3話 二日目の図書館
昨日の夜は今日が楽しみなあまり寝つきが悪かったが、時間通りにメグミに会いに図書館に向かう。
出発する前に時間通りに到着しそうとメッセージを送る。
するとすぐにメグミから、先に着いています、と連絡が来た。
あの子に会えると思うと、自転車を漕ぐ足に力がかかる。
図書館に着くと入り口にメグミがいて、手を振ってくれる。
「ごめんなさい。遅れてしまって。」
「いえ、私が早く来すぎちゃったんです。」
と照れたようにメグミは話す。
二人は図書館に入り、図書館の座席スペースに着く。
そこは複数人で勉強ができるように長机が置いてあった。
「メグミちゃん、今日は何を教えたらいい?」
と私はメグミに振り向くと、メグミはカバンを開く。
「えっ!?」メグミは驚いたような声を上げた。そして、カバンの中を何度も確認する。
「もしかして、忘れてきた?」
「そんな、昨日入れたはずなのに……。あっ!予習で机に出してそのままにしちゃったんだ……。」
「私は気にしないでいいから。取りに戻る?
「はい、すみません。待ってもらっていいですか?」
「ええ。大丈夫。読みたい本もあるから。」
「じゃあすみません。行ってきます。」
そういうとメグミは急いで図書館を出て行った。
待つ間に読む本を探しに回り、適当に本を選ぶと、長机に戻った。
本をしばし読み、ふと顔を上げると、ちょうど背の高めでショートヘアの中性的な女の子が図書館に入ってくるのが目に入った。
何か気になりジーと眺めていると、その女の子は冷めた目で、見返してきた。
私はすぐに目をそらすが、見返された目に何か既視感を感じた。
何かどこかで見たことある気がして、気になり、しばらくしてからその少女の方を見ると姿は奥に消えていた。
メグミが出て行ってから、しばらくするとメグミは戻ってきた。
「お待たせしてしまってすみません。」
「いいよ。その時間で何冊か本が読めた。」
私は読んだ本をひらひらさせると、メグミは安堵した表情を浮かべた。
その日は数学を教えることになった。
メグミは集中し始めると、真剣になって学んでくれるので教える側としては楽だった。
それにメグミは私により近寄って話を聞くので、髪が何度か触れ、感触を得ることができた。
メグミが疲れが見え始めたかなというところで、その日の授業を終わらせる。
「ミキさんは先生より教えるの上手です。」
「そう言ってもらえると教えがいあるな。」
メグミに褒められて、気分が良くなる。
「明日も教えてもらっていいんですか?」
「ええ。」
「じゃあ同じ時間で待ってます」
メグミは楽しそうな表情を浮かべながら言った。
その日の夜、私はベットに横になりながら、今日あったことを反芻していた。
私は明日もまたメグミに会えることを喜ぶとともに、もっと深い仲になるための方法を考えていた。




