがあの連中を突き出した当事者です。とは、若干言い難い雰囲気だな。まぁ、こんな誰が聞いているかわからないような食堂で話すことじゃないけど。


「とりあえず、朝食食べません?」


 と、話を濁しておこう。


**********


 朝食を終えて登校すると、HRの時間にアンケートを書かされました。


 内容は――――


『学園内で犯罪行為の噂を聞きいたことがあるか?

 噂を聞いたことがあるなら、どのような噂を聞いたのか?

 犯罪行為を実際に目撃したことがあるか?

 どのような犯罪を目撃したのか?

 知人友人が犯罪の被害を被ったことがあるか?

 犯罪被害に遭ったことがあるか?

 学園内で、他生徒の横暴を見聞きしたことはあるか?

 横暴を働いたという生徒の名前を知っているか?』

 

 大体そんな感じのアンケートでした。


 昨日の今日でこのアンケートとは、なかなか対応が早いですね。


 さて、噂は知らない。犯罪行為を目撃した。カツアゲ。財布と学生証の奪取。知人友人は被害に遭ってはいない……と思う。犯罪被害はわたし自身に関しては未遂、と言ったところでしょうか?


 むしろ・・・


 まぁ、わたしが彼らへ暴力を振るったことは内緒にしておきましょう。


 うん。彼らの怪我について言及されたり、レザンが迷惑を被るのなら、話すことも(やぶさ)かではありません。が、言及されても、正当防衛を主張します! というスタンスにしておこう。


 わたし、悪くない。複数人(たった三人だけど)でいきなりわたしに殴り掛かって来たの、向こう。これで通しましょう。


 けど、現状なにも聞かれていないのに、自分で(やぶ)を突く必要はありませんよね。


 彼らが覚えていなくて、レザンがなにも言わなければ発覚もしないでしょうから。脳震盪(のうしんとう)って、人によっては、数時間から数日間の記憶が飛びますからねぇ。先輩(・・)方は、わたしのことすら覚えていない可能性もありますし・・・


 そして、最後のは……言葉を濁してはいますが、上位貴族による横暴はないか? という意味の質問でしょうね。被害者本人が(じか)に学園へ告発するのは難しくとも、こういう形の無記名アンケートでなら、ある程度告発もし易いでしょうから。


 学園内で横暴を働いていた方々は、カツアゲの発覚の余波であるこのアンケートを基に調査されることになって……なにかしていた方達は、これまでの余罪が追及されることになるでしょうねぇ?


 まぁ、自業自得ですけど。


 教職員達は、これから大変でしょう。


 まずは官憲を学園に入れるか否かの判断、官憲を学園へ入れたとして、どこまで調査を許すかの判断。被害者、被害規模の調査。そして、被害者とその家族達への説明、加害者達の処分などなど…………


 どうにもわたしは、こういうことには騎士寄りの思考をしてしまいますね。


 とりあえずは、より良い学園作りの為、教職員の皆さんは頑張ってください、と言ったところでしょうか。


 なんて考えつつ、アンケートを書き終わり、提出。それから、授業を普通に受けて――――

 読んでくださり、ありがとうございました。


 諸事情により、この先の更新頻度が落ちるかもしれません。

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