2:吸血鬼?
通り吸血魔こと、この目の前の子供。
吸血魔だとわかったのは、何も口の周りが血で赤くなっているからではない。本人が言ったのだ
「血を吸っていた」と
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「お前、口の周り」
まだ少しダルくて動けないオレはそう聞いた
赤くなっているのが血じゃないことを思いたいからでもあった
「ん?」
子供は口の周りを腕で拭くと、口の周りの赤が拭えた
「血・・・・だね?」
やっぱりか
「キミの血を吸ってる際に、ピューって飛び出したから」
「は?」
「キミは普通の人と何かが違うんだ!だから頼む!教えてくれよ。どうしてキミは普通の人より血を吸っても平気なの?」
目の前で手を合わせて頼む子供。その姿はやはりただの子供だった。
「それは・・・・オレが、病気だから」
「病気?」
「血液量が多い病気なんだ。いつ死んでもおかしくない。それなのに苦痛の中毎日を生きてるんだ」
こんなこと言っても仕方ないし、意味がないだろうがこの時のオレは、このまま血を沢山吸ってもらって死にたかったのかもしれないと思う・・・・
「死ぬことが怖くないの?」
「生きて苦痛を何年も味わってんだ。生地獄の今を生きるよりはマシだと思ってる」
「・・・・・・・・したいこととかないの?やり残したこととか」
「わかんねーよ。苦痛で毎日を生きてた人生なんだ。何が楽しいのかも全部」
「そっか・・・・」
「だから今すぐ血を吸って殺してくれ!」
「はぁッ!?」
子供が大声をだした。当たり前だろうが、いきなり殺してくれなんて誰でも驚くだろう
「こっちとしては殺す気ないんだけど!?」
「吸血鬼ならかまわずがぶっと!」
「吸血鬼じゃないよ!!確かに血は吸うけど、あんな弱点だらけの存在と一緒にするな!!」
「えっ?」
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オレの興奮がおさまってから話をしようとした時だった。子供はまた、オレの首にいきなり噛みつき血を吸った。
「おいっ!」
「仕方ないだろ。キミが興奮するから血の巡りがはやくなったんだから」
チゥー チゥー チゥー チゥー
血を吸われてる感じがなんとも言いがたい。よくある吸血鬼の話だと、血を吸われてる感覚は快楽にも似たものだとか、痛みだけだとか色々いわれてるけど、実際は違う感じだと思った。
痛みはないが、吸われてる感じが言い表すことができないほど不思議な感じだった
「ぷはっ。よし!話をしようか」
子供が吸血を終え、話を始め
子供曰、吸血鬼の弱点とされるもの
1.日光
2.木の杭で心臓を刺す
3.十字架
4.ニンニク
5.流水
6.銀の武器
7.鏡に映らない
など、一般的に知られているこれらに、この子供は当てはまらず、遺伝因子の中に吸血鬼の因子があり、吸血するというのだけが残っているだけ。
鏡には移るし、日光浴びても大丈夫だが、昼間は人が多いので、吸血すると面倒ごとになるので夜に襲っていた。殺す気は全くないから、貧血で倒れる程度の吸血しかしていない。
後、十字架は全くもって効かない。人間に比べれば頑丈だが、普通に殺されれば死ぬ
違う世界からきているなど、色々話してくれた。
勿論、驚いたし何かの遊びかとも思えるが、実際に吸血されてるのでなんともいえない
「吸血鬼じゃないのか?」
「だーかーらー、違うって!!血を吸ってるだけで吸血鬼扱いなら、蚊とかどうなるんだよ!」
「・・・・」
もはや、それは虫であってお前は人(?)だろだとか、お前は虫扱いでもいいのかとか、そんな色々言いたいが言わないでおこう。
「それじゃあ、一応そっちが百歩譲って吸血鬼じゃないとしよう」
「実際違うって!」
「お前はここに何しに来たんだ」
「ん?これといった目的はないけど・・・・」
「そうなのか?」
だいたい宇宙人の場合は、地球侵略が多いんだが・・・・
「あえていえば、運命を元に戻すのが仕事」
「・・・・why?」
運命を元に戻すのが仕事?
・・・・・・・・・・・・間
「ソウカガンバレヨ」
中二病だったかと呟きながら、子供から離れるが
「あ、今中二病とか思っただろ!!」
中二病じゃねーよ!とか聞こえるが、無視して家へと帰宅するべく、歩きだした
そして、帰宅した後に思ってしまった
「あの子供、補導されそうだな」
見た目が小学生くらいだったこともあり、警察に補導されるかもしれないと思ってしまったオレがいた