なにやら脳筋が、変なことを言い出したっ!?
明日から授業が始まるなぁと思いながら、今日はどうしようと考えつつ朝食を食べていると、
「よう、ハウウェル」
「……座るぞ」
「今日はいい天気だな」
と、いつもの面子が寄って来た。
「あーあ、休みも今日で終わりかよー。明日からまた授業が始まんのかー」
名残惜しそうに言うテッド。
「なーんか面白いことねーかな?」
「……暇なら、課題の見直しをしたらどうだ?」
「はあ? マジで言ってんのか、お前? 昨日あれだけやったからもう十分だっての」
リールの言葉に渋い顔をするテッド。
「ふむ。面白いこと、か……」
レザンがぼそりと呟いた。
「お、レザンなんか面白いこと思い付いたん?」
「そうだな、ハウウェル」
「ん? なに?」
「昨日は課題の答え合わせで助かったからな。その礼と言ってはなんだが、鍛錬をしないか?」
「は?」
なにやら脳筋が、変なことを言い出したっ!?
「実は昨日から気になっていたのだが、ハウウェルは休暇前よりも少々筋肉が落ちたのではないか?」
「断る!」
まぁ、そりゃあ去年に比べたら、運動量は格段に落ちているとは思うけど・・・
「そう遠慮することはない。鈍った身体を、一緒に鍛え直そうではないか。いい天気だからな。今日は鍛錬日和りだぞ」
爽やかに笑うレザン。
明日から授業再開だというのに・・・コイツの鍛錬とやらに付き合うと、筋肉痛その他身体的なダメージは必至。ガタガタの身体で授業を受けるなんて、冗談じゃない!
よし、逃げよう。
「わたしにはお構いなく。君一人で思う存分、鍛えてればいいんじゃない? ということで、ご馳走様。わたしはたった今、大事な急用を思い出したから、失礼するね」
と席を立とうとしたら、
「まあ、待てよハウウェル」
ニヤァと悪い顔で笑ったテッドに、ガシっと肩を掴まれる。
「っ!? ちょっ、放せテッド」
焦るわたしを見て、
「まあまあ、落ち着けって。な?」
テッドの目が笑っている。面白いこと見付けた、と。
「ほら、体力って大事だろ? なぁ、レザン」
「うむ。当然だな」
「ということで、ガンバレ♪」
「っ!?」
この野郎っ、レザンにしごかれるわたしを見て高みの見物をする気かっ!?
そっちがそのつもりなら、わたしだって・・・
「レザン、テッドも鍛錬をしてみたいんだって。初心者でもできる運動を教えてあげたらどうかな?」
「なっ、ハウウェルっ!?」
ぎょっとした顔のテッドを見て、
「うん? なんだ、テッドも鍛錬に興味があるのか? では、そうだな……」
思案するようなレザンを一瞥。この隙にテッドの手を振り払い、
「片付けよろしく!」
完食した朝食のトレイを残して食堂を飛び出し、全速力で走る。
「っ、ハウウェルっ!?」
テッドの声なんか無視だ。
――――そして、長期休暇最終日。
「鍛錬をするぞ!」
と追い掛けて来るレザンから逃げ回りつつ、テッドとお互いにレザンを嗾けながら小競り合いをして、一日が終わった・・・
終わって、しまった。
ぁ~、あちこち走り回って疲れた・・・
レザン的には剣を振り回したかったらしく、「週末の放課後は空けておけ」とイイ笑顔で言われた。
今から、どう逃げるかを考えないと。
リールには、「バカだろお前ら」とものすごく呆れた顔をされたし。
わたしだって、こんな馬鹿馬鹿しいことで一日が潰れて、至極不本意なのに・・・
そして、長期休暇の最終日を酷くどうしようもないことに使って、すっごく損した気分だっ!?
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読んでくださり、ありがとうございました。
全くありがたくないし、迷惑。(笑)




