第10話 リーメイ 過去を思い返す
二人の会話を聞いたのち、リーメイはベットの上に座っていて。
リーメイ「……最初はランを利用しようとしてた…。
…あいつ…父とも呼びたくたい男の死を見届けることが、人外である私の唯一の生きる意味だから…。」
リーメイは自分の身に起きたことを思い出していく……。
人魔大戦が始まる前、私が住んでいたところは各地へ物資を届けるための経由に最適な街だった。
そこに住んでいたお母さんは外からやってきた父…あいつと知り合い 結婚し 私は生まれた。
それが全ての始まりで間違いだった…。
あいつは魔族のスパイで戦争のために街へやってきて、数年も密かに潜んでいたのだ。
そして人と魔族の戦いが始まると、まず手始めにお母さんを殺し、その後 街に魔族を引き入れて攻め落した。
あいつに何故 お母さんと結婚し子供まで作ったのか聞くと、あいつは戦争が起こるまでの暇つぶしだと答え、お母さんは取り入るのが簡単だったから選んだと答えた。
私はあいつの気まぐれで殺されなかった。
あえて生かし、苦しみと絶望を与える方が面白そうだからと答え、あいつにとって私はただの玩具だったのだ。
私はそうして生き延びた。
そして、待ってたのはあいつの言う通り地獄の日々だった。
生き延びた街の人たちからはお前ら母娘のせいだ や、私を人ではない穢れた血を持つ化け物と呼び、言葉や殴る 蹴るなどといったものしてきた。
最終的に、私は街の人たちから奴隷商人へと売られたのだ。
あいつは大戦を生き残ったらしい。
私やお母さんを苦しめた あいつのことが殺してやりたいくらい憎い。
だが同時にあいつの存在は私の生きる希望ともなっていた。
あいつが死に、私がそれを知る。
それが唯一 私がこの苦しみから解放されるものであり、化け物で穢れた私にとっての生きる意味だからだ。
リーメイ「……あいつの死だけが私の望み…それまでは死ねなかったし、それ以外どうでもよかった…もうすぐそれが叶う…はずなのに…。」
今までリーメイは、父である魔族に対しての憎悪しか感情がなかった。
しかし先ほどのランとサクヤの話を聞き、今ではもう一つの感情があって。
リーメイ「ランが死ぬ…それを聞いたら胸が変な感じする…なんだろこれ…わからない…。
…それにもう一つわからないことも……。」
リーメイは自分の胸に手を当てて よくわからない苦しみに戸惑っていて。
それと同時にリーメイは、ランとサクヤの会話でもう一つ気になることがあって……。