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貞操






「ナギ様、服を脱がさせて頂きます」


そういうと俺の毛布をはいで、服を脱がし始めた。


(ちょっと待って!)


俺は声を出そうとしが、筋肉痛で声がでない。


そのままセドナは俺の服を脱がしていく。


(止めて~!)


俺はそう言おうとしたが、うめき声が出るだけだった。


やがて、俺は全裸に剥かれた。


(いや~!)


止めて欲しくて暴れようとしたが体が全く動かない。


「浴室にお運びしますね」


セドナが軽々と全裸の俺をお姫様抱っこする。


俺は浴室に連れ込まれると、体の隅々まで洗いつくされた。


(もう、お婿さんにいけない……)


俺がサメザメと泣いていると、メニュー画面が開いた。


『相葉ナギは、貞操を失った(笑)』


うるせえよ! 人の不幸を笑うんじゃねェ! 


 


◆◇◆◇◆◇




翌朝。目が覚めると地獄のような筋肉痛が綺麗さっぱり消えていた。俺とセドナはすぐに冒険者ギルドに向かった。


受付に行くと受付嬢のエミリアさんが俺とセドナに奥の部屋に来るように即した。

瀟洒な部屋に通されると、エミリアさんは俺とセドナにテーブルの対面に座るように薦めた。

俺とセドナは椅子に座る。


「おめでとうございます。ジャック・オーランタン退治まことにありがとうございました」

エミリアさんが深々と頭を下げた。そして、功績を認めて俺とセドナを冒険者ギルドの正式な組合員にすると言った。


「今まで、正式な組合員ではなかったんですか?」


俺が驚いて言うと、エミリアさんが微笑して頷いた。

「はい。今までは『準・組合員』でした。冒険者の方々全てを簡単に冒険者ギルドの正式な組合員にするのは危険ですのでこのようなシステムを採用しております」


エミリアさんが言うには冒険者は荒くれ者が多く、性情が不安定かつ危険な者も多い。なので、何度か依頼をこなしてもらいその上で正式な組合員にすることにしているそうだ。


なるほど、理に合っている。


「俺とセドナは大丈夫だと認定されたわけですか?」


「はい。バルザックさん達のチーム『至宝の盾』が保証人となって下さいました。あの方達の推薦ならば間違いありません」


エミリアさんが嬉しそうに言う。


そうか、バルザックさん達は俺達の保証になってくれたのか。恩着せがましいことを言わずに黙ってやってくれるなんて良い人達だな……。


「こちらが正式な冒険者ギルドのカードです。これよりアイヴァー・ナギ様とセドナ様は大陸のどの国家においてもその身分を冒険者ギルドが保証致します。なお、道義的に著しく反する行為をした場合、犯罪を犯した場合は即時組合員の身分を剥奪しますのでご注意下さい」


「分かりました」


俺とセドナは銀色に光る冒険者ギルドのカードを受け取った。


「そして、こちらがナギさまとセドナさまの報奨金です」


エミリアさんが、340万クローナを俺に渡してくれた。エミリアさんによるとヘルベティア王国の中級公務員の年収とほぼ同額だそうだ。ジャック・オーランタンを討伐した報償はそれに値するだけの価値があると言ってくれた。


「これからもナギさまとセドナさまのご活躍を心より期待しております」

 

エミリアさんが深々と頭を下げた。エミリアさんの豊かな胸の谷間が服の裾からあらわになる。俺が凝視しているとセドナがむくれた。



◆◇◆◇◆◇




冒険者ギルドの受付のある広間に戻るとバルザックさん達がいて笑顔をむけてきた。


「おう、ナギ、セドナ嬢ちゃん! 冒険者ギルドに正式加盟おめでとさん!」


バルザックがナギの肩を叩く。


「良かったさね。これで晴れて一人前さね」


エリザが微笑する。


「ナギ君、セドナちゃん、おめでとさん~」


ルイズがナギとセドナの手をとってブンブンと上下にふった。


「ありがとう」


「ありがとうございます」


ナギとセドナも微笑を返す。


ふいにバルザックが、グイっとナギの肩に手を回した。


「ところでよォ。知ってるか? ジャック・オー・ランタンは料理するとスゲぇ美味いんだわ」


バルザックが、ソワソワしながら言う。


「料理を作れってことですね?」


ナギが苦笑する


「その通り!」


バルザックが、ごつい顔を綻ばせる。


「了解です。すぐに作りますよ。セドナ、市場に買い物に行くぞ」


「はい!」


「バルザックさん達は、冒険者ギルドの厨房を借りれるように手配を頼みます」


「もうやってあるさ」


エリザがウィンクした。


ナギとセドナは、苦笑すると市場にむかった。


「さて、セドナ。今回作るのは、


1,カボチャのスープ


2,カボチャのグラタン


3,カボチャのコロッケ


の以上、三品だ」


「はい!」


セドナが、銀鈴の声を出す。


「今回は、最初から大量に作る。多分売れると思う。考えると冒険者ギルドのレストランで販売するのは利点が多い。

第一に、冒険者は健啖家が多い。簡単に言えば、男女問わず大食らいが多いから、料理を売りやすい。

第二、常時、人の出入りが多いので、お客さんを呼び込まなくても良い。

第三、大きな声では言えないが、冒険者ギルドのレストランの食事は、マズイ。よって、俺達が作る料理なら、確実に勝てる」


「はい、ナギ様の料理は世界一美味しいですから」


セドナが銀の鈴を振るような美声を発する。


「……もう一回言って」


ナギが要求した。


「ナギ様の料理は世界一美味しいです」


「……もう一回言って?」


ナギは胸をそらした。セドナが素直に繰り返す。


「ナギ様の料理は世界一美味しいです」


「……もう一回言って?」


「ナギ様の料理は世界一美味しいです」


「いや~、照れるなァ……」


ナギは鼻息荒く、腕を組んだ。


(褒められるのって、嬉しいもんだな……)


ナギがご満悦な気分に浸っているとメニュー画面が開いた。


『幼女に褒めることを強制している変態がいます。マジ、キモイ……』


心の底から、ごめんなさい。以後気をつけます。








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