表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/198

雷鳴槍(らいめいそう)  





ナギはふと《冥王ケレスニアン使者マギス》を発動したこの選択は間違いだったか、と後悔した。


敵はグシオンだけではない。


まだ大勢いる。《冥王ケレスニアン使者マギス》は使用した後、戦闘不能になってしまう。


だからこそ、《冥王ケレスニアン使者マギス》を使わずに闘った。


(……だが使わないと、このままでは確実に殺される。やるしかない)


ナギの双眸が光った。同時にナギの全身から神力が吹き上がる。


ナギは跳ね起きると同時に、グシオンに逆袈裟を放った。


光速の一閃がグシオンの棍棒を切断し、グシオンの分厚い胸部を切り裂いた。


「ガアアアアアアアアアっ!」


グシオンが叫んだ。


何が起きた? この小僧は何をした?


ナギは電光のような速度でグシオンの懐に潜り込み、数十の斬撃を叩き込んだ。


一瞬でグシオンの胸、腹、足、肩、腕が切り裂かれ、血が奔流のようにグシオンの体から吹き出る。


グシオンが悲鳴をあげた。何が起きたのかすら分からない。


悪魔の公爵がよろめいた刹那、ナギの体が砲弾のように吶喊した。


〈津軽真刀流奥義:雷鳴槍らいめいそう


体ごとぶつかり、全身の力を一点に集約させて刺突する。その威力は鉄製の具足を貫通する。それが神力によって増幅され、数千倍の威力を発揮した。


ナギはグシオンの腹部を〈斬華〉で貫通させたまま後方に10メートル以上吹き飛ばした。そのままナギはグシオンを民家の壁に縫い付ける。


神剣・〈斬華〉がグシオンの急所を深く抉った。


同時にナギは〈斬華〉を手で捻りこんで動かし、グシオンの内臓を破壊する。


「……ふ……ふふ、えげつないですね~。致命傷を与えても……まだ止めを幾重にも、……くわえるとは……」


グシオンの口から血が溢れ出た。


「……見事、です……」


グシオンの体が小さくなってきた。ナギと同じ程度の身長に戻る。


ナギは油断なくグシオンの腹に突き刺した〈斬華〉を握る。


「……私の負けのようですね……。……最後に名前を教えて頂けませんか?」


ナギは数瞬、迷った。だが、最後だ。名前くらいは言ってやりたい、と思った。


「相葉ナギ」


「相葉……ナギ、見事。まことに……見事、……です……」


グシオンは賞賛しながら思う。


(この少年、……危険すぎる……)


あまりにも危険だ。グシオンの本能が全力で警鐘を鳴らしていた。


相葉ナギの突如のパワーアップ。あれは一体どういうことだ?


あの神力の爆発的な膨張。


圧倒的な戦闘力。まさか、公爵である自分を一方的に打ち負かすとは……。


くわえて、この卓抜した剣技……。


グシオンはナギを見据えた。少女のような柔弱な顔。おそらくはまだ16,17歳ほどだろう。


未だ成長途上にある。これ以上、強くなるとしたら、一体どれほどの存在になる?


(この少年は……相葉ナギは、排除する……)


人間に殺させる。


グシオンの目が狡猾に光った。


「相葉ナギよ。悪いですが、死んでもらいます……」


グシオンの言葉にナギは恐怖し、〈斬華〉を引き抜いて後退しようとした。だがグシオンはナギの手を掴んだ。


「……この、グシオンの奸智を堪能……して下さ……い……」


グシオンは狂笑した。おぞましい笑いがナギの耳朶を打つ。


ふいにグシオンの体が光り、変質した。


ナギは、また巨体化するのかと思った。


だが、予想に反してグシオンはうら若い女性の姿に変わった。


グシオンは8歳前後の美しい少女の姿になった。同時にグシオンは絶命して目を閉じた。


ナギはあまりのことに仰天して固まった。次の刹那、グシオンの奸智の正体を知って戦慄した。


「貴様、何をしている!」


古都ベルンの衛兵が、ナギにむかって叫んだ。


衛兵が笛を吹き鳴らし、仲間を呼ぶ。


あっと言う間に、十数名の衛兵が槍をかざしてナギを包囲した。


「少女をはなせ!」


衛兵が殺気だって、ナギに槍をむける。


「なんていう奴だ。あのような年端のいかない少女を……」


「ケダモノめ!」


衛兵達は義憤にかられてナギを睨む。


衛兵達の目に映るのは、8歳ほどの少女の腹部を刺し、壁に縫い付けているナギの姿だった。


ナギは顔面を蒼白にさせた。


(まずい。セドナを巻き込ませるわけにはいかない!)


セドナの姿を探す。だが、セドナは地面に俯せに倒れていた。グシオンの放った衝撃波で気絶していたのだ。


(良かった……。セドナは無関係だと言い張れる……)


ナギはわずかに安堵した。


ふいにナギの視界が暗くなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『 《食神ケレスニアンの御子》の恩寵スキル

冥王ケレスニアン使者マギス》が、解除されました』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


メニュー画面の声が響く。


ナギは神剣・〈斬華〉をグシオンの腹から引き抜き、鞘にしまった。直後、体から力が消失し、その場に崩れ落ちて、気絶した。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ