表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/198

情報

エリザベート・バートリの肉体が、灰となった。そして、風にふかれて霧散する。

レイヴィアは、風に流れるエリザベート・バートリーの遺灰を掌で掴み、握りしめた。

 そして、エリザベート・バートリーの遺灰から、記憶を読み取り情報を収集する。

 やがて、レイヴィアは掌を開けて灰を宙に放った。

 レイヴィアの美貌に、舌打ち未満の表情が浮かぶ。


「レイヴィア様、どうしました?」


ナギが問う。


「……概ね予想通りじゃがのぉ。面倒な事態になりおった」

 

レイヴィアの桜色の瞳に憂悶の光がよぎる。


「面倒とは?」

 

クラウディアが、尋ねた。


「この黒曜宮マグレア・クロスの陣容が分かった。黒曜宮マグレア・クロスを破壊する方法もな」

 

レイヴィアは、ナギ達に身体ごと向き合った。


「今から説明する。まあ、ワシも全てを把握したわけではないがのぉ」

 

そう言って、レイヴィアは説明を始めた。

 魔神軍の要塞である、この黒曜宮マグレア・クロスには、無数の敵がいる。

 罪劫王ディアナ=モルスというリッチーが、召喚した地球の人間たちだ。

 

地球において、犯罪者、英雄、偉人など希有な才能をもつ『能力者』たちが、罪劫王ディアナ=モルスによって召喚され、契約を結んで、罪劫王ディアナ=モルスの配下となっている。

 黒曜宮マグレア・クロスを破壊するには、能力者たちを全て討伐しなくてはならない。

 ちなみにこの黒曜宮マグレア・クロスも、能力者の能力によって作り上げられたものだ。


「恐らく罪劫王ディアナ=モルスは黒曜宮マグレア・クロスの中心部にいるじゃろうの」


レイヴィアは形のいい顎をなでた。


「まあ、そうでしょうね。城塞戦の定石だ。守将が一番奥にいるのは当然でしょう」

 

ナギが、神剣〈斬華〉を握りながら言う。


「レイヴィア様、敵の能力者たちの情報はありますか?」

 

セドナが問う。


「ある程度はのぉ。今、全員に共有するわい」

 

レイヴィアが、仲間達に念話をおくり、情報を直接、脳に送った。

 ナギたちの脳にレイヴィアからの情報が届く。


「随分と多いですね」

 

勇者エヴァンゼリンが、肩をすくめる。

 しかも、全員が地球出身の能力者だ。

 地球から異世界にきた人間は『来訪者』と呼ばれ、強大な力を持っている者が多い。

 しかも、全員が、異能を所有しているとなると手強い。


「いっそ、一端、黒曜宮マグレア・クロスから出て、黒曜宮マグレア・クロスを外側から破壊しましょうか?」

 

ナギが問う。


「……それは無理」

 

大魔導師アンリエッタが、ナギの提案を退けた。


「……こういう大規模術式による建造物は、外部からの攻撃に非常に強い。いくらナギでも破壊は難しい……。それに、外側から破壊すると大爆発を起こす場合が多い。黒曜宮マグレア・クロスの規模から考えて、王都アリアドネまで吹き飛びかねない……」


「ああ、なるほどね。確かに俺が、罪劫王ディアナ=モルスならそうするな」

「……第一、黒曜宮マグレア・クロスを外側から破壊した場合、罪劫王ディアナ=モルスを取り逃がす可能性が高い。一人一人、討滅していくしかない」


「まあ、確かに逃げられてはどうしようもないな」

 

クラウディアが、頷く。


「害虫の巣に入った気分だね」

 

勇者エヴァンゼリンが、苦笑した。

 次の刹那、空間が歪みだした。

 全員がすぐさま気付き、緊張が走る。


「空間が全域が、歪みだしておる」

 

レイヴィアが桜色の瞳を細めた。


「俺たちを強制転移させるつもりか」


ナギは神剣〈斬華〉の柄を握った。


「次の敵の部屋に、案内してくれるようだね」 

勇者エヴァンゼリンが、臨戦態勢を取る。

奇怪な音が響いた。空間の歪みが拡大する。 

 次の瞬間、ナギたちの身体が、強制転移させられた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ