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短編

Menteur

作者: RINO

私をお嫁さんにしてくれるって誓った人は私の前から消えた。

消えたというのは語弊があるのかもしれない。

でも、私の好きな人はもういない。もう、あなたの心に私はいないの・・・。






あの日、いきなり来た転校生は私から彼を奪っていった。

転校生曰くここはゲームの世界なのだと。そして私は彼の婚約者、転校生にとってライバルキャラ。

私が転校生をいじめてそれが彼にばれて学園を追い出されるというシチュエーションで家も没落するというキャラ。

それでも私は彼を信じていたかった・・・





そして今日私は、彼から婚約破棄され転校生は彼の婚約者になった。

私はその部屋にいられなくて私に用意された部屋に帰った。

あの転校生に聞かされていたけれどやっぱり彼を信じていたの。信じていたから悲しくて悲しくてベッドの上で淑女らしからぬ大声をあげて泣いた。そして決めたの。




「・・・彼がいない世界なんて・・生きていても・・・意味がない。」




そして私は、死を選んだ。






・・・普通ならここで私はもういないのだけど彼の弟が私を必死に助けていた。

死ぬなって、死んだって意味がないってずっと私に語りかけていた。

今、私はそれを彼の弟の頭上から見ている。きっと生霊みたいなものになっているのでしょう。

彼の弟が医師を呼んで今ベッドに寝かされている自分を見るのは中々不思議な光景。



ここで一瞬暗くなった。



また彼の弟の声で世界が見えた。

自分の体の中にでも戻っていたと推測したいと思います。

今は、転校生が彼の弟に目を覚ましてと言ってるところです。何故でしょう?彼の弟は起きているというのに・・・





『ねえ!なんで目を覚ましてくれないの?!この女はもう彼の婚約者じゃないのよ。なのになんでこの女ばかり見て私を見てくれないの?!』




なぜ私が転校生にこの女呼ばわりされないといけないのかしら?彼の弟も険しい顔しているの気づかないのかしら?



『この女は悪や・・・あなたたちを縛っているだけなのよ!!』



今、悪役といいそうになりましたね。昔、私におっしゃったように。ですが悪役とはなんのことか私にはわかりません。私から見れば転校生のほうが悪役にしか見えないのですもの。



『そうだ。俺は彼女に言われて気づいた。あいつに縛られていたことを。だからお前も目を覚ますんだ。・・・兄を失望させるな。』



『兄貴は・・・忘れたのか・・?』



・・・・彼の弟の言うとおりです。本当に忘れてしまったのですか?

誓いは、彼の弟の前で誓ってくれた誓いを忘れてしまったのですか?

それほどまでにあの誓いは軽いものだったのですか?



『なんのことだ?』



『あいつにした誓いのことだよ!』



『・・・誓い?』



本当に覚えてないのですね。

なら、私はもう生きる意味はないのですね。昔の私に戻ることにします。昔の彼はもういないように彼が好きでいてくれた私ももういません。



『兄貴はあいつに縛られてるって言った。』



『そうよ!彼はあの女に縛られてるのよ!!』



『お前は黙れ。・・・あいつが兄貴を縛ってたんじゃない、兄貴があいつを縛ってるんだ。』



『は?』



『あいつの生きる理由をあげたのは兄貴だろ?あいつの心を死なせなかったのは兄貴だろ?』



『なにをいってるんだ?』



『兄貴がいったんだ。俺が縛られるんじゃないって、俺がお前を縛るんだって!・・・なのになんで忘れてるんだよ!!』




彼の弟がそう言った瞬間、彼は大きく目をあけました。そんな風に驚くということは彼は思い出してくれたのでしょうか?彼が私にしてくれた誓いを私の生きる理由を彼は思い出してくれたのでしょうか?思い出したとしても私が生きる意味を忘れていた彼のことを私がもう一度好きになるのは難しいでしょう。私をここまで生かしてくれた彼の弟には悪いと思いますけど私の命はここまでのようです。きっと神様がくれた一時の時間だったということなのでしょう。




『俺が言ったんだ・・・・。あいつに彼女に俺が縛るって言ったんだ。なのになんで俺そんなことわすれてたんだ・・?彼女が大切だったはずなのに。』




『ちょっとなにいっているの?!そんな証拠もないこと勝手にベラベラと言わないでよ!みんな言ってたわ。あの女が彼を縛っているって、縛られているのは彼の方だって!』




『お前は黙れってさっき言っただろ?おい、誰かこの女を連れ出せ!』




『ちょっとなにするの!離しなさいよ!私を一体誰だと思っているの?!』




彼が気づき、また彼の弟が転校生を部屋から出しました。転校生が最後に言っていた言葉はっきり言って誰なのでしょうね。まず私は転校生のことを何一つ知らないですし、彼も知っているかは微妙なところだと思うのです。きっと○○家の娘としか思っていないと思います。彼はそんな人でしたので・・・。それでは私はそろそろ逝こうと思います。彼の言葉も貰いましたしこれ以上は留まれないと感じているのです。

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