思わぬ方向から被弾した気分だよっ!?
アルレ嬢と遭遇しないように辺りを警戒しながら過ごし――――
週末ですっ!
あれから、アルレ嬢からの接触は無かった。
けど、接触が無いのも、それはそれでなんだか不気味というか・・・
まぁ、今日を凌げば、放課後にはうちから迎えが来ますからね。
うちに帰ったら、お祖父様に相談です。
一応わたしは、軍に入るつもりは無いということを話して・・・
多分、お祖父様とおばあ様はわたしの好きなようにしていいと言ってくれると思いますけど、問題は・・・セディーなんだよねぇ。
心配を掛けたくないからって、騎士学校時代のアレな話は殆どしてないからなぁ。
わたしがちょっと絡まれたくらいで、絡んで来た相手の家に「厳重に抗議しておいたから安心してね?」という風に行動力のある過保護っ振り。
わたしが軍の諜報部にスカウトされたって言ったら、どうなるのか・・・
今から気が重い。
それにしても、まさか本当に諜報部からスカウトが来るとはなぁ。騎士学校時代に、皮肉やら揶揄いで、諜報部やハニートラップ要員に向いているとは、よく言われたけど・・・
「はぁ・・・」
なんだってアルレ嬢は、わたしなんかに目を付けたんだろ?
わたし、この学園では結構大人しく過ごしているのになぁ。
まぁ、ちょっと絡まれたりはしたけど・・・
喧嘩は特にしてないし、正当防衛はまだ一回しかしていないでしょ?
ちょ~っと、上級生と揉めただけでこんなに目立つとは思わなかったよ。
なんというか、この学園の生徒って品行方正過ぎじゃないかな? 全く・・・
そんなことを考えながらうだうだと過ごし、放課後になった。
前方確認、よし。
左右の確認、よし。
後方確認、よし。
アルレ嬢らしき人影は見えない。
「なーにきょろきょろしてんだ?」
と、横合いから掛けられた声に驚く。
「っ! なんだ、テッドか……」
「なんだとはなんだ、失礼な。ハウウェルが怪しい動きしてるから声掛けてやったってのによー。で、なにしてんの?」
失礼な、と言う割には完璧に面白がっているような顔してるし。
「なんでもないよ」
「いやいや、なんでもなくて、あんな警戒してます! って態度はおかしいだろ・・・あ、わかった。ハウウェル、今日帰んだろ? で、前みたいにおにーさんに俺ら会わせたくなくてこそこそ帰るつもりだったんだろ? もー、水臭いなー。よし、おにーさんに挨拶を」
「するの? セディーに、挨拶」
まぁ、その勘違いに乗っておこう。セディーが来るとは限らないけど。ついでに、テッドをじっと見やる。
「・・・いや、すまん。冗談だ。ハウウェルのおにーさんは、俺にはまだちょっと早いって言うか・・・ハウウェルの自慢を延々聞かされるのは、ちょっとツラいから」
すっと顔を逸らされた。
「なっ!? なに言ってんのっ!?」
「っつーワケで、俺は退散するわ。じゃーなハウウェル、楽しんで来いよ!」
ハハハと笑いながら手を振って、テッドが走って行った。
なんか、思わぬ方向から被弾した気分だよっ!?
しかも、セディーがわたしの自慢云々が、微妙に否定できない気がするのがなんとも言えない・・・
それから、お迎えの馬車に乗って帰りました。
ちなみに、今日はセディーは乗っていなかった。
なんでも、予定が合わなくて大層悔しがっていたのだとか。御者の方が言っていました。
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うんざりする渋滞を越え、漸くうちに着いたのは、すっかり日が落ちてからのこと。
馬車が止まったと思ったら、バン! と勢いよくドアが開いた。
「お帰りネイトっ!?」
「た、ただいま」
ちょっと、びっくりした。
「今日は迎えに行けなくてごめんね? ネイトが帰って来るって知ってたら、予定をこじ開けてたのになぁ・・・」
「ううん、いいよ別に。気にしないで」
……というか、セディーはもっと自分の用事とかを優先した方がいいと思うし。
「急に帰って来たいって、どうしたの? ネイトも寂しくなっちゃった? 僕もネイトがいなくて寂しかったんだよ」
と、ぎゅ~っとハグをされた。相変わらず、セディーは熱烈だ。
「はいはい、セディーが寂しかったのはわかってるから、そろそろ中にお入りなさいな。きっと、ネイトはお腹を空かせているわよ」
と、手を叩くおばあ様に促されて家に入り、遅めの夕食をとって一息吐いた頃。
「お祖父様にお話があるんですけど」
読んでくださり、ありがとうございました。




