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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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そろそろ、中間テストの時期になります。

 入学してから、早一月が経とうとして――――


 そろそろ、中間テストの時期になります。


 ちなみに、テスト期間中にも部活の停止はしないそうで、期間中の部活参加は自主性に任せる、とのことです。

 学園は貴族子女達の交流を深める場でもありますからね。既に粗方の予習を終えているような余裕のある方などは、部活動を楽しむのかもしれません。

 とはいえ、テスト前に部活に入り浸って成績が悪くなれば、当然ながらあまりいい顔はされないようですけど。


 そして、中間テストが終わると――――その週末から、寮生の帰省が解禁となります。


 学園に慣れる為と、ホームシックになって学園を辞めてしまわないようにという理由で、約一月の間新入生と転入生の寮生は、余程のこと(身内の不幸や入学早々の問題行動、停学処分など)がない限りは、帰省の許可が降りないんですよねぇ。

 無論、その辺りの事情は自宅から登校している生徒達には全く関係ありませんが。


 まぁ、そのことに関して、わたしは特に不満はありませんけど。一月経てば家に帰してもらえるのだから、あの騎士学校に比べると、各段にユルいと思うんですけどねぇ? 手紙の検閲なんかもありませんし。


 とは言え、やはりこの待遇に不満たらたらな人達は多いみたいだけど。


 遠方から入学して来て寮暮らしをしている生徒の大半は、週末には帰省しないで長期休暇まで我慢する人もいる。まぁ、極一部の生徒は強行軍で帰るみたいだけど・・・あれって、週明けにはちゃんと帰って来れるのかな?


 馬車に乗っているだけだとしても、強行軍での往復はなかなかキツいと思うし。学園に着いたはいいけど、身体がガタガタとか、大変だろうなぁ。


 その辺りは、わたしには関係無いけど。


 まぁ、そんな楽しい帰省の解禁! の前には・・・中間テストがあるワケなんだけど。


 ちなみに、テストで規定の点数以下の成績……所謂赤点(百点満点中、四十点以下)を取ってしまうと、週末は補習行きとなってしまうらしい。


 補習で帰省が潰れる生徒は、やはり一定数いるのだとか。教師達もお疲れ様ですね。


 とりあえず、赤点を取って補習行き! なんてことは、しないようにしたい。一応、授業はちゃんと聞いているから大丈夫……だと思いたい。


 週末はお祖父様の家に帰って、セディーと会いたいし・・・


 なんてことを考えていたときだった。


「ハウウェルは、テスト後の週末はどうするんだ? 俺は遠乗りをしようと思っているんだが、よければハウウェルも」

「わたしは家に帰ります」


 皆まで言わせて堪るかっ!? と、なにやらわたしを誘うような口振りのレザンを遮る。


「遠乗りついでに」

「わたしは家に帰ります」

「久々に剣でも」

「わたしは家に帰ります」

「どうだ、ハウウェルも俺と」

「わたしは家に帰ります」

「・・・なぁ、せめて最後まで言わせてくれてもいいじゃないか、ハウウェル」

「わたしは家に帰ります」


 平坦な声でレザンを遮りつつ何度も繰り返すと、


「わかった、わかったから。それなら、ハウウェルの気が向いたら教えてくれ。あと、いい加減帰る以外のこともなんか言ってくれ」


 さすがに少しはめげたらしいレザンが、わたしを誘うのをやめた。


 ふっ、勝ったっ!!


 ああ、そういえば……前にもこんなやり取りがあったような? 外泊許可をもぎ取った後、レザンの実家に誘われたっけ? 無論、そのお誘いは丁重に断固拒否して、祖父母の家に帰ったけど。


 まぁ、今回もわたしの気が変わることは無いし、祖父母の家に帰ることは決定事項だ。


「・・・まぁ、その前に中間テストがあるんだけどね?」

「うむ。テスト、だな・・・」

「で、勉強の方は?」


 わたしの質問に、


「そうだな・・・難しいと思うぞ!」


 ふっ、と虚空を見上げて遠い目をしたレザンが、やたら爽やかな顔で言った。


「そうですか、ガンバレ」


 まぁ、コイツ、元々そんなに座学は得意な方じゃないって自分で言ってたからなぁ。脳筋だし。


「ハウウェルの方はどうなんだ?」


 わたしは――――入学前に、セディーにがっつり勉強を見てもらったから・・・うん。ちょっと余裕はある感じかな? 絶対に、四十一点以上は取れる! と、信じたい。


「補習を受けるつもりは無いよ」

「そうか・・・」


 いや、なんでそこで微妙に寂しそうな顔をする?


「・・・ちなみになんだけど、テストの点数は、四十点も赤点扱いで補習対象に入る。だから、四十一点以上取らないといけないんだってさ。知ってた? レザン」

「・・・三十点以下が赤点、じゃなかったか?」

「騎士学校では、そうだったね。でもこっちは、四十点で赤点。そして、四十点以下が一つでもあったら、その赤点の教科の補習が自動的に決まるんだって。で、補習を終えないと、帰省もできない」

「ふむ。それなら・・・補習を受けた後、ここで馬に乗り捲るのもありだな!」

「いや、もう少し補習回避の為に抗いなよ」

「ハウウェル。俺はな・・・最悪、落第しなければもうそれでいいと思っている! うちは兄貴達が優秀だからな」


 ハハハっ、と爽やかに笑うレザン。


 中間テストを投げる宣言しちゃったよ、コイツ・・・大丈夫か?

 読んでくださり、ありがとうございました。


 丁重な断固拒否。(笑)

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[良い点] ある意味潔いw
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