そりゃあ……セディックさんがイイ性格にもなりますね。
「いいんだよ。ネイトはなんにも悪くないんだから」
にっこりと優しい笑み。
「それから、自分で実家に連れて来たクセに母はまたネイトを育児放棄して・・・四年後。六歳の頃、ピクニックに行った先に置き去りにしちゃったんだよねぇ」
はぁ、と深い溜め息。
「え?」
「しかも、あの二人はネイトを置き去りにしたことすらわからなくて。僕が執事に頼んでネイトを探させなかったら、どうなっていたことか・・・深夜にネイトが帰って来るまで、本当に生きた心地がしなかったんだよねぇ。挙げ句、父はネイトと一緒に置き去りにした乳母を馘にして。ネイトが体調を崩しても医者を呼ばないどころか、母はネイトの様子を見に行くことすらしなかった。お祖父様とおばあ様が来るまでネイトの看病は、侍女達が休憩の合間に交代でしてくれてた。だから・・・僕がお願いしたんだ。お祖父様とおばあ様に。ネイトを実家に置いていたら、どうなるかわからない。ネイトをうちから出して、両親と離してくださいって。それからのことは、ロイ君の方がわかるでしょ?」
「えっと・・・はい」
そっか、セディーなんだ。
セディーが、わたしをあの家から出してくれたんだ。自分は、あの家に一人残って・・・
「そして、ネイトが実家に戻って来たのが十歳の頃。その頃には、僕は学園に通っていて・・・十五で僕が高等部に進学して、ネイトが中等部に入って来るのを、一緒に通うのを楽しみにしてたのに。それを、あの両親共はっ、無断でネイトを寮制の騎士学校に入れて・・・というワケで、僕とネイトは正真正銘の実の兄弟なのに。一緒に暮らして、一緒に過ごしている時間が少ないんだよねぇ。子供の頃は、二歳の頃から六歳の頃までの四年。十歳から十二歳までの二年で計六年。僕とネイトが、同じ家で一緒にのんびり過ごせるようになったのは、ここ数年のことだし」
「お前、向こう帰っても波乱万丈だったんだな」
気の毒そうな表情が向けられた。
「えっと、多分?」
「大丈夫です! キアン先輩に比べると、そんなに激動の人生って感じではないですから!」
「確かに。アイツと比べると、この程度のお家騒動は可愛いものだろうね」
「まぁ、キアン君に比べると・・・うちは大分マシな方だとは思えるねぇ」
遠い目をして頷くセディー。
「え? なに? お前よりハード人生な奴が知り合いにいるのか?」
「騎士学校時代のハウウェル先輩の同期で、自国の陛下に疎まれている、某国王族の方です!」
「・・・マジで?」
「マジだねぇ」
キアン本人は、王族であることを忌々しく思っているみたいだけど。
「そういうワケで、ネイトと過ごす時間の少なかった僕に対する自慢やマウントは、楽しかったかな? ロイ君」
にっこりと、けれど冷たくて圧のある笑顔がロイに向けられる。
「えっと、本当にそういうつもりじゃなかったんですが・・・すみませんでした! でも、セディックさんはご両親に可愛がられていたって聞いたんですが?」
「ああ、確かに。ずっと実家で両親と暮らしていた僕は、あの二人に可愛がられているように見えるよね? 他人からは」
「違ったんですか?」
「うん。だって、あの二人が好きなのは僕じゃなくて、夫婦であるお互いだけ。僕のことは・・・あの二人がお祖父様とおばあ様を責める為の道具扱いだったし。母の看病なんて、四六時中同じ部屋で、近くに張り付いていただけ。そこにただいるだけで、僕個人としては、母になにかをしてもらった覚えは殆ど無い。本当、鬱陶しい置物だったよ。僕の世話や看病は、基本的に侍女が全部やってくれていたから。父は、都合良く泣き喚く母を庇うという名目で、お祖父様とおばあ様を罵るのが大好きだったみたいだよ? 普段は全く寄り付かない僕の部屋で、そういうときだけ親面する両親って、最悪だと思わない?」
「そりゃあ……セディックさんがイイ性格にもなりますね」
「ろ、ロイ様っ!?」
「ふふっ、そうだねぇ? イイ性格になったという自覚はあるよ」
そんな話をして――――
「兄様! そろそろ終わりにしましょう!」
やり切ったという笑顔でスピカが言った。
「わぁ! レイラちゃん、どうだった?」
「五回も的に当ててやったわ!」
「ぼくも、二かいまとにあてました!」
ふふんと胸を張るレイラ嬢とリヒャルト君。
「お二人共、筋がいいので練習するともっとできるようになりますよ!」
「本当ですか?」
「はい!」
「またおしえてくれますかっ? スピカ姉さま!」
「もちろんです! って、あれ? なんか兄様、お疲れ?」
「いや、気にするな。んじゃあ、今日はもう解散」
と、射撃訓練とスピカのスリングショット講座は終了。
「楽しかったですわ。ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
にこにこと上機嫌で帰って行くレイラ嬢とエリオット。
そして、夕食には野鳥のローストが出た。
それを見たトルナードさんが、ちょっとだけ慌てた様子でミモザさんを伺っていた。
野鳥のローストは美味しく頂きました。ちなみに、明日の夕食には猪が出るそうです。
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読んでくださり、ありがとうございました。
エリオット「ところで、僕が聞いていい話でしたっけ? これ」(੭ ᐕ))?
セディー「ふふっ、エリオット君は口が堅いから、誰にも言わないよねぇ?」(◜◡◝)
ロイ「ぇ、エリオットを脅してやがる……」(ill゜д゜)
エリオット「もうっ、ロイ様ってば、なに言ってるんですかっ? 優しいセディック様が、僕を脅すなんてことするワケないじゃないですかっ。ね、セディック様」(*>∀<*)
セディー「ふふっ、勿論だよ。僕はエリオット君を信じているからね」(◜◡◝)
エリオット「ありがとうございます、セディック様!」(*´∀`*)ポッ
ロイ「・・・天然って強ぇなっ!?」( ̄□ ̄;)!!
―-✃―――-✃―――-✃―-―-
更にオマケ。
キアン「うん? 俺を呼んだか?」( ・ω´・ )
ネイサン「いや、別に呼んでないけど……どこから湧いて出たの?」(´・ω・`)?
キアン「ふっ、気にするな。一言言いに来てやっただけだ。自らの置かれた境遇や環境を、一個人の力で変えることは難しい。されど、それに適応し、立ち向かうか腐るかは、自らの意志で選ぶことができるからな? 過酷な境遇や環境でも腐らずにいる者は、自らのことを存分に誇るがいい! 俺が誉めて遣わす!」( -`ω-)✧
ネイサン「相変わらず偉そうだな……でも、うん。なんか、ありがと」(*´∇`)




