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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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・・・誰の、せいだと思ってんだっ? このアホが~っ!?

 ロイ視点。6


 騎士科に通って、友達もできて。その合間に、スピカの出るイベントやお茶会やらには父上の命令でエスコートをして、アイツがまたアホをやらかさないか見張る――――


 と、割と忙しく過ごしていたら、同級生の貴族子息がどこどこの令嬢と婚約したという話をちらほら聞くようになった。


 ふーん……なんて思っていたら、いつの間にかよくつるんでいる連中の貴族子息達の中で、婚約者がいないのは俺だけとなっていた。


 まぁ、うちは少々特殊な事情があるから、婚約者選びは父上も母上も慎重になってるんだろう。と、そう気楽に思っていた。


 しかし、俺は聞いてしまった・・・


 貴族のお嬢さん達が、男共に付いて批評しているところを。


 誰それは顔はいいけど、頭が残念。○○は顔はいいけど、家が面倒。○○は顔はいいのに、性格に難あり。○○は顔も性格もいいけど、嫡男じゃないからいずれ平民になる。○○は騎士科に通っているのに、弱そう……などなど。


 案外ズケズケものを言うなぁ、と他人事のように思っていたら・・・


「クロシェン様は……顔は並みの上ね」

「美形の出る家にしては、少し残念かも」

「あら、わたくしは自分よりお綺麗な殿方は嫌ですわ。あれくらいが丁度いいのでは?」

「そうね。それに、クロシェン様は性格も、口調が少し雑ですけど、女性には優しいわ」

「そうそう、女の子に優しいのにチャラくないのよね」

「伯爵家嫡男で、婚約者無しの優良物件! と思いきや……」

「あの方、シスコンで有名だものね」

「嫌だわ、シスコンなんて」

「残念よね。自分より妹君を優先させられたら、即冷めるわね」

「ええ、政略なら我慢するけど……常に妹君を優先されたら、本当に最悪だわ」

「シスコンは無いわ」

「無いですね」

「そうそう、シスコンと言えばわたくし。この間、病気の妹ばかりを優先する婚約者に愛想を尽かして、婚約破棄をして、新しい恋をするってお話を読んだのよ」

「まあ、わたくしもその話、読みましたわ。主人公が不憫で不憫で……」

「ええ、あれだけ婚約者に尽くしていたのに……」


 と、お嬢さん達の話は、小説やら季節のファッションへとどんどん移行して別の話になって行った。絶妙に、俺の心を傷付けて――――


「ぐっ……」


 もしかして、俺に婚約者がいないのは、父上と母上が吟味しているからじゃなくて、そもそも俺と婚約したいって言うお嬢さんがいないからかっ!?!?


 そんな風にショックを受けて・・・気付いたら、週末だった。


 おかしい。ちょっと、ここ二日分くらいの記憶が飛んでいる。


 俺、色々と条件なんかは悪くないのにモテないんだ・・・なんて思いながらうちに帰ると、スピカのエスコートをすることに。


 そして、毎度のことながら微笑ましいという視線が。


「兄様、わたしはもう小さくないので一人でも大丈夫なんですけど? 他の子でお兄様が付いてる子はいないし」


 なんて、生意気言いやがるスピカ。


 確かに付き添いには、姉や妹が多いお茶会。男の子の参加は少ない。


「うるせぇ、文句言うな。お前がやらかさないかっていう見張りだ」

「もうっ、いつまでも小さい頃のことばっかり!」

「お前はな、それくらいのやらかしをしたんだっての。バーカ」


 ぷぅとむくれるスピカ。


「兄様も、わたしにばっかり構ってると婚約者さんができないですよ」

「あ゛?」

「え? 兄様? その、ちょっとお顔が怖い……です、よ?」


 引き攣った顔が俺を見上げる。


「・・・誰の、せいだと思ってんだっ? このアホが~っ!?」

「ええっ!? きゃっ、ちょっ、に、兄様! あ、頭掴まないでぇ~っ!?」


 亜麻色の頭をぐっと掴み、ふわふわの髪を両手でわしゃわしゃと掻き混ぜてやる。


「嫌~っ!? ぐしゃぐしゃやめて~っ!!」

「ふんっ、これくらいで勘弁してやる。感謝しろ」


 ギャーギャー騒ぐスピカに少しだけすっきりしたので、ぼさぼさにしてやった頭を放す。


「ぅうっ、兄様のイジワルっ! うわ~ん、ミリア様~、兄様が~っ!?」


 と、スピカはお友達のところへ走って行った。


 ミリアというのは、以前にスピカが誘拐されそうになったときに、庭に出て行ったと教えてくれた女の子だ。確か、ミリアが愛称でミリアリアって名前だったはず。


 アイツと違って落ち着きのある子で、性格も違うというのに、あれ以来あのアホと仲良くしてくれて感謝している。


 スピカはクスクス笑うミリアリア嬢にぼさぼさの頭を直してもらいながら、俺が酷いのだとわーわー訴えている。


 ったく、呑気なもんだぜ。こっちは、一人暇しながらも不審人物が現れないかってずっと気ぃ張ってるってのによ。


 ちなみに、俺の参加するお茶会では誘拐事件が起きたことは無い。未遂は何度かあったけど、バッチリ防いでやったぜ。主催の家や、誘拐され掛けた子の家にはめっちゃ感謝されている。ちょっと自慢だ。


 だけどっ・・・それがまたシスコンの噂に拍車を掛けていたとはっ!?


 スピカ以外も助けてんのに、「よっぽど妹さんが大事なのね」とか言われんの、絶対おかしいだろっ!? 誰か子供や女性が誘拐されそうなら、普通に阻止するっての! 人としてな!


 この状況、どうすりゃいいんだ・・・?


 俺はシスコンじゃねぇってのっ!?


✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰


 読んでくださり、ありがとうございました。


 スピカのやらかしでシスコンは嫌だという風評被害を被っているロイ。ꉂ(ˊᗜˋ*)

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