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太陽がきらきらと輝いて春の緑を照らしている。雲ひとつないいい天気を、俺は楽しみもしないでぜえぜえと息を切らしながら走っていた。授業初日から遅刻しそうとか、マジでありえねーだろ!!
先生の朝礼が8時20分なのでそれまでにはどうにか着きそうであったが新人が遅いのはちょっと反感を買いそうだなと思った。俺は自分を憎みながら電車に乗った。
「あれ、先生」
聞き覚えのある声。そして俺は昨日のことを思い出す。
「あ…昨日言ってたやつ…?」
しかし恐ろしい。何故俺がこんな時間にいるのか分かるのだろうか。
「確かに予告したけど、でもそれは帰りの時ってことで…あっ、えっと…」
彼女もびっくりしていた。帰りというのもどういうことなのか。
「そっか、家、こっち方面なんだね」
「……はい。そういえば先生結構ギリギリに登校なさるんですね」
ぎくり。まさか遅刻しそうだとは言えまい。
「私、学校への近道知ってますよ」
彼女はにやりと笑みを浮かべこちらを見た。あぁ…頼りたい…だがこの子に遅刻しそうなことがバレるのも恥ずかしい。
「ん…じゃあ教えてくれる?」
負けた。
「はい。ということで次の駅で降ります」
「あっ、そうなの?」
学校の本当の最寄りより一駅早い。本当に大丈夫だろうか。
「先生、顔に出てますよ」
「えっ」
彼女は笑った。