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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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……キアンの淹れるお茶になにかあるのか?


「うおおっ!? マジで肉だらけっ!」

「美味そうだな!」

「どんどん食べてくださいねっ♪」

「……野菜も食べた方がいいと思うが」

「そうだよねぇ」

「ふっ、野菜は溶けるまで煮込んであるのだ!」

「マジ?」

「あ、ラビオリとかパイにも刻んだ野菜が入ってるかな?」

「辛っ、けどうまっ! なんか食ったことねーけど、これなに?」

「俺の故郷風の味付けをしてある鳥の煮込みだ。まあ、元の料理よりはスパイスを控え目にしたがな!」

「うむ。どれも美味いな!」

「ああっ、俺まだそれ食ってない!」

「ふっ、早いもの勝ちだ!」

「……おい、立つな。行儀が悪い」


 と、わちゃわちゃと騒がしく食べていると、結構な量があった料理はいつの間にか空に。


「ぁ~、食った食った~」


 ぽんぽんとお腹を撫でるテッド。


「……お前ら、よくあんなに食えるな?」

「うん? リールはあまり食べていないようだが、足りたのか?」

「……十分に食べた」

「ふっ、眼鏡は小食か」


 大皿を幾つも空にしたレザンとキアンの食べっ振りに、呆れ顔のリール。


「デザートはなんでしょうね~」


 にこにことデザートを待つエリオット。


「そうだ。食後の茶は、俺が振る舞ってやろう!」


 と、キアンが立ち上がった。


「あ、遠慮しとく。わたしはノーマルな紅茶で」

「俺はコーヒーがいいぞ」

「僕はココアがいいので大丈夫ですっ!」

「? そう遠慮せずともいいのだぞ?」

「いや、わたしは普通のストレートティーが飲みたいから」

「俺もブラックコーヒーがいい」

「僕はお砂糖控えめなココアがいいですっ」

「そうか?」

「なになに? イケメンにーちゃん、どんなお茶淹れてくれんの?」

「では、仕立て屋と眼鏡に振る舞ってやろう!」

「……いや、俺は飲むとは言ってないんだが」

「遠慮するな。(しば)し待つがいい」


 と、席を立ってキッチンへ向かうキアン。


「……キアンの淹れるお茶になにかあるのか?」


 リールが不審そうにわたし達を見やる。


「なにかって言うか……ねぇ?」


 思わずレザンとエリオットと顔を見合わせる。


「うむ……」

「キアン先輩のお茶はですね……その、当たりハズレが大きいんですよ」


 ふっと遠くを見詰めるエリオット。


「? 当たりハズレ? なにそれ?」

「まぁ、キアンが来ればわかるよ」


 そして数分後。甘い湯気を漂わせて、キアンが三人分のお茶を運んで来た。


 わたし達の分は、注文通りのものを使用人が用意してくれた。ああ、よかった・・・


「さあ、飲むがいい!」

「それじゃあ頂きまーす」

「・・・」

「熱いから気を付けて飲め」



 (「……今日は) (甘そうな) (やつみたい) (ですね」)

 (「……苦いの) (とか辛いの、) (エグいくらい渋い) (だけのお茶よりは、) (まだマシじゃない? ) (一番の当たりは、) (普通のやつ) (だけど」)

 (「……普通のと) (薄いの以外、) (キアンの茶は) (苦手だ」)


 なんてひそひそと話していると・・・


「あっつっ!!」

「だから気を付けろと言ったであろう」

「・・・なんだ、これは」


 ちょっとだけ熱いお茶を啜ったリールが、盛大に顔を(しか)める。


「ん? 知らぬか? チャイだ。茶葉をスパイスと一緒に濃く煮出して、砂糖とコンデンスミルクを加えたものだ」

「……俺には甘過ぎ、る……」

「ぁ~、確かに甘……って、なんか辛いんだけどっ!? え? な、なんか苦い気もして来た……なにこれっ!? み、水~っ!!」

「……辛い。生姜も入れ過ぎだ」

「ふむ……甘くしたから、美味いと思うのだがな?」


 チャイは、お茶に生姜やスパイスなどを加えて一緒に濃く煮出し、砂糖とコンデンスミルクをたっぷりと混ぜたミルクティーの一種だ。美味しいチャイは美味しいみたいだけど・・・淹れ方やレシピによっては、大変癖が強く出る。たっぷり入っている砂糖とコンデンスミルクで最初は甘く感じるけど、生姜やスパイスが辛かったり、濃いお茶の渋みが後からやって来たりと。本格的なチャイは、初めての人には味覚が大渋滞を起こす系のお茶だったりもする。


 まぁ、キアンの作るチャイがマズいだけなのかもしれない。匂いはいいんだけどね? あれ、飲むと騙されるんだよなぁ……


 水をがぶ飲みするテッドと、カップに並々と残るチャイを渋い顔で睨むリールを余所に、わたし達は注文通りのお茶を美味しく頂いた。


 ちなみにキアンは、そこらの雑草やらハーブ、薬草を生だったり乾燥させたり、スパイスを混ぜたりして怪しい特製ブレンド茶をよく作るんだけど・・・偶に普通の味のお茶や、薄~いお茶があって、それが飲める当たりのお茶。けれど、草の種類と効能によっては、とんでもなくマズいハズレのお茶ができあがる。


 キアン本人は、「良薬は口に苦しだからな!」と平気な顔で飲んでいるけど、知っている人はみんなキアンの淹れるお茶はなるべく飲まないようにしている。まぁ、キアンにお茶を淹れてもらって、それを飲み切るという、おふざけの罰ゲームがあったけど。


 でも、不思議なことに、体調の悪いときにキアンの淹れたお茶を「薬湯だと思って飲むがいい」と飲まされると、なぜか美味しく感じることがあるんだよねぇ。そして、体調が良くなったときに、同じだというお茶を飲むとマズく感じるという謎現象。


 キアン曰く、「ふっ、身体が求めているから美味いと感じるのだ!」らしい。本当かどうかはわからないけど。


✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰



 読んでくださり、ありがとうございました。


 ネイサン「偶に土の味がするお茶とかがあったりするんだよね。ああいうのは、普通にマズい」(-""-;)


 エリオット「土の味がするのは、なにかの根っこのお茶みたいですけど……本当に、涙が出るくらい美味しくないのもあったりしますからね」(´-ω-`)


 レザン「うむ。しかし、なぜか偶に美味く感じることはあるな」( ・`д・´)


 キアン「ふっ、全く、わかっていない連中だ。良薬は口に苦いと決まっておろう!」( -`ω-)✧



 本格的なチャイはレシピによっては癖が強くて、日本人の口には合わなかったりするそうです。お店で売ってるような飲みやすいチャイは、スパイスの量を減らしたりなど、大抵はアレンジ済みのようです。


 そしてキアン的には、薬草やらハーブは解毒作用があるので、本当に薬湯感覚で飲んでいる部分があります。(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] チャイ、昔、海外旅行に行ったおともだちのお土産で、いくつかの香辛料がセットされたものをいただいたことがあります。煮出すので、ちょっとした手間ではありましたが、美味しかった。 ただ、シナモンス…
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