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五日間の百合  作者: yucury
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5話 メグミの想い人

喫茶店でメグミの想い人が女の子であることを聞き、私は驚きを隠せなかった。

しかし、それなら話は早いとポジティブに考える。


「その子の写真とかあったりするの?」

「えっとありますけど。見たいですか?」

「あるんだ……。見せてくれる?」

そういうとメグミは照れた顔をして、スマホの画面を見せてくれる。

そこには体操服を着た女の子の後ろ姿が写っていた。

ショートカットであったが、後ろ向きであり、顔までは見ることができなかった。


「これって、隠し撮り?」

「ち、違い、、違わないかもです……。体育会の時にかっこよくてパシャり撮っちゃったんです。」

「ふーん。」

スマートな体つきをしているようだが、メグミが好きになる理由がわからなかった。

これだったら、私の方が。


「実は図書館で時々会うんです。」

「ふーん、そうなの。」

「実はさっき図書館で後ろ姿を見かけました。」

何か嫌な予感がした。


「夏休み中に仲良くなりたいんですが、どうしたらいいんでしょうか。」

「会えるなら、まずは会話してみることがいいと思うよ。」

「……。そうですよね。行動しないと。」

メグミはうつむきながらつぶやくように話す。すると私に向き合う。

「ミキさん、申し訳ないのですが、ついてきてもらっていいですか?」


私はメグミのお願いに断りきれずに、また図書館に戻ってきていた。

メグミは図書館を回ると、座席にに座っている少女の前で立ち止まる。

その子は私が図書館で見かけた女の子だった。

私は立ち止まるメグミの背中をそっと押した。


メグミは一歩前に出て、「シキさん、」とシキと呼ぶ少女に声をかける。

シキは無表情に顔を上げる。

メグミを見てもシキの表情は変わらないように見えたが、私はシキは内心驚いているように感じた。


「シキさん、こんにちは。図書館でよく見かけるよね。」

「うん。夏休み中に読みたい本があって。」

「どんな本読んでいるの?」

「これ。」

シキの手に取っている本の表紙を見せる。それは以前ベストセラーになった小説だった。


「おもしろい?」

「うん。おもしろいよ。」

「そう……。」

シキの返答は素っ気なく、まるで話しかけないでほしいと示しているように見えた。

メグミもそれを感じたようで、言いよどんでいる。


私はその姿を見て、驚いていた。

シキの見た目や話し方から漂う雰囲気が、自身の高校時代のときとそっくりだったのだ。

話していても伝わる、この部愛想さと興味のなさに驚く。


すると、シキは私の方を向き、目が合う。シキは無表情で何を思っているかがわからなかった。

そして、シキはメグミに向く。

「メグミさん、その方はメグミさんのお姉さん?」

「あ、ミキさんは親戚のお姉さんだよ。普段は東京で働いてにて、休み中こっちに帰省されてるの。」

「ふーん。昨日も見かけたなって。」

「そう。昨日から勉強教えてもらっているの。」

「入り口前の机で何かしてたよね。」


シキは少し不機嫌なような表情をして話している。


「シキさんは成績良いから、羨ましい。」

「そんなことないよ。」

シキは本を開いて俯いた。


私は話を聞くうちに、徐々に胸が苦しくなった。

シキは、私がメグミに勉強を教えていることを快く思ってないのだ。

そして、シキもメグミに興味があることがなんとなくわかってしまったからだ。


「メグミちゃん、そろそろ戻ろうか?」

私はメグミに声をかける。

「あ、はい。じゃあシキさん、またね。」

メグミは名残惜しそうにではあったが、シキに手を振って席に戻った。


私とメグミは席に戻ると小声で会話する。

「あの子がメグミちゃんの想い人ね。」

「はい……。」

「見た目はかっこいいけど、ちょっと寡黙すぎるんじゃない。」

「ふふ。そうですね。」

メグミは微笑えむ。その寡黙さも好きな理由であることが察せられた。


気づけば帰る時間になった。

「じゃあ今日はそろそろ帰りましょうか?」

「はい、そろそろ良い時間ですし、帰りますか。」

「明日もよかったら勉強見るけど、どうする?」

「はい、お願いします!」メグミは嬉しそうだ。

「それなら、」

私はカバンから本を取り出し、メグミに差し出す。

「メグミちゃん、恋愛小説が好きなら、この本を読んでみて。」

「これは?」

「ふふ。家で落ち着いて読んでみて。」

私がメグミに手渡した本は、OLと女子高生の二人が登場する本だった。


メグミを見送った後に、私は帰り際にシキの席に向かった。

シキは同じ席で本を読んでいた。

私はカバンから本を取り出し、シキの前に差し出す。

「フェアじやないから。」

「え?」シキは、なぜ本を差し出されたかはわからず戸惑っていたが、それを受け取る。

「がんばりなさい。」私はそういうと離れた。

私がシキに手渡した本は、女子高生二人の本だった。

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