ハウウェルのばーちゃんコワっ!?
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各教科ごとに課題を出され、羽目を外さないように、危険なことをしないように、事故に遭わないように、健康に気を付けるように、課題を忘れないように、という諸々の注意を受け・・・
午前中の授業と、そして――――
前期の授業終了!!
これで後は、午後三時からダンスホールで始まる生徒間交流会を終えれば、帰省してもOK♪
まぁ、休暇はどうするのか? と、やたら予定を聞いて来たり、旅行や別荘などに誘って来るような人がいたりしますが、「わたしは家に帰ります」とレザンに対応するように(さすがに無表情ではなくて作り笑顔で)ずっと同じことしか答えなかったら、引き攣った顔をして諦めてくれますけど。
わたしの予定を聞いて、どうするつもりなんでしょうかねぇ?
そんなことを思いながら時間が過ぎ――――
「お、なんだハウウェル、制服かよー。つか、いつもと変わんねー」
「そう言うテッドの方こそ、あんまり変わらないね」
セルビア嬢が制服で出席するとのことで、わたしも制服での参加です。
「バカ言え、俺はいつもより数段気合入っとるわ!」
「ふぅん……」
「つか、お前らが変わらなさ過ぎ! ちったぁそわそわくらいしろや!」
「ふむ……食事は楽しみだな!」
「食い気かよ!」
「立食パーティー形式みたいだから、軽食が中心なんじゃない?」
「そうか・・・」
心なし、しょんぼりするレザン。コイツ、なかなかの大食いだからなぁ。
「まぁ、交流会が終わった後でも、希望者には寮で夕食が出るらしいよ?」
交流会は、午後三時から午後七時までの四時間程。参加は自由。中座も自由。寮で過ごすのも自由。
ただ、帰省するのは交流会が終了してから、というのが決まっているけど。
「それなら安心だな!」
「そうじゃなくて! 女の子とお知り合いになれるかな? 仲良くなれちゃったりしたりなんかしたら嬉しいな♪の、ウキドキワクテカなそわそわ緊張感はないのかお前らはっ!? 副部長なんか、年上で美人なおねーさんなんだぞっ!? ……変なファンがいたりするけど……」
「え? わたし婚約者いるんだけど」
セルビア嬢は、確かにクール系の美女で……特殊な趣味をしたファンもいますけど……彼女相手には、特にドキドキしたりはしませんね。むしろ、あの弟さんへの迸る愛情には、どことなく親近感が湧きますが。
「あーそーだったなっ!? ハウウェルより美人だって噂の婚約者様なっ!? 自慢かコノヤロー!!」
またなんか、面倒な絡みモードになった。厄介な。う~ん・・・
「テッド」
「あ? なんだよ!」
「そんな怖い顔して、女子生徒に声を掛ける気?」
「っ!?」
「それはいかんな。女性の前であまり物騒な気配を醸し出していると、怯えさせてしまうぞ?」
「っ……レ、レザンがなんかまともなこと言ってやがるっ!?」
レザンの言葉に、ぎょっとした表情をするテッド。まぁ、気持ちはわかるけどね?
「うん? 母上によく言われるからな。体格が厳つい上に、ただでさえ強面なんだから、女性の前で険しい顔をして怖がらせるのはやめなさい、とな」
「ぁ、なるほどなー」
「へぇ・・・」
まぁ、レザンはデカいし強面だし。無言だと結構圧力あるもんね。男でも少し近寄り難い。険しい表情なんかしていると、女性には怖く感じるのかもしれない。
「ハッ、そうだハウウェル! パーティーで気を付けた方がいいことってなんかあるのかっ!?」
「え? ぁ~、まぁ……騒ぎを起こさないのは当然として。長時間パートナーを放置しちゃ駄目っていうのは常識でしょ? それから、ファーストダンスはパートナーと踊ること、婚約者以外とは三回以上踊らないこと、食べ物にやたらがっつかないこと、お酒やカクテルは飲み過ぎないこと」
「……酒は出ないと聞いたぞ」
ぼそりとリールのツッコミ。
「まぁ、学園では酒類は出ないけど、一応はパーティーでの注意事項だね。未成年は飲んじゃ駄目なのは当然なんだけど。そして、あまり人に聞かれたくない大事な話、下品な話は大声でしないこと、パートナーの様子には気を配ること、パートナーの調子が悪そうなら無理をさせないで早目に中座すること、中座ができないのならなるべくフォローをすること、後は……特に、女性の足には気を配りなさいって言われたかな?」
「な、なんかいっぱいあるんだな? つか、なんで足よ? 女の子の足じっと見てたら、普通怒られんじゃね? ・・・ハッ! さては足フェチかっ!?」
「あのね、違うから。誰がじっと見ろって言ったよ? 気を配るんだって。女性はヒールの高い靴を履くことが多いから、合わない靴で無理をして、足を傷めることがあるんだって。ほら、靴擦れって痛いでしょ?」
「ぁー、あれは確かに痛いよなぁ。ヒールとか、歩くのも大変そー」
「うん。それなのに、女性の靴擦れに全く気付かないでダンスに誘って、何度も踊らせるような鈍感男は、ヒールで足の甲を踏み抜いて、強制的にダンスを終了させてやりたくなるくらいにムカつくって、おばあ様が言ってました」
「ぅえ? ハウウェルのばーちゃんコワっ!? 男の足に穴空ける気かよっ!!」
「……ぉ、恐ろしい……」
「それはなんとも豪快な祖母殿だな!」
「・・・そう言や、ハウウェルってばーちゃん似なんだって聞いたなー」
「ああ、うん。わたしはおばあ様似だよ」
「ハウウェル似のばーちゃんかぁ・・・なんかわかる気がする!」
「うむ」
「……成る程、気性の荒さまで似たのか」
ぼそりと失礼なことを言うリール。
「いや、足を踏みたくなるって言ってるだけで、さすがに実行はしないと思うよ?」
多分・・・若い頃のおばあ様なら、やりかねないかも? とか、一瞬だけ思ってしまったけど。
「兎も角、パートナーの様子に気を配ればいいんだよ。あと、あんまり愛想振り撒いちゃ駄目とか、笑顔の安売りはしちゃ駄目とか、パートナー以外の女性が具合悪そうにしてても、一人で対応しないで近場の女性に助けを求めるとか、変な目付きの人には男女関係無く気を付けるとか……」
「ぁ~、うん。美人なハウウェルは、そうかもなー。十分気を付けるんだぞ?」
「うむ。なにかあったら呼んでくれ。駆け付けよう」
「……遠慮はするな」
「え? あ、うん。ありがとう?」
?? あれ? なんかわたし、みんなに心配そうな顔で見られてる?
♩*。♫.°♪*。♬꙳♩*。♫
読んでくださり、ありがとうございました。
おばあ様は、お祖父様の足を踏んだことがあったり……?(笑)




