なに妄想を口走っているのですか?
誤字直しました。ありがとうございました。
「失礼、そこの方。そんなに大声で、ご自分がセルビア嬢よりも劣っているということを主張して、楽しいのでしょうか?」
まぁ、そんなに恥を掻きたいというのなら、手伝って差し上げましょう。
存分に、恥を掻かせてやろうじゃないか。
「は?」
「自虐趣味なのか露悪趣味なのかは知りませんが、ご自分の性癖暴露に、なにもこの交流会を選ばなくてもいいではありませんか? 中等部の生徒達も参加しているというのに。彼らの教育に悪いとは思いませんか? ああ……それとも、わざわざ交流会を選んで、そのようなみっともない姿を、大勢の方の前で晒すのが目的でしたか?」
だって、現に・・・
セルビア嬢から醒めた視線を浴びせられる自己陶酔男へと、羨ましそうというか、妬ましいという風な視線を送っている人達がいるし。あれって多分、『ケイト様を見守る会』の人達なんだろうなぁ・・・
まぁ、この自己陶酔男がそういう趣味だとは限らないけど。公衆の面前で女性に絡んで来て、恥を掻かせて笑い者にしようとするクズ男なのは違いない。
手前ぇが笑い者になってろ。
「なっ!?」
「交流会でそのような行為は迷惑なので、今すぐやめて頂けませんか?」
「ふむ、成る程な。幾ら自分の趣味が満たされないからと言って、このような場ですることではないな。興奮されても迷惑だ」
と、レザンの非難混じりの険しい視線を浴び、顔を真っ赤にする自己陶酔男。
「おぉ、お前らっ!? 下級生の分際でっ、上級生のこの俺にそんな態度を取って許されると思っているのかっ!?!?」
「? いえ、先輩後輩と言った年齢の問題ではなくて、品性の問題だと思いますが?」
「はあっ? 品性? なんだお前ら、もしかしてそうやってケイトを庇っているつもりか? どうせこの女はな、嫁の貰い手が無くて我が家に押し付けられるんだよ。ったく、冗談じゃないぜ。年が近いってだけで、こんな男勝りの暴力女を押し付けられるだなんて、堪ったもんじゃない」
「なに妄想を口走っているのですか? 呼び捨ても心底気色悪いので、今すぐやめてください。誰があなたの家に嫁ぐと? そんなの、わたしだって願い下げです。それなら、老嬢や修道女になる方が余程マシですね。あり得ません」
「はあっ!?!?」
セルビア嬢の嫌悪溢れる言葉に激昂する自己陶酔男。本当に気色悪いですね。
「いい加減にしてください。公衆の面前で恥を掻きたいという特殊な趣味はわかりましたが、ご自分のそんな趣味に、他の生徒を巻き込むのはやめてください」
「なっ、誰がそんな趣味を持っているかっ!? 巫山戯たこと抜かすなっ!!!!」
「巫山戯たこともなにも、公衆の面前で自分がセルビア嬢に劣ることや、それについて嫉妬していること、セルビア伯爵家の親族でありながらも、セルビア伯爵に全く信用されていないことを公表した挙げ句、セルビア嬢に振られて興奮している、品性下劣な男。というのが、この場でのあなたの評価だと思うのですが? 違いましたか?」
と、周囲の生徒達を示唆する。今までのやり取りを見て、ひそひそと囁き合い、面白がるように笑っているのが見える。クスクスと広がるさざめき。
自己陶酔男は、そうやって笑われていることを漸く認識したのか、さっと顔が青くなる。
まぁ、彼が特殊な趣味をしているように見えるよう誘導したことは否めませんが……さっきからずっと、周囲の生徒達に笑われていたんですけどね?
あと、『ケイト様を見守る会』の会員と思われる人達や、セルビア嬢へ熱い視線を送っている女子生徒達からは、かなり厳しい目(羨ましいという嫉妬の視線も含む)で見られていましたし。
気付くのが遅過ぎますよねぇ? それに、そうやって激昂すると、益々図星を指されたように見えますし。それにしても、ころころと顔色がよく変わってますが、血圧とか大丈夫でしょうか?
まぁ、先にセルビア嬢を貶めようと仕掛けて来たのは、あちらの方だ。更には、「場を弁えなさい」という言葉を無視して絡んで来たのも、あちらの方。
恥を晒す前に、とっとと退散していればよかったものを。というか、そもそもセルビア嬢に絡んで来なければよかったのに。
まぁ、これも自業自得というやつですよね。
今日から彼は、変態扱い確定。一応、明日からは長期休暇なので、休み明けには噂が鎮静化しているといいですね。
「お、お前らぁっ!!」
またもや顔を真っ赤にした彼が声を張り上げたときだった。
「先生ー、なんかあっちで男子生徒が騒いでるみたいですよー! 見に行った方がいいんじゃないですかー!」
読んでくださり、ありがとうございました。




