12:新たな厄介事
「ゆりすッ!!」
「あ」「げっ、」
ゆりすがいるであろう男子トイレには、ゆりすの他にもう一人、見知らぬ少年がいた。
だが、それだけならまだしも、見知らぬ少年の手には短い小刀のようなものがあり、その小刀はゆりすを刺している
「何して・・・・」
「あぁ~。見つかったよユリスクリムシェン」
少年はゆりすの名前を呟いた。それは衝撃的でもあったが、それより衝撃的だったのが
「いただきます」
カプッ!
ちぅー ちぅー ちぅー ちぅー ちぅー
身体に小刀が突き刺さったまま、何事もなかったかの様にオレの血を吸うゆりすに、驚いてしまった
現在、頭の中はパニックをおこしていた
「ゆり・・・・す?」
「あぁー。血の匂いに当てられてるよ」
少年の言葉に我にかえり、ゆりすを刺した少年を睨む
「何?その生意気な目?潰されたいの?くり貫かれたいの?」
「エシェ!」
「冗談だよ。ユリスクリムシェン」
エシェと呼ばれた少年の言葉に反応したゆりすによって、吸っていた場所が動いたらしく、痛みが襲ってきた
「ッ!!」
「ごめ、悠ごめんなさい!」
「あぁー。だからあれほど、こっちの相手をするなら気配でやれって言ってるだろ?いつになったら覚えるの?だからアホなんだよ」
「・・・・」
ちぅー ちぅー ちぅー
「はじめまして。ユリスクリムシェンの知り合いのエシェットソルノ」
ぷはぁ、
「親友だろ!」
「・・・・・・・・」
なんだこのいかにも、迷惑そうな雰囲気を醸し出す少年。本当に嫌そうな顔をしているし、面倒なことをこれ以上するなって、雰囲気に変わっているし・・・・
「ユリスクリムシェン」
「なんだエシェ?」
エシェと呼ばれる少年は、ゆりすの頬をいきなり横に伸ばした。みょーーーーんと伸びる頬。痛がるゆりす、何か怒っている少年
「いひゃい、いひゃい!」
「ユリスクリムシェン・・・・・・・・。俺はお前の同期であるが、親友だと思ったことはない」
「ひ、ひよいよ!」
「ゆりす?」
「いつまでも人の武器を身体にひっつけてんな!」
遠慮なく、武器を抜き取る少年。しかし、不思議なことに、ゆりすの身体からは血も傷もない
「どうなってんだよ」
「「見てのまんまだ」」
「わかるかッ!!」
仲が良いのか悪いのかわからない
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「つまり、ゆりすが前に言ってた【私は隷属ペットです】とかやった親友・・・・なんだよな?」
帰宅して早々、尋問したら、スラスラと全部答えてくれる
「親友ってのは違う」
「そうなのか?」
親友を否定されてはいるが・・・・
「初任務の際に、とある奴に言われた」
「仲いいなとか」
「喧嘩くらい友達どうしでもするとか」
「それだけ長いこと一緒にいられるなら友達だろ?とか」
「友達じゃなくて、親友かとか」
「親友じゃないなら、あんなに助けたりしねぇーよとか」
「はっきり言って、ソイツのせいで、このアホがもっとアホになった」
「アホじゃねぇーよ!!」
・・・・・・・・・・・・
「つまり、お前たちの行動が友達みたく見えたからってことか?」
「そうだよ!」「そうだ」
なんとも言えねぇー・・・・・・・・
「御愁傷様」
とだけ呟くと、エシェと呼ばれた少年だけが、滅茶苦茶睨んできた。そして一言
「眼科行け」
「何でだよ!」