10:襲撃(?)でも眠い
「だから、あれほど来るなって言っただろうが!!」
大声をあげて目の前の子供に怒っても、どこ吹く風
「だって、血の匂いがしたんだもん」
「お前の耳は飾りか!?」
「失礼な!!ちゃんと機能してるぞ!」
「じゃあ、なんで学校に来たんだ!」
「血を吸うためだけど?」
ゆりすが、学校に忍び込むのを止めてくれない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ことの発端はわかっている。オレと暮らしているゆりすが学校に忍び込んでは吸血行為をしている。ただそれだけだった。
前からよくあったことだったが、この時期はクリスマスやら大晦日などの行事が瞬く間に始まる忙しい時期であり、学校でも毎年この時期には、冬一番のイベントをやることになっている日が存在する
それにより、色んな学部でもてんやわんやと慌ただしく動きまわっている
だからこそ、見つかれば大変なことになりそうなので、絶対にくるなと念押ししているのにも関わらずやってくる
そして、人がいないところで毎回吸血をする
ちぅー ちぅー ちぅー
「聞けよな・・・・」
吸血中に喋るのは危険だと言われたことがあったが、どのように危険なのかは知らない。
吸血されるのはありがたいが、いきなりどこかに連れていかれて、閉じ込めてから吸血するのは止めてほしい。見目が子供なのに、大人を引っ張ることができるほどの握力とか、マジで怖い
「ぷはぁ」っと言う声が聞こえたので、この時間の吸血が終了したことを意味している。だが、この日に限って、ゆりすはオレにひっついたままだった
「ゆりす?」
「ん~?」
「降りろ」
「やー」
随分と精神的に幼くなったな・・・・・・・・って、思っている場合じゃない!今すぐにでも行かないと
「オレは行かないと行けないんだ!」
「しってる・・・・」
「たから降りろ!」
「むぃーーーー・・・・」
・・・・・・・・。眠たそう?
「お前、眠いのか?」
「ねてないぞ。おりられるぞ。」
ゆっくりと、ふらふらしながら降りるゆりすは、見ててハラハラした。とりあえず
「ゆりす、いいか」
「うん?」
「オレが出ていったら、ここの扉の鍵をしめろ!オレが来たら開けるんだ!もし、眠くなくなったら、そのまま家に帰れ!いいな?」
「う・・・・・・・・うん?」
それを伝え、オレはその場を立ち去った
ちゃんとガチャリと音を聞いてから・・・・
後にそれが間違いだと気がついたのはそれから数時間後