とても尊いと思ったのですっ!!!!
脱字直しました。ありがとうございました。
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まさか、リヒャルト以外の男の子を『実の弟みたいに可愛がってもいい』と思えるようになるだなんて、ハウウェル様と賭けをした頃には、全く想像もしていませんでした。
婚約を解消してから、結婚する気が無くなっていて、リヒャルトのサポートをして生きて行くのだと思っていたわたしが・・・
まんまとハウウェル様の思惑通りかと思うと、かなり悔しいのですが・・・
まぁ、仕方ありません。ハウウェル様の弟君……ネイサン様は、ハウウェル様が仰った通り、実際に素敵な男の子だったのですから。
誰にも言ったことは無かったのですが・・・わたしは、リヒャルトが生まれていなければ、男性を嫌いになっていたかもしれません。
幼少期から、ずっとわたしを目の敵にして来る親族の少年達。そんな彼らに絡まれているのに、「次期当主として自分でなんとかしなさい」と、わたしを助けてくれない父。わたしへ、忌々しいという風な視線を向ける親族の大人達。
そして、剣や馬を習って行くうちに向けられる、「女にできる筈がない」という侮りや嘲り。それを覆す為に頑張れば、「女のクセに可愛げがない」や、「女のクセにいい気になるな」と言われる。
勉強を頑張り、優秀な成績を修めれば、同年代の……特に上位貴族の少年達に敵視される。
お母様は、「ケイトはなにも悪くないのよ」と悲しそうな顔で言ってくれましたが・・・
一体、わたしのなにがいけないのか、わたしには全くわかりませんでした。
彼らがわたしを嫌い、敵視するのなら、わたしも彼らのことを敵なのだと思うようになりました。
同年代の少年達には負けられないと、段々と頑なになって行き、心が荒んでいたときに生まれたのが、リヒャルトでした。
正直なところ、最初は弟が生まれたと聞いて、少し怖くなったのです。
わたしを敵視する同年代の少年達のように、生まれたばかりの弟までがわたしのことを嫌って、敵視するような目で見られたらどうすればいいの? と。
家族にまでそんな目で見られるのは怖い、と。
今にして思えば、生まれたばかりの赤ちゃんが、わたしのことを敵視する筈がないとわかるのですけど。あの頃のわたしは、周囲にいる男性に対して、常に気を張っていましたから。
それから、勇気を出してリヒャルトに会いに行こうと、帰省して・・・
初めてリヒャルトを見たときは、本当に全てが驚きの連続でした。
まずはその小ささに。真っ赤な顔に。もぞもぞと動いていることに。触れた肌の熱さと、その柔らかさに。ぴすぴすと鳴る寝息の音に。むにゃむにゃと動く唇に。
眠っているリヒャルトにおっかなびっくり触れた指を、ぎゅっと小さな手で握られたときには、なぜか涙が零れてしまいました。
そして、自然と思ったのです。
ああ、この小さな命が愛おしい。守りたい、と。そう、強く思ったのです。
そんな風に思ってしまったら、リヒャルトが男の子だから怖いという思いなんか、綺麗さっぱり無くなっていました。
リヒャルトを可愛がりたいと思いながらも、なかなか家に帰ることができず、父にわたしがリヒャルトを嫌っているという風に思われていて、どうしようと思い悩んでいるときに出逢ったのが、ハウウェル様でした。
ハウウェル様は、今までわたしの周囲にいた男性とは、全く違う方でした。わたしへ悪感情を抱くことなく、自分が運動が苦手だと認めて、わたしへ馬の乗り方の教えを請い、いつも穏やかな表情をしている方。
まぁ、その印象は弟君のことを語ることですぐに覆されたのですけど。
ハウウェル様と話して、周りにどう思われようとも、好きなものは好きだと主張しようと開き直り、リヒャルトと仲良くなりたい! という念願が叶いました。
ハウウェル様とは、
「リヒャルトの方が可愛いです!」
「いやネイトの方が可愛い!」
と、幾度となく熱く語り合いました。
ハウウェル様が卒業すると、リヒャルトのことを語れる相手がいなくなって、少々寂しくなる……と思っていた頃。あの、なんとも言えない賭けを持ち掛けられました。
わたしがハウウェル様の弟君であるネイサン・ハウウェル様を、『自分の弟のように可愛がってもいい』と思ったら、ハウウェル様の勝ちで、そうは思わなければわたしの勝ち。
賭けは、わたしの勝敗に拘わらず、リヒャルトの将来に絶対に役立つ。そう考え、賭けに乗ることにしました。一応ハウウェル様は、無体な真似はしないだろうという信頼もありましたので。それに、ハウウェル様の仰った通り、この方になら腕力で勝てそうだとも思いましたし。
そんな賭け。わたしが負ける筈は絶対に無い、とも思っていたのですが・・・
ネイサン・ハウウェル様は、見たことがないくらい綺麗なお顔をしていて・・・
大変悔しいことに、ハウウェル様が仰った通り、弟君の幼少期は天使のように可愛らしかったのだろう……と、思ってしまいました。
わたしは、自分からネイサン様に接触するつもりはなかったのですが、ネイサン様がクロフト様と乗馬クラブにやって来たときには、いきなり馬を爆走させたので、とても驚きました。
クロフト様を叱り飛ばし、馬の爆走をやめさせて一安心して……叱られてしょんぼりと落ち込む男の子の顔がちょっぴり可愛いと思ってしまったのは、リヒャルトに続き、ネイサン様で二人目でした。
クロフト様が大きな身体で落ち込んだ姿は、少し面白いと思ってしまいましたけど。
それから、なんだかんだとネイサン様達と接する機会が増えて・・・
ネイサン様が凄く優しくて、素敵な男の子なのだということを知りました。
ネイサン様の周りにいる男の子達もみんな優しい良い子達で・・・
この前、参加したお茶会で偶々ハウウェル様方とお会いすることがあり、久々にお会いしたハウウェル様に一緒にいるリヒャルトの魅力を伝えようと思わず興奮してしまい、リヒャルトとネイサン様を困惑させてしまいました。
そのとき、リヒャルトを抱っこしたネイサン様に、リヒャルトを不安にさせてどうするのかと諭されてしまいました。恥ずかしく思いましたが・・・
優しい顔でリヒャルトを気遣ってくださるネイサン様と、わたしとハウウェル様が喧嘩をしているとの誤解を解いて、笑顔を見せてくれたリヒャルトの二人がなんだか・・・
とても尊いと思ったのですっ!!!!
読んでくださり、ありがとうございました。
尊いと思っちゃいました。(笑)




