15:信念
「は?」
「悠ぅ~!!」
さっきまで、驚愕と青ざめた顔だったゆりすが、泣きながらいつの間にか抱きついている
「悠、気持ち悪いとかない?意識大丈夫?記憶は?」
「落ちつけゆりす。何が、」
「おかえり。只今の時間、午前4時」
「は?」
オレ的には、意味がわからなかった。瞬き程度のほんの一瞬で、なぜ4時になった?
さっきまでは午前0時半過ぎだったのに・・・・
「お前の感覚は瞬き程度だろうが、俺がお前に能力を発動してから、お前が振り向くという時間を崩したから」
「悠が消えてたの」
訳わかんねぇ
「言っただろ『理解しろ』と。こう言った現象は、説明が出来ない。だからこそ、理解しようとするのではなく、その言葉を何となく感じて理解しろ」
つまり、説明すること事態がわからないからってことか・・・・
「悠?」
「大丈夫。気持ち悪いとか何にもないよ」
「本当か?」
「本当・・・・って、何で近づいて!」
「いただきます」
カプッ
ちぅー ちぅー ちぅー
「アンタは知らねぇーだろうが、時間を崩してる途中でアンタの場合、病気の症状かいきなりくる確率が高かったんだよ。一応、アンタの体内の病気は時間を遅らせてるから、大丈夫だと言ってはいたんだが、見ての通り心配してたんだよ」
なんて危険なことをオレにするんだ
「そのままくたばっても、こっちとしては有り難いんだけどな(ぼそっ)」
カチン・・・・
コイツ!本当にムカツク。こう言ったやつ、昔小中高と学校にいたけど
「テメェ・・・・んでそんな」
「人間や違う世界の住人は、俺達を殺したりする。化物だと罵る奴。助けても裏切られる」
「・・・・・・・・」
「人体実験されたやつ、見世物のように殺されたやつ、生き肝を食われかけたやつ」
エシェが言う言葉は、本当なんだろう。ゆりすも、エシェの言葉を聞いて身体が震えている。多分、怯えているんだろう。
きっと、ゆりすもそういった目に何度もあったりしたこともあるんだろう。だから、ゆりすと3回目に会ったあの時、お婆さんを酷い目にあわせようとした親子を襲ったのだろう
『 じゃあ、キミは黙って見過ごせって言うの!!悪いこと何もしてない人が、悪いとかふざけんな!!冤罪とか・・・・そんなの許せるかよ・・・・』
あの時の悲しそうな声で言ったゆりすは、きっと何度も同じように否、それよりも大変な目にあったのだ
だから、許せなかったのだろう。だからと言ってオレは、ゆりすを止めたことを後悔はしていない。
だが、エシェから聞くコイツらは・・・・・・・・オレの常識では、理解できないほど、最悪な出来事ばかりだったのだろう
「お前にはわかるか?他と違うだけで殺されかける気持ちが」
ぷはっ
「エシェ!もう悠には聞かせないで!悠はそんなことしない!!絶対に「絶対なんてない」ッ!!どうして・・・・」
「忘れるなユリスクリムシェン。俺達が何なのかを・・・・」
エシェの気持ちは痛いほど、仲間思いの言葉なんだろう。そして、ゆりすは信じてるんだろう
だから、こんな風にいがみ合うのかもしれない。お互いに譲れぬ信念をもっているから・・・・