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虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い  作者: 月白ヤトヒコ


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赤点だとかそんな湿っぽい話はやめようぜ!


・*:.。 。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜ ✽


 テスト期間が終了したからと言って、直ぐに答案が返却されるわけではなく、教師陣が採点を終えるまでは、通常授業。


 長期休暇と交流会を目前に、生徒達がどことなくそわそわと過ごし――――


「で、どうよ?」

「うむ。おそらくは、回避できたと思う」

「よかったじゃねーか!」

「ああ、そう言うテッドの方はどうなんだ?」

「おう、なかなかの手応えってとこだな。リールはどうよ?」

「……いつもより、できたと思う」

「ライアン先輩って教え上手なのなー。ありがとうございました!」

「感謝します、ライアン先輩」

「ありがとうございました」

「助かりました」


 と、みんなでライアンさんへお礼。


「いえいえ、そんなことはありませんよ。僕は、自分がセディック様に教わったようにして教えただけなので、教え上手なのはセディック様の方ですね」


 確かに、ライアンさんの教え方はセディーの教え方と似ていて、わたしはやり易かったかも。


「ぉ~、そこで謙遜……というか、ハウウェルのおにーさんが出て来るんですか」

「? いえ、特に謙遜ではありませんが……ハウウェル君はどうでしたか?」

「わたしも、多分赤点ではないと思いますが……まだテストが返って来ていないので、なんとも言えませんねぇ」

「それもそうですね。ですが、休暇日数が短くなると、セディック様が悲しまれるかと……」

「まぁ、そうですねぇ・・・」


 悲しそうなセディーの顔が脳裏に浮かび・・・次いで、「もっと勉強しようか? ネイト」と言って勉強する時間が増やされそうな気が・・・


「赤点は、是非とも回避したいですね」


 これ以上の暗記とか、勘弁してほしい。というか、セディーは次期侯爵としての自分の勉強の方はどうなっているんだろう? いや、セディーが非常に優秀なのは、十二分にわかっているんだけどさ?


 帰省中とか、わたしに構ってばかりいて大丈夫なんだろうか? セディーに、あんまりわたしに構わなくていいんだよと言っても、「僕と過ごすのは嫌?」って寂しそうな顔で聞かれちゃうし。


 わたしは、セディーの悲しそうな顔に弱い。そう自覚している。セディーも、その辺りをわかっていて利用しているように思う。それを判っていて尚、わたしはセディーに弱い。


 お祖父様もおばあ様も、そんなセディーとわたしを微笑ましいという顔で見ていますし。あと、「勉強ばかりでは気が滅入るでしょ?」と言って、お茶とお菓子を用意してくれたり、「セディーに構ってばかりいるのはズルいではないか」と、ゲームを持って乱入して来るのはどうなんでしょうか?


 いや、ずっと勉強漬けよりは助かりますけど。


「赤点だとかそんな湿っぽい話はやめようぜ! それよりも交流会、どうすんだ?」

「やめって、赤点どうこうで一番取り乱していたのは君じゃないか。テッド」


 あんなに騒いでいたというのに……


「あ~もうっ、だからこそ余計にそんな話聞きたくねぇんだってのっ!? もっと明るい話題を話そうぜ!」

「その明るい話題が、交流会なワケ?」

「いや、むしろ他なんかあんのかよ?」

「休暇の過ごし方とか?」

「うむ。そうだな、ハウウェル」


 と、レザンが続けたので、


「わたしは家に帰ります」


 まずいと思って食い気味に遮る。


「・・・ハウウェル、俺はまだ」

「わたしは家に帰ります」

「なにも言って」

「わたしは家に帰ります」

「・・・せめて」

「わたしは家に帰ります」

「最後まで言わせてくれてもいいではないか!」

「わたしは家に帰ります」

「くっ……」

「わたしは家に帰ります」


 無表情で何度も遮りながら繰り返すと、悔しそうな顔で黙るレザン。


 ふっ、勝った。


「え? なに今の? どういうこと? つか、同じことしか言わない無表情なハウウェル、コワいんだけど」

「あの、ネ……ハウウェル君?」


 テッドとライアンさんはドン引きしている。リールにも、無言で視線を外された。


「ハウウェルは、余程俺の家には行きたくないらしい。何度誘っても、ああして断るんだ」


 珍しくしょげたようなレザン。


 まぁ、もう何度もしているやり取りなんだけど。


「なんだよ~、ハウウェル。レザンが可哀想じゃんかよ。仲良いお友達の誘いだろ? 家くらい遊びに行ってやれよ?」


 そんなことを軽~く抜かすテッドの肩を掴み、


「ちょっと来い? テッド」


 少し離れた場所で、レザンの家について教えてあげることにした。


「え? なにハウウェル?」


 読んでくださり、ありがとうございました。

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