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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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で、どうなんだ? ちょー美人の婚約者。

 誤字直しました。ありがとうございました。

「え? なにハウウェル?」

「テッドも知ってると思うけど、レザンの家ってバリバリの軍人の家系なんだよね」


 声を潜めて話す。


「お、おう」

「奴の家族に目を付けられたら、軍に引き抜かれる」

「へ?」

「そんな噂がある。確実な話ではないと思うけど、レザンの兄君達が気に入って、実家に呼んだ友人達はみんな、軍人になっているそうだ。そういう噂がある」


 騎士学校の教官から聞いた話だし。冗談っぽく話していたけど、妙に真実味がある。なんか怖いから、裏は取ってないけど。


「・・・マジで?」

「信憑性は()(かく)、わたしは軍人になるつもりは無いからね。だから、奴の誘いを(ことごと)く断っている」


 そんな家に遊びに行くなんて、勘弁してほしい。


「そ、そうか・・・」

「まぁ、噂の真相が知りたければ、テッドがレザンの家に遊びに行くといいよ? 大丈夫、わたしはテッドの選ぶ道を応援してるから」


 ぽんと肩を叩いてにっこり笑うと、


「すんませんでした!」


 テッドが青い顔で謝ってくれた。


「……レザンには、あんまり家のことどうこうは聞かない方がいいよ? 色々と話せないことも多いと思うし」

「そ、そうだな! わかった! そうする。ありがとうハウウェル」


 テッドは、納得してくれたようだ。そして――――


「それで、交流会どうするんだ?」

「……いや、お前ら今あからさまにひそひそ話をしていただろうが。それを、なんで()もなにもなかったような顔で仕切り直しているんだ」


 眉を(ひそ)めるリール。


「ふっ、細かいこと気にしてるとモテないぞ? リール」

「なっ、なにをっ!?」

「やー、ほら? 折角(せっかく)のパーティーじゃん。しかも、お堅いこの学園で、女子とお近付きになれる数少ないチャンスだぜ? どうするよ? やっぱさー、女の子誘ってエスコートとかする? 婚約者とダンス踊っちゃったりするのか? どうなんだ?」


 興味津々といった顔で聞いて来るテッド。


「うん? 俺に婚約者はいないぞ」

「あ、それは知ってる。俺はレザンじゃなくて、ハウウェルに聞きたい。ハウウェルの婚約者は来るのか? めっちゃ美人だって噂の婚約者!」

「え? なにその噂」

「? いや、美人なハウウェルの婚約者なら、それはそれは美しい女性に違いないっ!? って話。だからさー、その美人さんに会えるの楽しみにしてる奴ら多いんだぜ」

「なにそれ? 初耳なんだけど」

「で、どうなんだ? ちょー美人の婚約者。交流会に来るのか? 呼ぶのか? 踊るのか?」

「来ないよ。そもそも、学園生徒の交流会なんだから。学園生徒以外は参加できないでしょ」


 というか、スピカは学園どころか、この国にすらいないし。学園に通える年齢ですらないというのに・・・


 でも、美人かぁ。スピカはすっご~~く可愛いから、きっと美人になるに違いないよねっ!?


「なんだとっ!? 美人さん来るのめっちゃ楽しみにしてたのにっ……それじゃあ、ライアン先輩は婚約者とかいるんですかー? エスコートするんですか?」

「いえ、僕は婚約者はいないので」


 不躾(ぶしつけ)なテッドの質問に、苦笑しつつも答えてくれるライアンさん。


「そうなんですかー。誰も婚約者来ないのかー」

「来ないというよりは、そもそもいないからな」


 残念そうなテッドを、不思議そうに見やるレザン。


「そういうテッドはどうなの?」

「はっ、平民の俺に婚約者がいるワケねーだろ」


 平民でも、裕福だと婚約者が決まっていてもおかしくはないんだけど。どうやらテッドに婚約者はいないみたいだ。


「それじゃあ、パートナーの宛とかは?」

「あるワケねぇだろっ!?」

「いや、話題振ったの君だよね?」

「俺は、噂の美人が見たかっただけだ!」

「……ハウウェルの婚約者は大変そうだな」


 なにやらよくわからない期待をしているテッドを尻目に、ぼそりと呟くリール。


 まぁ、なにを指しての大変かは()(かく)。確かに、わたしと結婚するとスピカは大変だろうなとは思う。


 主に、両親(あの人達)関係で・・・


 スピカを両親(あの人達)に会わせたくないなぁ。


♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘⚔♞⚔♘


 読んでくださり、ありがとうございました。

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