第14話 抜剣
リーメイ「ラ、ラン 私のことはいいから逃げて…!」
ラン「はぁ…はぁ…ふふ…なんだ リーメイ もしかして心配してくれてるのか? ありがとね♪」
魔族「なぜそれをかばう? それは見た目こそ人の形をしているが人間ではないんだぞ?
貴様は魔族に部下を殺されている…魔族を憎んではいないのか?」
魔族はリーメイを的にしてはいるが、ランの行動を理解できないでいて。
ラン「リーメイのことを あれ やら それ やらって…あなた、むかつくわね。」
魔族「何…?」
ラン「資料でリーメイの過去を知ってしまったけど、きっと私にはわからない辛さとかがあったんだろう…。
もしかしたら、自分の父親のせいで多くの人や私の…あの子が死んじゃったとか責任を感じてるかもしれない…。
それはわかる、だけどリーメイが化け物っていうのだけは納得がいかないわね。」
リーメイ「…えっ…。」
ランは魔族の攻撃を薙ぎ払い、リーメイをかばうように攻撃を自身の身体で受けながら 言葉を紡いでいく。
ラン「リーメイは表情からいろいろと勘違いされそうだけど、一緒に生活してると 私のこと気遣ってくれるし 優しいし いい子だよ。
さっきもリーメイは自分のことより私のことを心配してくれてた、つまりはそういうこと。
リーメイはリーメイ…そこに親がどうとか、魔族の血を引いてるとか関係ない。」
リーメイ「…っ…ラ…ン…。」
ラン「それに…あの子が死んじゃったのは弱かった私のせい…私が守れなかったのが全部悪いの…だからそこに魔族とか関係ないわ。」
魔族「くっ…理解できない! いい加減くたばりやがれ この亡者が!」
ラン「亡者かそうね…あの子が死んじゃってからは私 生きてるとは言えなかったかな…ぅ…ぐ…でもまだ死ねないわね、あなたを倒すまでは…! っ…ごふ…ぐぅ……。」
リーメイを庇い魔力弾を受け続けていたため、ランは口から血を吐いて膝をつき。
魔族はとどめの大きな魔力弾を放ち、それが迫るなか ランは瞳を閉じて集中し…。
ラン「ふぅ…聖剣 抜剣ーー。」
魔族「なっーーぐっ!?」
再び瞳を開いたランが抜剣と口にすると、背中に赤色に光る剣の紋章が発現して。
すると魔族が放った魔力弾がランたちに当たる直前で消え、その消えた魔力弾は逆に魔族の目の前に現れ、それが魔族に直撃して。
ラン「っ…これで…ぐっ…終わりよ…。」
再び剣の紋章が輝くと 今度はランが消え…
消えたランは一瞬にして魔族の目の前にいて、魔族の身体に刀を突き刺して。
魔族「ば、ばか…な…抜剣…だと…!? 従騎士のサポートなしで…聖剣を抜くなど…死ぬ気か…!? 理解でき…ん…何がそこまで貴様を突き動かして…!」
ラン「っ…くっ…そんなの決まってるじゃない…リーメイよ…。」
ラン「リーメイと過ごしていて あの子を思い出し辛かった時もある…けどリーメイと過ごす日々は…ただ死に場所を求めて彷徨ってた私にとってあたたかいものだった…。」
ラン「ふ…ぐっ…だから…そんな時間をくれたリーメイのためなら…大戦で血に塗れた私なんかの命を使ってもいいって思ったのよ…。
まあ…あなたには理解できないかもしれない…けどっ! っ…はぁあああっ!!」
魔族「ば…かな…我がそんなものにぃいいいいいっ!!」
ランは突き刺した刀を上へと振り上げ、魔族を真っ二つに両断して……。