メニュー画面の進化
ナギとセドナが、豪邸の外に出ると、大精霊レイヴィア、勇者エヴァンゼリン、槍聖クラウディア、大魔導師アンリエッタ、も丁度、外に出て落ち合った。
互いに、おはよう、と挨拶を交わしていると、女神ケレスが現れた。
「皆さん、よく眠れたようですね~。心身ともに気力に溢れているのが分かりますよ~。魔力も向上していますし、レベルアップしたようですね~」
女神ケレスが、微笑むと全員が頭を垂れた。
「ケレス様のお陰です」
ナギが恭しく答える。
「女神ケレス様のご威光により、我ら一同、気力、体力ともに充溢し、レベルアップする事ができました。厚く御礼申し上げます」
槍聖クラウディアが、スラスラと貴族的な答弁を行った。
槍聖クラウディアの言葉にナギ達は同時に頷く。
神界に滞在し、女神ケレスの神力を分け与えて貰った結果、ナギ達は一挙にレベルアップしていた。
ナギは女神ケレスに直に稽古して貰ったから尚更、強さが飛躍的に向上している。
また、ナギと《眷臣の盟約》で、契約をしているセドナ、大精霊レイヴィア、勇者エヴァンゼリン、槍聖クラウディア、大魔導師アンリエッタは、その恩恵により、レベルアップしている。
つまり、相乗効果でレベルアップを果たせたのだ。
「本当はもっと長くこの神界にいて頂き、皆さんのレベルアップを促進したいのですが、神律により、それが叶いません。お許し下さい~」
「とんでもありません。女神ケレス様の過分な温情、ワシは感謝のしようもない。恐懼するのみじゃ」
大精霊レイヴィアが、右手を胸にあてて謝辞をのべる。
女神ケレスは一つ頷く。
「ナギ様、貴方に今ひとつプレゼントがあります~」
黄金の瞳と翡翠色の瞳の女神が、ナギに顔をむける。
「プレゼントですか?」
「はい。素敵なプレゼントですよ~」
女神ケレスが、ナギに近づいた。
(なんだろう?)
とナギは思った。
俺にプレゼントか。
女神ケレス様のプレゼントは神剣〈骨斬り〉だけじゃなかったのか?
神剣〈骨斬り〉だけでも、レア過ぎるお宝なのに、まだくれるのか。
うわっ。興奮してきた。
期待度がマックスだぜ。
女神ケレス様が、俺に更に近づく。
そして翡翠色の瞳の女神は、俺の胸に右手をそっとあてた。
おお、女神ケレス様の柔らかい右手の感触が、俺の胸に!
ついでに、女の子の甘い匂いがする。
うん。脳味噌に直撃。
心臓が高鳴る。
女神ケレス様の美しい顔が、俺の20センチ先にある。
俺はついつい女神ケレス様の美貌に見とれた。
同時に、いったいどんな素晴らしいプレゼントなのかを期待して、全身が昂揚する。ワクワクが止まらない!
次の刹那、女神ケレス様の右手が光った。
柔らかい白い光とともに、俺の胸から白い光球が飛び出た。
美しい光球はサッカーボールほどの大きさで神々しかった。
光球はホタルのように飛んだ。
「おお」
「……これは」
勇者エヴァンゼリンと大魔導師アンリエッタが、光球に好奇心をそそられて、見つめる。
やがて、白い光球は俺たちの前で宙空で停止した。
そして、姿を変えだした。
白い光球は、人の姿を取り始め、やがて、美しい少女の姿へと変貌した。
「おおっ」
「女の子?」
エヴァンゼリンとセドナが、驚く。
もちろん、声に出さずとも俺も驚いて注視する。
光球から変貌した少女は、立ち上がりナギたちに顔をむけた。
「可愛い……」
と、セドナが思わず呟いた。
確かに可愛い。
少女は8歳ほどの外見をしていた。
黄金の長い髪をツインテールにし、綺麗に輝いている。
瞳は紫色で、大きくて愛らしい。
青を基調とした服を着ており、紫色の胸当てをした。
下半身はミニスカートで、やたらとタケが短く下着がすぐに見えそうだ。
スラリとした細長い足には、膝まである縞模様のニーハイソックスをつけており、愛らしい外見によく似合っている。
顔立ちは端麗で幼く、そして小動物のように愛嬌があり、可愛らしい。
俺たちは数瞬、あっけに取られた。
俺が全員を代弁して女神ケレス様に問う。
「女神ケレス様、このお嬢さんは?」
「ナギ様のメニュー画面ですよ~」
「メニュー画面?」
俺は素っ頓狂な声を上げた。
あまりの驚きに目が丸くなる。
俺は、金髪ツインテールの幼女に視線を投じた。
これがメニュー画面だと?
「メニュー画面と言いますと……、ナギ様の魂に宿っていたという。あのメニュー画面さんですか?」
セドナが、黄金の瞳を瞬かせる。
「はい。ナギ様のレベルアップに伴い。メニュー画面もレベルアップして進化したのですよ~。これからの冒険にメニュー画面はきっと、お役にたつ筈です~」
女神ケレスが、解説するとメニュー画面が、俺の方を見た。
「ナギ様、どうぞ、これからも宜しくお願い申し上げます」
金髪ツインテールの幼女が、俺にペコリと頭を下げる。
その仕草が何とも言えずに愛らしい。
俺もそうだが、セドナ、エヴァンゼリン、槍聖クラウディア、大魔導師アンリエッタ、大精霊レイヴィア様も、好感を持った。
8歳くらいの幼女の外見で、声も仕草も愛らしいのだ。
特に女性に好感を持たれる感じの少女だ。
セドナなんかは、もうメロメロな感じだ。保護欲を刺激する幼女だ。
「ナギ様、早速ですが、お願いがあります。聞いて頂けますか?」
メニュー画面が、上目遣いで俺に懇願する。
うおっ、可愛い。なんか子猫みたいだ。
あのクソ生意気なメニュー画面とは思えない。
なんだか、護ってやりたくなる。
しかし、メニュー画面を人間の姿に進化させるとは、さすが女神ケレス様。やはり、女神の力は凄い。
俺はメニュー画面に微笑をむけ、
「ああ、俺にできる事なら言ってくれ」
と優しく言った。
「私に名前をつけて下さい」
メニュー画面が、俺に可愛い声で言う。
「名前をつける?」
俺は少し首を傾げる。なぜ、俺が名前をつけるのだ?




