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助けられた日

少年は未来を与えられます。

他の誰でもない彼の未来はどうなるのでしょうか。



「あ、だい……じょうぶ」


そばに来たその女性はまだあどけなさを残す程若く、少年とそれほど年齢は

離れていないように見えた。

透き通るように蒼い瞳のその少女はまっすぐに少年を見据えにっこりと微笑んだ。


「怪我、してないよね?」


心配そうに顔を覗き込んできた少女は問いかけてくる。

少年は酷い空腹からか、とても元気そうに振舞う事は出来なかったが精一杯の笑顔で答えた。



「うん」



「そっか、危なかったね」


少女はそう言うとほっとした表情で少年の頭を優しく撫でた。



ああ、何時ぶりだろう。



母親の様に優しく温かいその手は少年の荒んだ心を溶かしていった。


「お、もしかしてこの町の生き残りってこの子しかいない?」


先程斬撃でワーウルフを斬り伏せたと思われる女性が部屋へと入ってくる。



――チンッ



抜いていた刀を鞘へと納めると、この女性もまた笑顔で少年へと語りかける。


「よっぽど辛い目にあったんだな」

「だけど俺たちが来たからにはもう大丈夫だぞ?」

「ガハハハハハ」


赤髪赤眼長髪のこの国のものでは無い出で立ちの女性は、荒々しくも屈託のない笑顔で笑ってみせた。

腰にはとても長い剣のような物を携えていた。


「あれ?マジ一人だけ?」


続いてひょっこりと顔を覗かせた少女は軽い口調で驚いてみせる。


「やっほー、君お名前なんて言うの?大丈夫?ホント大丈夫?」

「……ぼ、ぼくはアレス」



それ以上は声にならなかった。



「うん、そっか。アレス君、タイヘンだったね」

「あ、私はティアラって言うんだ、ヨロシクね!」


兎耳の帽子を被ったその少女はとても長い弓を持っており、腰には無数の様々な形の

矢の入った矢筒と短剣をたずさえていた。

そして金色の短髪に、茶色の瞳、見るからに俊敏そうな身なりをしていた。

最初に入ってきた銀髪の少女は少し肩を落としつつ他の二人に目をやる。


「うん、収穫はあったし撤収しますか」


そして再度アレスの方を振り返り、手を差し伸べる


「アレス君、立てる?」


少年には最早もはや差し出された手を掴む体力すら残っていなかった。

無言で首を振って見せるアレス。


「あ~、ダメ?」

「んじゃしゃーない、俺が抱いてってやるよ」


赤髪の少女はそういって銀髪の少女の前に出ると、まるで軽いかばんでも

持ち上げるかの様にひょいとアレスを抱きかかえた。



ッなっ!?



突然の事に自分の状況もわからず赤面するアレス。


「この子、力だけは強いから安心して?」

「力だけってなんだよ?俺は手先だって器用なんだぞ?」

「はいはい、鍵の掛かった門をナチュラルに開ける位には器用ですよね」

「それバカにしてないか?」

「し て ま せ ん よ」



ああ……なんだろう、この心地よさは。

……暖かくて凄く安心する。

自然と涙があふれれてきた。



「……ん?あれ?アレスどうした!?どこか痛いのか!?」


心配そうに覗き込んでくる少女へ無言でブンブンと首を振るアレス。


「ん~、安心したんじゃないかな?」

「そ、そうか……なら良いんだけどな」

「響、胸が筋肉で固いから痛いんじゃないの?ムフフ」

「ムキー、固いってなんだよ!俺だって気にしてるんだぞ!」

「あはは、冗談ですよ」


からからと談笑しながら、魔物が闊歩かっぽしていた筈の村を離れていく一行。


この人達は、なんでこんな辺鄙へんぴな農村に来たんだろう。

そんな疑問を抱きつつも、優しい暖かさに眠りゆくのだった。

3人のキャラ紹介はこんな感じです。

随時増やしていく予定ですがとりあえず3人という事で!

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