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骨斬り

「おやおや、若いですね~。健全な証拠です」


 女神ケレスが、艶麗な微笑を浮かべる。


 ナギは赤くなり、助けを求めるように後方に振り返った。


 勇者エヴァンゼリンや、大精霊レイヴィアに助けて貰おうとしたのだ。


 だが、彼女達の入り込んだ筈の豪邸がいつの間にか消えていた。


「豪邸が消えている?」


 ナギが茫然と呟く。


「勇者エヴァンゼリン様たちは、別の空間に移動して頂きました。ナギさんとじっくりと話し合いたかったですからね~」


 黄金の髪と翡翠色の瞳をした女神はクスクスと笑う。


「な、何を話し合うのですか?」


 ナギが、鼻先が触れ合う程の距離にいる女神ケレス様に問う。


 女神ケレスは、ふいに翡翠色の瞳に真剣な光を宿した。


「『武道家たる者、如何なる時も精神の乱れがあってはならん。乱れ起こらん時は隙ができる。隙が出来れば死が迫る』。お爺様に教わった筈でしょう?」


 女神ケレスの言葉にナギは、


「え?」


 と、驚いた顔をする。


 次の刹那、ナギは女神ケレスに右腕の関節を取られて、投げ飛ばされていた。


(しまった!)


 ナギは宙空に飛ばされたまま思う。


 油断した!


 まさか、俺が爺ちゃんの教えを忘れるとは!


 しかし、何故、ケレス様が、爺ちゃんの教えを知っている?


 そうか、爺ちゃんと女神ケレス様は親交があったのだ!


 数瞬の間に高速でナギの頭が回転して思考する。


 ナギは身体を捻ると新体操の選手のように見事に着地した。


 無事に着地したナギだが、いつの間にかセドナは女神ケレスに奪われていた。


 女神ケレスは、セドナをお姫様抱っこしたままナギに顔をむける。


「おやおや、大切なお姫様を奪われてしまいましたね~。『はい。セドナは俺が守ります』と格好良く、言っていたのに~」


女神ケレスが、首を優雅にふる。

 女神ケレスの徴発に、ナギは羞恥で顔を赤らめた。


「……いったい、何をする御積もりですか?」


 ナギが、警戒して問う。


「色々と教えて差し上げようと思いまして~」


 女神ケレスは、神力の念動力でセドナを宙空高くに飛翔させた。


 セドナが、ベッドで眠ったような姿勢のまま、仰向けに上昇し、やがて、高度20メートルほどの高さで固定された。


 そして、セドナの周りを女神ケレスの張り巡らした球形の魔法障壁が取り囲む。


「さて、これでセドナ様は私の結界で護られました。勇者エヴァンゼリン様たちは別の空間にいますし、どれだけ暴れても問題ありませんよ~~」


「暴れるとは?」


 ナギが、警戒して尋ねる。


「まあ、軽い稽古をしましょうという事ですよ~。私とのデートとでも思って下さい」


 女神ケレスが、右手から剣を出現させた。


 美しい日本刀が、女神ケレスの右手に握られた。


 腰反りが高く優美な日本刀だった。


 余計な意匠も飾りもない。


ナギの顔色が変わった。


 祖父相葉円心に日本刀の鑑定を幼少期をより受けている。


 それ故に一目で分かった。


「まさか、安綱やすつな?」


 ナギが驚愕の光を黒瞳に浮かべる。


「そうですよ~。日本屈指の刀工・安綱さんの作り上げた刀です。実戦のみを追求して、特別にあつらえた戦刀です~。綺麗でしょう~?」


 安綱は、大原安綱とも言う。


 平安時代中期の刀工で、日本史上屈指の刀鍛冶の一人だ。


 その刀は国宝級であり、人類の宝と言っても良い。


「私は、この刀を私は『骨斬り』と呼んでいます。簡単に人間の骨を斬れるからです。お豆腐よりも簡単に人間を斬るのですよ~。凄いでしょ?」


 女神ケレスが、無邪気に笑う。




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