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罪劫王レラジュ VS 相葉ナギとセドナ

新作小説【アルフォンス・サーガ】の連載を開始しました。


架空ファンタジー戦記です。

舞台は中世ヨーロッパ風の架空世界。


主人公は、アルフォンス・ベルンという17歳の少年。


天才軍略家であるアルフォンス・ベルンが、戦争で無敵の大活躍をする戦記ファンタジー小説です。


*日本の戦国時代のようなお話です。*


どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

相葉ナギとセドナは罪劫王レラジュめがけて襲いかかった。ナギが神剣〈斬華〉で斬りかかり、セドナが《白夜の魔弓シルヴァニア》で矢を速射する。


罪劫王レラジュは驚愕していた。


(何者だ! こいつら!)


信じがたい事態だった。罪劫王である自分が年端も行かぬ少年と少女に押されているのだ。ナギの神剣〈斬華〉が斬撃を繰り出す度に、レラジュの身体が切り裂かれ、セドナの矢がレラジュに突き刺さる。


レラジュの肉体は常時、魔法障壁で防御されている。彼の魔法障壁はドラゴンの吐く炎でさえも弾き返す。その絶対的な魔法障壁が容易くナギとセドナの攻撃で破壊されていく。


「おのれ!」


レラジュは爆裂魔法を放った。爆発と衝撃波が吹き荒れる。


ナギとセドナが後ろに跳躍して距離を取り、攻撃を回避した。


直後、罪劫王レラジュの肉体が膨張した。人間の青年の肉体が変化し、おぞましい姿に変化していく。


「これがあいつの正体か……」


相葉ナギとセドナはレラジュを見た。


醜悪なネズミの顔。首から下は人間と酷似している。


「腐り墜ちろ! 『腐王ディアボロシス赤霧ジーンマーダ』」


レラジュが呪詛を紡いだ。刹那、レラジュの身体から赤紫の霧が吹き出した。霧が大地を腐らせ、空気を腐らせる。


「セドナ、退くぞ!」


ナギが叫び、セドナが頷いて後退した。


ナギとセドナの立っていた地面が腐り出す。


「毒か……」


ナギが呟き、セドナが黄金の瞳に恐怖の色を浮かべる。


「そうだ! 俺の魔力は全てを腐らせる! 大地も空気も水も樹木も、貴様ら人間の肉体もな! 絶対不可避の『腐食の魔力』。それがこのレラジュの力だ!」


レラジュは魔力を増幅させた。赤紫の霧が吹き上がり、周囲の全てを腐らせていく。大地が腐り、空気が腐る。


大気中に存在する窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気までもが腐り、空気中に存在する虫も微生物さえも壊死していく。


レラジュの放つ赤紫の霧がナギとセドナに届いた。レラジュは勝利を確信して笑みを宿した。


刹那、レラジュの視界が揺らいだ。レラジュの眼前に腐った大地が見える。レラジュは大地に墜ちた。


「な?」


レラジュは自分が首だけになったことに気付いた。いつの間にか自分の首が切断されていたのだ。


ナギはレラジュの後方に降り立つと全身から放出される雷を抑えた。

ナギは全身を《軍神オーディアンズ使徒マギス》で雷化いかづちかして攻撃し、6700万分の一秒でレラジュの首を切り落としたのだ。


生物は腐らせることが出来る。だが、いかづちは腐敗しない。


自らの肉体を雷と化した相葉ナギにはレラジュの『腐敗』は通用しなかった。


「セドナ、止めをさせ」


「はい!」


ナギの命令にセドナは《白夜の魔弓シルヴァニア》を撃った。2本の矢が飛び、1つはレラジュの頭部に、1つはレラジュの肉体に刺さった。刺さった直後、レラジュの首と肉体から樹木が芽生え、瞬く間に大木に成長した。空気と大地が浄化される。


セドナの樹霊魔法プラント・マジック


魂魄ソウル芽生スポルトえる大樹ツリー』。


敵の魂を糧にして育つ樹木である。


レラジュの死骸から魔力を吸収し、成長して周囲を浄化する魔法。

ナギのレベルアップととともに、《眷臣の盟約》によってセドナもまた大きくレベルアップしていた。


「さて、他のパーティーメンバーの助太刀に行こうか? どこに行こうかな……」


ナギが神剣〈斬華〉を肩に乗せた。


「では、エヴァンゼリン様のところに参りましょう」


「良いけど、エヴァンゼリンを選ぶ理由は?」


「あの少年の姿をした罪劫王は危険です。単なる直感に過ぎませんが……」


セドナが優麗な顔に緊張の色を滲ませた。


「女のカンか……」


ナギは祖父を言葉を思い出していた。


『ナギよ。女のカンという奴は馬鹿にならんぞ。事態が流動的な場合は女のカンに頼るのも1つの手じゃ。少なくとも軽視してはならん』


ナギはエヴァンゼリンとバアルの闘っている方角を見た。


ナギとエヴァンゼリンがたてた作戦は簡潔なものだった。大魔道士アン

リエッタが、罪劫王を強制転移魔法で東西南北に強制転移する。


その後に分散した罪劫王を各個撃破することで魔神軍の統帥を破壊し、魔神軍を崩壊させる。

 

正直に言うと作戦は粗雑だ。だが、戦略レベルで劣勢である以上、巧緻な戦術などたてようがなかった。


(一番、魔力量が多く、強い相手はエヴァンゼリンが担当すると決めていたが……)


ナギの脳裏に10歳ほどの少年の姿をしたバアルが映る。


あいつはヤバイ。明確な理由はない。だが本能が全力で警報を鳴らしている。


「……行こう」


ナギが〈飛行フライ〉の魔法を使って飛翔した。


「はい!」


セドナも〈飛行〉の魔法で空に浮かぶ。ナギとセドナはエヴァンゼリンとバアルが闘っている方角にむけて飛翔した。

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