2
何日か経って、またあの学校へ行く日が来た。担当の先生は部屋を案内しながら言った。
「黒河さんモテてるわよ、あの後女生徒の話題になってるの」
「えっ、そうですか?」
なんだか照れくさい。モテたことがない俺は少し驚いた。女子校怖い。
「ええ…、おかげで男の先生が羨ましがってるわ」
あははと笑った。
その日はあの子のクラス担当では無かった。
そして、気がつくとこの学校に実習で来るのもあと1日になっていた。
ある日。
俺は昼休み数学教科室で昼食を摂っていた。
「池上先生いらっしゃいますかー?」
女生徒の声がする。
数学の先生は電話をしていたので俺にサインを送った。
俺は教科室の戸を開けた。
「あ…こないだの…」
「えっ、あ、こないだはありがとうございます」
彼女はけろっとした顔で応えた。
「池上先生はお留守でいらっしゃいますか」
「うん、今日は用があるみたいでもう帰られたよ」
「もし…よろしければ質問いいですか?」
「うん」
どれどれ、と俺は問題を読む。普通に端から見たら先生と生徒に見えるかな。俺、先生に見えるかな…なんだかこそばゆい。
「先生?」
「あ、ごめん」
ほんと、俺だけ。馬鹿みたいに。